#309 カツカレー大盛

昼の12時を過ぎると井の頭公園を後にした。駅の途中にあるお店でかつカレーを食べてから帰宅した。こんな状況でも当たり前に空腹感を感じる自分に思わず苦笑いが出た。
家に着くと母にラグビー部への新人練習は行かなかったこと、そしてラグビー部入部は諦めたことを伝えた。母は「楽しそうではなかったし、自分で決めたことなら、それでいいんじゃない。」と僕の決断を尊重してくれた。
僕は大学入学の大きな目的の機会をいきなり失ってしまい、どうすれば良いか正直困惑した。こんなにも早く呆気なく、早大ラグビー部入部への道が閉ざされてしまうと思ってもいなかった。
とは言え、心身共におおきな苦痛を感じていた新人練習から解放されたことはどこか安堵感を感じていた。
この時点では今後のプランを考える余裕はなく、ラグビーをどういう形でやるかも考えられなかった。
数日ではあるが折角仲良くなりかけた同級生にも何の挨拶もせずに途切れたしまったことはとても申し訳ない気持ちになった。
お互い連絡先も知らないし、学部も違ったので下手するともう会うことはないかもしれなかった。そのことはどうすることもできないのが残念だった。
あの彼は歯を食いしばって走っているのだろうか。急に僕が来なくなってどう思っているのだろうかと考えた。彼が頑張って入部できたら、その時はその姿を見ることが出来るので頑張って欲しいとも思った。早稲田ラグビーに憧れの気持ちはとても強く、その彼なら入部も叶うのではないかと思った。
翌日以降、大学生として講義に出る為、学校へ通った。
ラグビー部の新人練習に出る必要がなくなったので荷物が顕著に減った。
まだ先週に負った強度の筋肉痛で体中が痛いのは変わらなかった。
東京での暮らしは北海道に比べると、歩く時間が圧倒的に多かった。
電車での移動は常に階段の昇り降りがもれなく付いており、強度の筋肉痛を抱える僕には優しくなかった。
5限迄講義を受けた後、長い時間電車に乗りながら今後どうするか考えようとする自分がいた。このままただ家と大学の往復で終わらせるつもりはなかった。

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