【往復書簡】どんな小説を読んでいますか？

のんちゃんへ。

今、あえて時流に乗らない話題で書き出そうとすると、なかなか難しいですね。お元気ですか？　私はすこぶる元気です。今、花柄の黄色のおしゃれマスクをしながらこれを書いています。お隣の元クチュリエのマダムが急に手作りしてプレゼントしてくれたものです。今日はなぜか花粉が大変なのです。

のんちゃんはインフォデミック対策として情報のシャットアウトはしていないとのこと。テレビのお仕事だと、みんなの超関心ごとを避けるわけにはいかないのかもな、と思ってはいたものの、やっぱりそうなのか。必要ではあるのでしょうけれど、なかなかに大変そう。一次情報に当たっても、進行中のものはわからないことが多いから。

自分にちょうどいい情報のバランスになってきたので、私はようやく「カミュの『ペスト』を読んでみようかな」と思えるようになりました。1週間くらい前までは、「今、このタイミングで感染症関連のフィクションを読む人、心が強すぎるわ」って思ってたんだけれど。

今回ののんちゃんからの質問は「冷蔵庫のレギュラー選手は何か」ですが、ずばりパプリカと紫キャベツです。
赤と黄色のパプリカはピクルスに、紫キャベツはザワークラウトにして、常に冷蔵庫に入れてます。「今日はブロッコリと肉を炒めるくらいしかできない」って時にも、赤＆黄パプリカと紫キャベツさえあれば、赤緑黄紫茶色＋白（米）にできるので便利なのです。あと、のんちゃんちと同様、卵はいつもある。隣に住む大家さんが庭で養鶏をしているので、ときどき卵をくれます。我が家は卵付き賃貸物件です。卵はいい。卵は万能選手だから。

ところで。のんちゃん！　ブログ見たよ！　放送作家の傍らで書店員を始めたんでしょう？　すごい！！　すてき！！　私もやってみたいなと思って調べたことある。応募する前に書店員の大変さも調べようと思ったら「腰痛」って書いてあったから、ひどい腰痛持ちの私は断念したんだけれど。

本屋さんっていいですよね。船のようなイメージがあります。寺山修司は「書物のなかに海がある　心はいつも航海をゆるされる」と書いたけれど、良い本は船旅に連れて行ってくれるようなところがあるからかな。のんちゃんが仕事をするのは、小さな本屋さんなんですよね。本当にすてき。憧れる。

なぜ書店員を始めたのか、何を感じているのかはブログに書くとのことなので、聞かないでおきます。でも、これは聞きたい。今、どんな小説を読んでいますか？　前回のお手紙で「小説を読むことが多い」って書いてあったし、書店員さんになったのんちゃんに、本のことを聞きたいし。今、私は村上春樹の『風の歌を聴け』を再読しています。zoom読書会の課題図書なのです。正直、そんなに好きな本でもなかったのですが、今回はけっこう楽しめています。

ではでは。

追伸：また線が歪みまくってるトップ画像でごめんなさい〜。以前に港町で撮った「郵便受けのある風景」です。心の目で補正して。いや、船に乗ってゆらゆら揺れていると思って。写真は今、草原と荒野しか撮れないの…。