【番外その30 不思議体験】
ラグビー選手としてプレーすることから退き、その後ラグビースクールコーチに専念。当時の教え子達を所属ラグビースクールで異例となる3年間受け持った。(同じ学年を同じコーチが担当するのが最大2年という暗黙ルールあり)
彼ら彼女らが小学校4年生~小学校6年生迄の3年間。
最終年の時には小学生のラグビー全国大会優勝を目指し、練習及び試合を積み重ねた。夏休み明けから中学受験を目指す子達が受験準備の為、2月まで休会。約40名のうち、半数近くが休会。中にはエース級の子も複数含まれていた。その事実を知った時、12月中旬の全国大会予選に向け、どうチームを作っていこうか考え、目先が真っ暗になった。
そうも言ってられず、残ったメンバーでチーム作り。道のりは険しかった。
その後、休会せずに参加してくれた子達が思った以上に成長してくれ、12月中旬の全国大会一次予選を迎えた。
前日、主力メンバー数人が風邪による発熱。
僕はこの時に腹を括っていたのか慌てふためくことなく、現状を静かに受け止め、実に穏やかな気持ちで当日を迎える。
前日に発熱したメンバーも全員、回復し参加。
僕は前日から引き続き、気負うことなくとても穏やかな気持ちで会場入り。
会場はサッカーJ1 所属川崎フロンターレのホームであるとどろきスタジアム。小学生のラグビーの大会としてはあまり使用する機会のない大きな会場。
子ども達も特に緊張している訳でなく、とても清々しい表情の子が多かった。いつも通りの雰囲気でリラックスしている感じ。
試合前のウオーミングアップは過去最高のものとなった。
僕が特に細かいことをどうこう言わなくても、子供達が自発的にお互い声を掛け合い、練習時のコールも広いグランド内で響き渡る位に出ていた。
まさにコーチと教え子達との思いがぴったり一つになった瞬間。
場の空気は澄み切っていて、目の前の景色がキラキラと輝いて見えた。
これは少しの誇張もしていない事実。僕もこれまでしたことのない不思議な経験となる。
この日の予選3試合は全く危なげなく、大勝による3連勝。しかも後半は大幅にメンバー交代しても変わらず、相手を圧倒し続けた。
この日の子ども達は実に頼もしく、いつも以上に誇らしく感じた。
試合後、相手チームのコーチが脱帽するコメントを述べていた。
試合に出れなかった他のメンバーが率先して、試合に出るメンバーの荷物を纏めて運んでくれたりしていた。
これも一切、大人が指示することはしていなかった。
僕はこの日の思いそして見えた景色を忘れる事はない。
教え子達とその保護者の方たちと積み上げた尊い時間を今も励みにしている。