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体調不良と自由と安心
熱っぽいだとかだるいだとか、そうした体調不良はつらいものは本当につらくて一刻も早く良くなりたいと思うものなんだけど、その中には抗うことを諦めて手放し身を委ねてしまえば、なんとも居心地のいい熱っぽさだるさもある。ちょうどいい具合の体調不良。そんな日は外が曇りだと気持ちが安らぐのでなおいい。
今日はだるくて頭が働かなくてぼぉっとしてて外は曇りで、体調不良に最適の日だ。
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昨日から読み始めたローベルト・ゼーダーラー『野原』がとてもいい。墓地のベンチに座って、死者の声を聞く男。その男が聞いている話として、その町に生きた29人それぞれの生前の生活や、人生のターニングポイントや、取るに足らない出来事だけど強固に記憶に刻まれている出来事、そんな日々の断片で人生の深淵が、短編小説や賞編小説のように語られる。
私は私の中にしかいられないし、私の人生に囚われているので、そこから逃げたくて、誰か他の人の人生を覗きたくなる。
自分ではない人の人生を覗いて追体験することは、自分と自分の人生からの解放で、そこで私はちょっと自由になれる。でもそこで、私の中にもあるような鬱屈や失望や疲労を感じたり、私自身の人生でも経験のある出来事が鮮やかに書かれていたりすると安心する。
自分に囚われていてそこから解放されて自由になりたかったはずなのに、誰か他の人の人生の中に、自分との共通点を見つけて安心するのだ。
自由と安心というのは相反するもので、どちらか一方を手にすればどちらかを諦めなければいけないものなのかもしれない。
だけどこの本の中では不思議と共生している。
だからとても居心地がいい。