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さやか星小学校の自慢話シリーズ1〜指導内容検討委員会〜

さやか星小学校 教務主任・第1学年担任 島岡次郎

 公立学校で働いている時の私の口癖は、「もっと授業について先生方と語り合いたい。もっと子どもたちについて語り合いたい」でした。教員の最も大切な仕事は、子どもたちが分かりやすく、楽しいと思える授業をすることです。そのための学びや準備は、本来何よりも優先されなければならないはずなのに、膨大な意味の分からない書類仕事のために、その時間が取れない状況でした。そのため、それぞれの先生の授業の工夫や、職人技のような児童指導が共有できず、多くの先生が伸び悩んでいたように思います。いつの頃からか、「教材研究や教師同士の学び合いが勤務時間内に存分にできたら良いなあ。」と夢想するようになりました。そんなことは、夢物語でした。しかし、さやか星小学校はその夢を実現した学校です。

 さやか星小学校には、「指導内容検討委員会」という職員会議の時間が毎週確保されています。この時間は、それぞれの先生が授業の計画を持ち寄り、互い意見を出し合ったり、悩んでいる点についてアドバイスをし合ったりする時間です。さやか星小学校には、若手からベテランまで幅広い先生が在籍しています。そのため、経験に裏打ちされた指導方法から、先入観がないからこそ発想できる斬新なアイデアまで、多様な意見がバンバン飛び出します。この委員会を経ると、確実に授業のクオリティが上がるため、最近では検討に出す授業計画の順番待ちが出るほどになりました。

 さらに、本校の最大の強みは、「行動分析学」という共通言語があることです。私が在籍してきた公立学校では、「何を学ぶことが授業の目的なのか」という点が曖昧になりがちでした。目標が抽象的なため、何を学んだのかが良く分からなくなり、授業についての検討も抽象的になります。教員ごとに考え方のベースが違うため、議論が同じ俎上に乗らないのです。何を改善すれば良いかが分からないので、当然、授業力は上がりません。授業について考える行動が強化されないため、いつの頃からか、「指導書通りに授業進めていけば良い」と、成長する意欲を失う若手の先生を多く見てきました。とても残念なことです。

 さやか星小学校では、行動分析学の考え方に基づき、単元ごと、授業ごとに「何が出来るようになることを目指すか」という、標的行動をできる限り具体的に設定します。そして、その行動ができるようになるためには、どのような行動を身につける必要があるかを、徹底的に課題分析します。例えば、1年生の「くり上がりのある足し算」を、私は下記のように分析しました。例題は、9+4です。

 このように課題分析をすると、どの段階で躓くことが多いかを想定し、準備することができます。例えば、①で躓いたお子さんには、10の合成と分解の練習が必要です。②で躓いたお子さんは、引き算の練習をすれば良いと分かります。そもそも躓かないように、単元に入る前にアセスメントし、練習をしておくこともできます。さらに、誤反応を防ぎ、なるべくエラーレスで学習が進むよう、下記のような計算の支援シートも作りました。このシートは、委員会で様々なご意見をもらい、大きく改善されたものです。

 もちろん、この課題分析や支援シートが絶対の正解ではありません。もっと詳細な課題分析が必要かもしれません。「学び手は常に正しい」ので、授業をしながら常に改善をしていきます。大切なのは、さやか星小学校には、「分かりやすく、楽しい授業をしたい」という熱い思いを持っている教員がいて、それを実現するための環境が整っていることです。この環境ならば、教員は加速度的に成長していきます。私自身、過去に例を見ない自身の成長を実感しています。そして、教師の成長は子どもの成長に直結します。

 1年生は、このまま順調に学習が進めば、1ヶ月半ほど前倒しで1年生算数の指導内容を終える見込みです。しかし、「1年生の内容は終わったから」と、余剰の時間を無駄にすることは、本校ではしません。2年生の内容に入っていくお子さんもいるでしょうし、定着が曖昧な単元を再度確認し、2年生に向けて確実に力を付けるお子さんもいるでしょう。パーソナライズされた学習により、子どもたちの学力は確実に伸びます。今この瞬間も、伸びています。教員が、本当に「当たり前」の時間の使い方をしたら、当然そうなるのです。それを体現しているのが、さやか星小学校です。私の自慢の学校です。

教育関係者向け学校公開を行います。

 多くの学校や救育関係者の皆様から、本校を見学・視察したいとのお声をいただいております。しかし、全ての要望にお応えする人的・時間的余裕がないため、この度、表題のような企画をいたしました。添付された画像からQRコードを読み取っていただき、お申込みいただければと思います。