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その品物にふさわしい私だろうか

毎月12日に私は反省する。クレジットカードの支払額が確定する日だからだ。いつも買い物を控えようと思っているのに、予想以上に買っているのだ。支払う時に苦労しているということは、私は身の丈に合わない買物をしているということである。

私の買い物で一番多いのは本だ。高価な本はあまりないのだが、だからといって金額だけでその買物が「身の丈に合っているか」どうかは判断できない。私には読めない本も買っていると思う。読めるかもしれないが時間的に読めない本も買っている。実際、積読が多いことだし。こういう場合も、身の丈に合わない買物をしていると言っていいだろう。

「足るを知る」のは難しい。人はだいたいの物において量を求めてしまうものだ。本だって、たくさん読めたほうがそれだけ知識が身に付きそうではないか。しかし、そう思って多くを求めても、それらを十分に読み解けない自分では、手元に来てくれた本に申し訳ない。全然読めていない10冊より、隅々まで読み込んだ1冊の存在が、自分にとって大事なのではないか。

いい品物が自分を引き上げてくれることはある。例えば美しい宝石が身に付けた人までもを輝かせるように。まず形から入るのも大ありだ。いい本がずらりと並んだ本棚は素晴らしく見えるだろう。その光景が似合う自分であれるように、努力しなければと思うだろう。しかし、素晴らしい品物がやってきてくれたとしても、それを手にしただけで強くなれるわけではない。物の力が強過ぎて、自分を見失ってしまうことだってあるではないか。その品物にふさわしい私であろうとする心が必要なのだ。

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大場さやか
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