#392 夏合宿の苦悩
夏合宿は春シーズンに怪我で練習を休んでいた選手が多数復帰するので、必然的に練習できる人数が増える。よってチーム数も増え、最大Jチーム(10軍)まで存在した。
10軍は正規のポジションと違うポジションで試合に出る場合が結構ある。
僕は春シーズンはずっとウィングだったが、夏合宿からフルバックをやることになった。1年生のフルバックが長期オフ中に退部届を出し、辞めてしまった。1年生のフルバックがラグビーの特別推薦で入部し、既にAチームで出場している1人のみとなってしまった。
その為、僕がフルバックをやることになったのである。
元々、高校時代は2年までフルバックだったので違和感はなかったが、高校と大学でフルバックに求められるものが大きく違った。
このポジション転向で僕は苦戦することとなる。
高校時代からハイパントという高く蹴り上げられたボールを取ることが苦手だったが、フルバックはこのハイパントのキャッチする場面が多々ある。
高校時代の何倍もこの機会が増え、練習でもハイパントのキャッチ練習は日課となった。
パスやハイパントのキャッチが苦手で良く、突き指をしてしまい、いつも両親指にテーピング巻いて練習に臨んでいた。
治りかけてはまた突き指の繰り返しで、中々突き指が完全に治ることは大学一年時は無かった。
もう一人の1年生のフルバックはAチームで試合に出ている為、僕1人。
ポジション毎にある先輩からのしごきや圧力は全て僕に降りかかってきた。
夏合宿で練習試合の機会は下のチームほど少ない。
見合った対戦相手が中々見つからないというのがその理由。
あまりにも実力差があり、大差となってしまうと相手にも失礼になる。
ただひたすら雑用、練習の繰り返しで試合をできないのは苦痛である。
毎日の先輩の練習着の洗濯と早朝のライン引きで、睡眠時間も5時間あるかないか。昼寝もライン引きは午後からの練習前にもラインを引く必要があったので、ほとんどできない。