コミュ障はどうふるまうか
コミュ障はコミュ強にどんどん頼ればいい、というのが私の持論だ。
本当のコミュ強(コミュニケーション強者)は、コミュ障(コミュニケーション障害者)を決してバカにしない。それどころか、その障害を取り払ってくれるかのような言動を何気なく取ってくれたりする。誰に対してもそのように、コミュニケーションを取りやすい環境をつくることができるのが、コミュ強だ。コミュ障をバカにする人はコミュ強ではなく、それはまた違ったタイプのコミュ障である。自分をごまかしている分、ただのコミュ障より余計にたちが悪いのではないか。
そういうわけで、コミュ障である筆者は、自身のコミュ強センサーが働いた方を含む空間にいる場合には、その方が自然に発している善意に甘えるようにしている。もちろん、べったりし過ぎる、その人にばかり頼るなどの迷惑は掛けてはならない。
そして、心に余裕がある時には、そのコミュ強の方の反応や対応を見るようにしている。なるほど、こう来たらこう返すのだなと、ためになることが多い。見ただけで取り入れることは難しい高度な技も多いが、できそうなことは覚えておくようにしている。いつか、こう来た時にこう返すために。
さて、筆者は今日、ヘアサロンにカットとヘアマニキュアをしてもらいに行ってきた。ヘアサロンと言えば、スタイリストと話すのが嫌だ、という人も多いだろう。私ももちろんそのタイプである。だが、スタイリストの多くは陽キャでコミュ強である。もしかしたら先に挙げた、コミュ障をバカにするタイプの人も交じっているのかもしれないが、そうであったとしても、客相手に失礼な言動は取らないはずである。だから、ヘアサロンでのスタイリストとの会話は、コミュ障がコミュ障に見えないように装う練習に最適なのである。
コミュ障の多くはどうでもいい話ができない。しかし、ヘアサロンでの話題は、その多くがどうでもいい話である。大抵は、天気や季節や時事などに軽く触れる程度である。近況や仕事や趣味や家族など、個人を表す話題になることもあるが、ここでその全部を語ってくれとスタイリストが思っているわけではない。無言の間を埋められればそれでいいのだ。適度に、一般的であろうと思われる部分だけつまんで話せばいい。
それでも会話が続かず、間が苦しく感じられる時もある。しかしコミュ障はここで焦らなくてもいい。コミュ強ならなんとかしてくれる。コミュ強自身が近況などを話しだしてくれたりするのだ。コミュ障がここで努力すべきは「あー」「うんうん」「へー」「なるほど」といった相づちを多めに打ち、「そうなんですか」「すごいですね」と短い返答をすることだ。それを受けてコミュ強が話を展開させてくれるはずだ。
しかし、互いにコミュ障だった場合にはどうすればいいのか。もうその場合は、お互いに頑張らなくていいと思う。無言が続くことで、互いに同類であることには気付けるだろう。私もあなたもコミュ障だ。そのことがわかりあえているのなら、それでいいじゃないか。
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