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孤独な挑戦に光を:TOEFL104点達成の舞台裏
この文章は、Money for Goodとnoteで開催するコンテスト「#推したい会社」の参考作品として主催者の依頼により書いたものです。
4年前、33歳のとき、私は必死で英語の勉強をしていた。
海外の教育大学院に入学すると決めたからだ。
しかし、それはもう、孤独だった。
15年ぶりに真剣に勉強と向き合い、さらに暗記を越えた言語の習得ともなると、脳みその衰えを感じざるを得ず、絶望した。
なんでこんなこと始めちゃったんだろう、つらいつらすぎる…と数日に一度は後悔していた。
こうやって毎回、私はそのとき感情が揺さぶられるでっかい目標を見つけて突然走り出し、自分にとてつもない負荷をかけては途中でその道のりの険しさに気づき(遅い)、後悔する。
いい加減学びたい。
もう少し考えてから進む道を決めよう…といつも心に誓うのだが、未だに出来ない。
今回は、そんな私を絶望の淵から救ってくれた会社を推したい。
が、まずは、そもそもなぜ留学を目指すことにしたのかを、少しだけお話させてほしい。
ビリギャルの限界
先日、ビリギャル10周年パーティーがあった。
ビリギャルが出版されてからもう10年、映画化からは8年も経ってしまった。
私はビリギャル本人として、この10年いろんな活動をさせてもらってきた。
これまで行った講演回数は累計500回を越えたし、本も3冊書かせてもらった。
おかげさまで、本当にたくさんの方が私の話に耳を傾けてくださるようになった。
でも、どれだけ私が声を大にして「自分には無理だと決めつけないで、正しい動機づけと、ちゃんと成果が出るやり方で努力が継続できれば、誰でも絶対にめちゃくちゃ伸びるよ!夢だと思っていた世界にアクセスできるんだよ!!」と伝えても、返ってくる言葉の多くは、ネガティブオーラに頑丈めに包まれていた。
「さやかちゃんは元々頭が良かったから…」
「私は頭が悪いから…」
段々と、私がどれだけ声を枯らしながら伝えても、限界があるということを薄々感じ始めた。
「自分にもできる!」と信じられていない人に、私の言葉など刺さるわけもなく、ましてやその人が行動に起こして変化を起こすなど、到底無理なのだということに気づいた。
だから、一度日本を離れて学ぶことを選んだ。
私は努力の天才なんかじゃない。
自分でも嫌になるくらい怠惰な人間で、三日坊主のプロみたいなやつなのだ(だからビリでギャルになった)。
そんな私が、あんなに努力を継続できたのには、必ずなにか理由があるはずなんだ。それをちゃんと言語化して、みんなに伝えなくちゃいけないと思った。
「さやかちゃんだから出来た」と思われているようじゃ、ビリギャルは意味がないのだ。
過去の自分を解明するため、ビリギャルの解像度を高めて「さやかちゃんだからできた、はちがう!!」と言い切れるようになるために、海外の大学院に行って認知科学とやらを学ぶことを決めた。
海外留学への切符:TOEFLの分厚い壁
留学に行くと決めたはいいものの、英語がビビるくらい出来ない。
慶応受験のために英語を猛勉強したのなんてもう15年くらい前の話なので、中学の英文法すら怪しい。
さらに今回必要なのは「留学に必要な英語」なのである。
日本国内の大学受験のための英語とはわけが違う。
留学にいくには、TOEFLかIELTSという英語の試験で「足切り」とされている最低得点を超える必要がある。英語能力のすべてのセクション、Reading, Listening, Speaking, Writingのスキルをアゲまくらねばならなかった。
そこから、私のTOEFL100点(120点満点)突破に向けた地獄の日々が始まった。
まず、中学英文法と英検2級までのボキャブラリーを復習するために、本屋さんに駆け込んで問題集と単語帳を買った。
2ヶ月くらいかけてそれをやり終わった頃に、TOEFLを初めて受けてみた。
結果は62点。ちんぷんかんぷんだった。
どうやって62点とったのかも謎である。
まず、すべてのセクションで時間が全く足りない。
何を問われているのかがわからないし、なにが正解なのかもわからない。
こんなテストで100点以上とるなんて、本当に可能なんだろうか…
完全に途方に暮れた。
英語塾に通ってみたり、ネットで【TOEFL 40点 上げ方】とかで検索し、過去の受験者が書いている体験談を読み尽くし、その人たちがおすすめしている勉強法を一通り試してみたりした。
「これで本当に伸びるんだろうか…」と不安が募る日々が、長く続いていた。
私は、完全に迷走していた。
暗闇の中の、一筋の光
さて、そろそろ本題の「私が推したい会社」の話をしよう。
試行錯誤を繰り返して苦しんでいる私を見かねた知人が、TOEFLのことなら彼に聞くと良いと、トフレ!というサービスを紹介してくれた。
このトフレ!では完全オンラインでTOEFL対策ができるという。
しかもそんなに高額ではないではないか。
私が散々各所に払ってきたお金はなんだったのか!
きくと、葛山先生というTOEFLを知り尽くした神様みたいな方が運営している会社だという。
私はトフレ!に飛びついた。
どうか、なんでもやるので何をやればいいか教えて下さい…!と葛山先生にリモート土下座した。
こうして、直接会うことはない葛山先生との二人三脚がはじまった。
トフレ!が提供してくれるプログラムをこなしながら、毎日何時間も英語を勉強しまくった。
どんな小さなことでもいいからなにか疑問があれば何でも聞いて下さい、という葛山先生の言葉を鵜呑みにし、どんな小さなことでもメールで質問しまくった。
そのひとつひとつにキレずにめちゃくちゃ丁寧に答えてくれて、私は確実に疑問をつぶしていけたし、落ち込んでも立ち上がれた。
それまでなんとなく続けていた英語塾や他のサービスの利用を整理して、なるべく家での自習に切り替えた。
以下は、どれだけ1日何時間トレーニングを積んでもリスニングが伸びなさすぎて、「もう!!私の耳はぶっ壊れている!!!!!!!」と自暴自棄になっていた面倒くさいモードの私と葛山先生とのメールのやりとりである。
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このメールたち、私は半ギレで、うなだれながら打っている。
「なにがビリギャルは地頭が良いだ!これのどこが良いって言うのだ!!ふざけるな!!!!」と、自分と、世間にキレ散らかしていた。
それをぶつける相手もおらず、(控えめに)葛山先生にぶつけていた。
葛山先生は、優しく私の謎のキレを受け流し、冷静に次の戦略を一緒に考えてくれるのだった。
挑戦を支える伴走者の役割
葛山先生とやりとりするようになって、これだよこれが欲しかったんだ!と、ものすごく救われた私だった。
私に足りなかったのは、ビリギャルのときの、恩師・坪田信貴先生の役割を担ってくれる人だった。
人が明確な目標を持って真剣になにかに取り組むとき、やはりまったくひとりでは無理すぎなのだ。「正しい努力の仕方」を教えてくれる人が、絶対に必要なのだ。なぜなら、成果が出ないのならば、モチベーションなんか続かないからだ。
葛山先生と一緒に、私の弱みと課題点をあぶり出し、それをもとに戦略を練ってトレーニングを積み、試験を受けては結果を報告し、フィードバックをもらってさらに戦略と対策を練る。
こうやって約1年にわたり、葛山先生とメールのやり取りを続けながら英語の勉強を続けた。
ちなみに、出願校のひとつだったハーバード教育大学院の足切りが104点であることを受けて、私の新しい目標は100点を越えて104点に途中で引き上がった(地獄)。
そして、以下がついに、目標の104点を突破したときのやりとりである。
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その後、無事コロンビア教育大学院に入学した私は、認知科学という分野を専攻した。
そこで私は、結果を出すためには、マインドセットやメンタルの状態がいかに重要な役割を果たすのかということを痛感したのだった。それらはまさに、過去の私がなぜ成長できたかを説明するものだった。
私達人間は、感情の生き物だ。
感情が高まると、モチベーションが内からメラメラと湧いてくる。
それが行動力となり、パフォーマンスと成長につながる。
感情の起伏が激しい私なんかは、その分瞬発力がでかいことが強みではある。
しかし問題は、その感情は長くは続かないことにある。
だんだんと、その感情の高まりはおさまってくる。
するとモチベーションもそれと一緒に確実に下がってくるのだ。
しかも、なかなかうまくいかなかったり成長感覚が感じられないと、今度はネガティブな感情が湧き上がってくる。
「自分は向いていないんじゃないか」
「自分にはやっぱり無理なんじゃないか」
そんなことばかり、思い浮かんでくる。
これが、「学び続ける」の大きな壁になる。
全く一人で頑張っていると、ここを突破するのが難しい。
だから、誰かが必要なのだ。
私は、いつもそういう人に恵まれる。
私がもうだめだと騒いでも、「大丈夫、さやかちゃんはちゃんと成長しているよ!」と、私をちゃんと見ていてくれる人がいる。
今回の挑戦でも例に漏れず、私はちゃんと何度もめげて、暴れて、やめかけた。
でも、ブツブツ言いながらでも、私がなんとか前に進み続けることが出来るのは、その人たちの存在が、くれる言葉があるからだった。
何かを頑張っているプロセスでは、
「方法」よりも「メンタル」が大きく結果を左右する。
この記事を書くにあたり、葛山先生とのメールのやりとりを見返していて、毎日必死で英語と向き合い続けた日々と、その中での葛藤や苦しみ、もどかしさ、喜び、達成感、いろんなものが押し寄せてきた。
挑戦者の伴走者となる人の役割とは、正しい努力の仕方を教えること、本人に合った戦略とフィードバックの提供、そして、メンタルサポートなのだ。
日本を、挑戦に優しい社会に
日本は、挑戦する人に、あんまり優しくない。
誰かが挑戦しようと立ち上がったとき、「いいじゃん!応援する!」という声よりも、「そんなのどうせ無理だよやめときなよ」という声が多いのは、なんとも寂しいではないか。
そんなんで私たち、本当にいいだろうか?
失敗することは、そんなにダメなことなのか?
そこから学んで、また挑戦すればいいのではないか?
失敗しないで成功するなど、一体どうやってやれというのか?
いつから私達は、挑戦する、挑戦させる勇気を失ってしまったのだろう。
真剣になにかに挑戦しているやつは、割とまあまあ面倒くさい。
でも、美しいしかっこいいと、私は思う。
そういう奴らを本気で応援している人たちは、
もしかしたらこの社会で、
最も尊い存在かもしれない、と私はどうしても思うのである。
だって、そういう人がいなかったら、きっと途中で挑戦をやめてしまう人が、めっっっちゃくちゃいるからだ。
私は誰かの挑戦を、本気で応援する会社を推したい。
そういう会社が増えないと、日本はどんどんますますリスクをとらないで、
アンパイをとる人であふれていくだろう。
そういう人たちが大人になって、子どもができて、
子どもはワクワクや挑戦の天才だから、
「ねえおかあさん、私こんなことやってみたいよ!」というのを、
「そんなの危ないからやめときなさい!」
「あんたにそんなこと、無理に決まってるでしょう!」
なんて、夢のない言葉で、良かれと思って、
彼らの可能性に、蓋をしてしまうのかもしれない。
次なる挑戦
2024年12月26日。
ネットで調べたら、この日はなんだかものすごく日柄が良いらしかった。
この日に、私は会社を設立した。
誰かの挑戦を本気で応援する組織を作るためだ。
私が死に物狂いでなんとか乗り越えた英語学習の経験と、「ビリギャルは、あのときなぜあんなに頑張れたのか」を解明したコロンビア教育大学院で学んだ認知科学をもとに、
英語学習を通して人々のマインドセットを変えるサービスを始めると決めた(念の為言っておくが、TOEFL専門ではないので葛山先生と競合にはならない大丈夫だ)。
日本には、失敗を恐れず「まあ、なんとかなるっしょ!」という、もっと大胆で明るくて、ふざけた人間が大量に必要だと思う。
そして、誰かの挑戦を、その人の成長と成功を信じて喜んで、本気で応援してくれる人が、たくさんたくさん必要だと思う。
そういう人が増えれば、子どもたちの夢や自尊心が、良かれと思って誰か身近な人によって蓋をされることも少なくなると、私は信じている。
坪田先生や葛山先生が私にしてくれたように、私も次は挑戦者たちの道を照らす存在にまわりたい。挑戦する全ての人にエールを送る存在でありたい。
そしていつか、挑戦に優しい日本をつくりたい。
それが私の、次なる挑戦だ。
ビリギャルの勉強法が知りたい!という方はこちらの本を参考にしてください。
坪田先生が教えてくれた偏差値が40上がった勉強法、TOEFL104点を獲得した英語学習の仕方を、認知科学の視点から解説しながら全て公開しています。
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