Sayako Mizuta

展覧会つくる仕事のひとです。

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  • 自分がnoteに執筆したインタビュー記事など

最近の記事

004:工藤春香さんとのともだちラジオ

https://podcasters.spotify.com/pod/show/littlebarrel/embed/episodes/004-e2jv7ml" 先週に子供の体調が悪くて更新が遅れたので 火曜日でも毎週でもなくなってしまいましたが4回目も工藤春香さんとの対話です。 工藤さんと共同で企画した、私にとって初めてインディペンデントで行った展覧会の話をしています。「展覧会」というメディアの奥深さについて、アーティストがしてくれたことが個人的に感慨深かったです。「展

    • 003:工藤春香さんとのともだちラジオ

      毎週火曜に配信しております。 友達と話すともだちラジオです。 3回目は絵画をどう描くか作るかという話、絵をつくることの難しさと楽しさを真剣に話してくれました。 対話の中で話していますが、今工藤さんは、絵画だけではなく、空間を使ったインスタレーション作品を多く発表しています。工藤さんの初期の作品に裸のような人が穴を覗く作品があるのですが、そんなふうに今も世界をのぞいていることを話してくれて、初期の作品から現在の作品は、見た目は変わってもずっと同じ疑問から繋がっていっているんだ

      • 002:工藤春香さんとのともだちラジオ

        ラジオを公開して、1週間ほど経ちました。 その間に、Art Award Tokyo Marunouchi2024も始まりました! ラジオの反応はいろいろいただいて、とても嬉しいです。友人が聞いてくれているのがいいなー。と思います。個人的なアーカイブづくりを開いているような感じもあるかもしれません。 2回目の工藤さんとの対話は配信しました。こちらから聞けます。 https://www.kaiseisha.co.jp/special/friends/ 偕成社の世界のともだ

        • ともだちラジオ エピソード1

          友達と喋る  ともだちラジオ 毎週火曜に配信します。 話しながら考える最初のゲストは工藤春香さんです。 4回に分けて配信します。 1回目:工藤さんの作品に私が最初に出会ったのは、恐山の宇曽利湖を描いた絵画でした。自分と他者の境界について、それが作品の根底にあることについても話しています。 工藤春香さんは1977年、東京生まれ。 2002年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、現在は東京を拠点にアーティストとして活動しています。 画家としてキャリアをスタートされた工藤

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        • 自分がnoteに執筆したインタビュー記事など
          8本

        記事

          ラジオ始めます

          ともだちと話すともだちラジオ始めようとずっと言い続けてやっと始めます。 アートの仕事をはじめて十数年になりました。 仕事の合間、設置のとき、オープニングで、(かつては)飲み会でだらだらと話してきました。 効率化が進み、年齢を重ねて家族との時間も増えそんな時間も減りました。 最近なにしているのかなという人たちと話したくてポッドキャストを口実にともだち(先輩すぎる人も想像してるから心の友達も含んでいる)と話します。 ここから聞けます。 https://podcasters

          ラジオ始めます

          2023ふりかえり(主に美術)

          2023年、4歳になり人間となりつつある息子を前に、この時期に種を蒔き、土を耕しておかないとまずい…と焦り、保育園から幼稚園へいれ本人にとっても大きな変化、私もさらに細切れのなかの仕事+子育てで自分の「やりたいこと」を棚上げする日々でした。会社の売り上げは大健闘で12月から10期を迎え、コツコツ積み上げてきたことが実んだと自負してよいと思います。ということは…、子育て前はずいぶん遊んでいたんだなーと思うのですが、それが養分になっていまがあると思えば人生の時期的な問題なのかもし

          2023ふりかえり(主に美術)

          未来の美術館 ル・コルビュジェのムンダネウムと高橋由一の螺旋展画閣:トーマス・サラセーノの「Museo Aero Solar」 (空気太陽光ミュージアム)

          大学の非常勤で博物館経営論を担当して7年経った(早い…)。 毎年ブラッシュアップしながら、勉強も重ねながら担当している。博物館経営論なんて美術館館長クラスが担当しておくれよ!という私の心の叫びと共に7年前に始まった授業。そもそも私は美術館で働いている時期もほんの少しで、ずっとフリーランスだ。と弁解しながらも、授業を組み立てるのは面白い。今年は3年ぶりの対面授業で、大変だけれど皆さん熱心でフィードバックに熱いものを感じられ、やはり充実していた。 毎年時事ネタも紹介するよう新聞

          未来の美術館 ル・コルビュジェのムンダネウムと高橋由一の螺旋展画閣:トーマス・サラセーノの「Museo Aero Solar」 (空気太陽光ミュージアム)

          2022年の振り返り-Other Rooms

          今年は、それなりの、ほどほどの距離でアートに向き合い、家族のさまざまな問題に直面しひとつずつこなしていくような日々だった。流れと縁が確実にあって、ただただ立っているという感じ。立っていて、時間が過ぎ去っていく。一つ一つのことを思い起こすと長かったのだが、あっという間でもあった。 縁があってやってきたことに応えるという感じ。たまに、こんなこといいなぁと思うできごとがあったり、素敵な人だなぁという人に会ったり、心躍るようなことはアートに隣接していることも多かった。もちろん子ども

          2022年の振り返り-Other Rooms

          ボリス・グロイス「流れのなかで」、変容する美術館、トマトスープ、ゴッホ

          2022年10月13日、2人の若い環境活動団体「Just Stop Oil」のメンバーがゴッホの「15本のひまわりのある花瓶」(1888)にトマトスープの缶を投げつけるというニュースが報道され、私もぼんやり見ていた。 https://www.asahi.com/articles/ASQBS4VSHQBSUHBI00V.html その時はふーんという感じだったが、friezeに2人のインタビューが出ていたのでそれを読んでいて、現代の美術館が抗議の場として使いやすいんだなとい

          ボリス・グロイス「流れのなかで」、変容する美術館、トマトスープ、ゴッホ

          blanClassの日に話しました…!

          blanClassの小林晴夫さんに呼んでもらって、話しました。blanClassの日が10月17日(本日)なのですが、いろんな人と喋るのかなと思っていたら、ふたりでがっつり話す会でした。小林さんの話を聞くのがよいかなと思ったけれど、わたしの話もたくさん聞いてもらいました。自分のやってきた曖昧なことなんかも肯定してもらったような気がして、楽しい時間でした。ラジオのように、なにかしながら聞いてもらえたら良いなと思います。 blanClassがこれからやろうとしている本なのかマガ

          blanClassの日に話しました…!

          現代アートとドゥルーズは親和性が高い…と気づく:千葉雅也「現代思想入門」を読んで

          現代アートを勉強していると現代思想が難しいハードルになることはよくある。美術史の先生たちも意外とぼんやりしかわかってないこともあるし…というわけでこの本は現代アートを理解するためにも必読書である。と同時に近年こんなに入門書的な書物がたくさん出てることも紹介されている、使える入門書だった。わたしは特にドゥルーズとニーチェを本書を入り口に勉強できそうとワクワクする。こんな本が2000年代初めにあったら学びの深度が違っただろうとつい思ってしまう。 さて本書を読むとデリダでもフーコ

          現代アートとドゥルーズは親和性が高い…と気づく:千葉雅也「現代思想入門」を読んで

          モリス・バーマン「世界の再魔術化」を読んで、どんな家を建てるのか

          なによりもまず本書が1981年に書かれたということ。驚きというか嘆息というか、予言の書というか。奇しくも私の生年と同じなので勝手に感慨深い。 完結に言えば錬金術を最後に「参加する意識」を失くした西洋世界の精神の全体性について書かれている。「参加する意識」とは自分を包む環境世界と融合し同一化しようとする意識のこと。自然の一部である人間としてその不思議な生命力の世界に畏怖と共感を持ちながら人間は生きていた。(p.15-16) 前半は「魔術」が消えていく過程が描かれる。 中世の

          モリス・バーマン「世界の再魔術化」を読んで、どんな家を建てるのか

          「冥府の建築家:ジルベール・クラヴェル伝」伝播するオブセッションズ

          クラヴェル。ダイナマイトで岩を爆破しながら、岩窟の住居を生涯かけてつくった狂者であり真のアーティスト。400ページを越える大著に挑んだが、おもしろすぎて2日で読了した。(この壮大な、、クラヴェルの初の伝記が日本語で出版されていることを感謝し噛み締めながら拝読した。もちろん精読には相当の時間がかかる) ジルベール・クラヴェル(Gilbert Clavel, 1883-1927)はバーゼル出身。岩窟にオリジナル建造物を生涯かけてつくったアーティストである。結核を患い、生涯にわた

          「冥府の建築家:ジルベール・クラヴェル伝」伝播するオブセッションズ

          キュレーティングあれこれ:鴻池朋子さんの「ハンターギャザラー」から考える

          キュレーションとはなにかについて鴻池朋子さんの個展(「ちゅうがえり」アーティゾン美術館、2020.06.23 - 10.25)で紹介されていた『ハンターギャザラー』を読んで考えたことを書いておく。 鴻池さんの展示はいつも空間の使い方がうまくて、あっと思うところに作品が仕掛けられている。この展覧会でも隠し壁のような仕組みや、大きなインスタレーションの一部にイメージの源泉がのぞけるような仕掛けがあったと記憶している。 過去に見たなかで好きだったのは大原美術館、有隣荘の個展で、

          キュレーティングあれこれ:鴻池朋子さんの「ハンターギャザラー」から考える

          『ジェイムズ・リー・バイヤーズ 刹那の美』を読んで

          ジェイムズ・リー・バイヤーズ(James Lee Byars, 1932-1997)と聞いてもピンとこない人のほうが殆どだろう。私はハラルド・ゼーマンの資料を読むなかで名前を知ってはいた。バイヤーズはゼーマンの展示に繰り返し取り上げられている。「ドクメンタ5」や「ツァイトロス」をはじめ、1980年にベネツィアビエンナーレでアペルト部門ができたときにも紹介された。しかしながら、パフォーマンスを行う、ミニマルな作品の謎めいたアーティストというぼんやりしたイメージしか持っていなかっ

          『ジェイムズ・リー・バイヤーズ 刹那の美』を読んで

          ケヴィン・ケリー「5000日後の世界」を読んで:増幅していく現実

          AR(Augmented Reality)=拡張現実の世界としての「ミラーワールド」がどんな風に実現されるか描かれるケヴィン・ケリーの預言の書。 SNSの次のプラットフォームは「ミラーワールド」。全てがAIと接続されるという。具体的な内容も紹介される。街を歩いていて100年前の風景を重ねて見られる、歴史的背景をすぐに確認できるなどは、はウェアラブルな媒体をつかって、情報に到達する速度が変わるということで想像しやすい。自動翻訳機をつかって話せるようになるというのも、ここ15年

          ケヴィン・ケリー「5000日後の世界」を読んで:増幅していく現実