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詩 (まち)

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"まち"についての連作です。
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#短編小説

僕はこの町を待ってた

僕はこの町を待ってた

あれはある昼下がりの、夕方の日差し迫る、いい風の吹く頃の事でした。

いつものように崖を登って空を眺めていると、何処からか列車が通り過ぎてゆく音が聞こえてきました。

当然、周りに線路など無いし、空耳にしてはちょっと長いし鮮明に聴こえたので、これはこれは不思議に思って、ぼおっと、悪戯に時を浪費し黄昏ておりました。

時刻は午後5時過ぎ。

暫くすると夕焼け小焼けのチャイムがじわりと遠くから聞こえて

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