#402 思わぬ大勝

この年の母校ラグビー部はペナルティーキックの3点を積み重ね、その得点を守り切り勝利という展開が多かった。
相手陣に入って、ペナルティーキックを得ると迷わず、ペナルティーキックを狙った。
辛抱の上、勝ち抜くという試合が続き、迎えた早慶戦。
この試合も接戦で少ないチャンスで得た得点を守り切る展開が予想された。
しかしこの日の母校はこれまでのシーズンの試合とは打って変わってグランド一杯にボールを繋いで展開。
前半だけで、32対10と大幅リード。(4トライ3ゴール5ペナルティーキックで32点。相手は1トライ1ゴール1ペナルティーキックで10点)
後半に入っても攻撃の手は休めず、終始猛攻。
後半は48点で相手を0点に封じ込めた。終わってみれば、80対10という大勝。今シーズンは攻撃力の低さが課題となっていた中、そのことを払拭するかの様な11トライでの勝利と予想外の結果となった。
早慶戦を終えるまでは苦しい展開が続いてきたシーズン。
10日後に控える早明戦に向け、部内でも行けるという空気になり早明戦が近づくにつれ、世間の下馬評も互角かやや早稲田有利という声が多くなっていった。
それだけ早慶戦での大勝は大きかったのである。
当時、早明戦は大学ラグビーに収まらず、日本ラグビー界において最も観客数の多さを誇る試合だった。
1大学の定期戦にも関わらず、国立競技場で行われ、毎年チケットは争奪戦となるプラチナチケット化。プレイガイド発売数分で完売で何日にも及び並んで買い求める人が多発。このことが問題化し、はがきを出しての抽選となった。
母校ラグビー部員には1人あたりに数枚のチケット持ち分がある為、友人知人に頼まれてチケットを融通するという事が恒例化していた。
僕も浪人時代から憧れた国立競技場という舞台での早明戦を前に胸が高鳴るのを感じた。
続く…


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