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「女性らしさ」が苦手な私がそれを求める人をサポートするに至るまで

こんにちは。彩夏です。

ここ最近は私が立ち上げ運営している団体「irOdori」のアカウントから発信することが多く、個人としては久しぶりの投稿です。年の瀬なのでこの1年間を振り返りたいと思います。

1年前には自分が想像していなかったことを今しているなと感じます。

「女性らしさ」が苦手な自分が「女性らしさ」を求める人を手助けしているのです。

具体的な活動は後述しますが、活動に至るまで私なりの葛藤がありました。公にするか迷ったのですが、私のような「女性らしさ」が苦手な人やフェミニストの方などに届くと良いなと思っています。

バレエの常識を変えたくて始めたイベント企画

今年前半は主に「性別の枠にとらわれないバレエ・ダンス・フィットネスイベント企画」をしていました。

きっかけは、私が7歳から続けているバレエの「見た目の性で踊りを振り分ける」慣習に疑問を持ったことです。東京レインボープライドに参加してから性的マイノリティを取り巻く課題について学ぶうちに、見た目の性(や出生時の性)と踊りたい性(表現したい性)が異なる人がいるはずだと考えました。その人たちが思い切り自己表現できる場を提供したい、という思いでイベントを企画しました。(詳細はこちら👇)

インタビューから見えた「女性になりたい気持ち」

これを実施するにあたって、その人たちが実際にいるのかどうか、ニーズがあるかどうかがわからなかったので、私は多くの性的マイノリティの方にアンケートを取ってインタビューをしました。特に、LGBTQのT、つまりトランスジェンダーのうち、男性として出生して女性として生活することを望むMtF(Male to Female)トランスジェンダーやそうかもしれない方と対話しました。インタビューする際は、バレエに対する思いだけでなく、これまでの半生や普段の生活で困っていることなど広く聞くようにしました。

そこで出会ったのが「女性になりたい」という切実な願いでした。

私の企画に興味を持ってくださる方の多くは、女性としてバレエを踊ることに憧れを持っていたけれど、周囲の理解が得られずできませんでした。

それが小さい頃であれば、保護者や周囲が「バレエ=女子の習い事」という固定概念を持っていて習わせてもらえない、または、バレエを習えても男子として振る舞わなくてはいけない、のいずれかの場合がほとんどです。大人から習おうとしても、バレエ教室は女性限定であったり、受け入れる体制がなくて習えないというケースも多く聞きました。

バレエのように、周りが「○○=女性」と決めつけるものや女性限定のものは、バレエ以外にも多岐に渡り、私がインタビューした人はそれらをすることに夢を抱いていました。例えば、ピンク色の可愛いものを身に付けること、メイクをすること、髪を伸ばすこと、スカートやヒールを履くこと、スイーツを食べることなど。女子・女性がするもの、「女性らしい」と世間で認知されているもの・ことに対する憧れを持っていました。(女性らしさを求めないMtFトランスジェンダーの方もいます。性自認と性表現は必ずしも一致しません。)

ジェンダーレスの世界を夢見てきた

一方私は今までの人生で、社会が押し付ける「女性らしさ」にうんざりしてきた人間でした。

私は、女子校御三家と言われる桜蔭を経て東大に入った170cm超のシス女性(女性に生まれて女性として生活している人)です。ピンクより青が好き、パフェより肉が好き、スカートよりパンツが好き、仕事はバリバリ一生続けたいなどなど、そういう人間です。

低学歴・低身長の女性が(未だに)好まれる日本社会で、「女性らしさ」から外れる要素をたくさん持つ私は、社会的マイノリティとして嫌な思いをたくさんしてきました。

私が当初、性的マイノリティを取り巻く課題に関心を抱いたのも、一つは「ジェンダーの押し付けをやめよう」「ジェンダーレスを推していこう」という方向性に共感したからだと思います。

インタビューをするうちに、それに共感しているのは性的マイノリティの中でも、自分が男性でも女性でもないと考える、中性や無性のXジェンダー・ノンバイナリーの方々で、私の企画に関心を持ってくださる方とは少し異なることがわかりました。(もちろん全員がそうとは限りません。)

コロナと一人のユーザーが方向転換のきっかけに

自分の活動がマーケット・イン(自分の場合はバレエに限らず女性になりたいMtFトランスジェンダーの方などが求めることを提供する活動)なのか、プロダウト・アウト(MtFトランスジェンダーに限らずバレエを広める活動)なのかわからないまま活動を始めました。

活動を始めて半年ほど経ったところで、パンデミックが起こりました。

イベントはオンラインに切り替えざるをえませんでした。しかし、バレエ・フィットネス業界が一気にオンラインに切り替えたこと、オンラインだと私の企画の「性別の枠にとらわれない」という特徴が活かせなくなることから、正直なかなかうまくいきませんでした。

それと同時期に、インタビューをしたあるMtFトランスジェンダーの方から「彩夏さんの元で女性としてバレエを習いたいけれど、レオタード(女性の練習着)がない。一人で買うのは不安だから同行して欲しい」と言われました。私はプロではないけれど、買い物で隣にいるだけで救われる人がいる。それがとても嬉しくて、今年後半はイベント企画を減らして買い物同行のサービスを始めることにしました。

「ジェンダーレス」ではなく「ジェンダーインクルーシブ」の世界を目指す

こうしてバレエイベント企画だけでなく買い物同行も始めたことで、私はMtFトランスジェンダーの方などが求めるもの・ことを提供するマーケット・インの活動にシフトすることになりました。

しかし、先述のとおり、私が望む世界とユーザーの方々が望む世界は異なりました。正直悩みました。自分が活動をすればするほど、「女性らしさ」が強調される世界、つまり私にとって好ましくない世界になってしまうのではないか、と。

悩み抜いた末、どちらの世界も共存させればいいじゃん!と気付きました。「女性らしさ」を求める人は女性らしく女性として生活できる、「女性らしさ」を求めない人はジェンダーを意識せずに生活できる世界、つまり多様なジェンダーのあり方を受け入れるジェンダーインクルーシブな世界を実現すればいい

ジェンダーレスについては、無印良品のシンプルな生理用品の販売、履歴書からの性別欄の廃止など、世間の流れとして少しずつ注目されていると感じます(幸いこれらの動きは多くのトランスジェンダーの方々も救われると思います)。私はこのようなジェンダーレスの流れを歓迎しつつ、「女性らしさ」を求める人たちをサポートしていこうと思います。

2021年は身近な人にアプローチしたい

今年はSNSなどを通した活動がメインでしたが、来年は家族や友人など身近な人にも対話をしていきたいと思います。

活動を始めてまだ1年足らずの私は、家族や昔からの友人に会っても「LGBTQアライの彩夏」というより「理系でヘルスケアの仕事をしているバレエ好きの彩夏」という認識をされることが多く、なかなか活動を言い出せずにいました。

そして家族や友人が無意識な差別(マイクロ・アグレッション)をしていても、しっかりと指摘できない自分もいました。ユーザーの顔を思い浮かべるととても情けないです。

自分への戒めも込めて、これからは身近なマイクロ・アグレッションを見聞きしたら、大切なユーザーのためにも自分の理解している範囲で正しく認知してもらえるように伝えていきたいと思います。

第一歩としてこのnoteも私個人のFacebookに掲載します。

それでは良いお年を!

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