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小説 乙一「シライサン」
一昨日読み終えたので、ご紹介。
あらすじ。
主人公・山村瑞紀は、仲の良かった親友の死を目の前で目撃する。
その死に方は、両目が突然破裂するという、とても異様なものだった。
その親友のバイト仲間にも同じ変死で亡くなった青年がおり、その兄である鈴木春男は弟の死の原因を探るため、瑞紀に声をかける。
死因に疑念を抱く瑞紀と春男は、真相を探るため、共にもう一人のバイト仲間である富田詠子のもとを訪れる。
二人はそこで、詠子たちが旅行先で聞いたという怪談話を聞かされた。
その話に出てくる「目の大きな女の人」の名前を聞いてしまった二人は、それ以来奇妙な現象に見舞われるようになる。
彼らの死について知るため、また自分たちにかけられた呪いを解くべく、瑞紀と春男は詠子たちが訪れたという湊玄温泉へ足を運ぶのだった。
感想。(※後半に少しネタバレあるので、注意!!)
恐怖をそそる描写がすごい。
久しぶりに3時間くらいぶっ続けで読んだ。
好きな作家さんって言うのもあるけど、やっぱり読みやすい。
乙一さんの「きみにしか聞こえない」を知ってる分、携帯を使用する描写の変化に時代を感じた。
あの頃はガラケーだったのに、今回はスマホやSNSも出てきた。
感慨深い。
キャラ達の惹かれ合う描写が、相変わらずとても丁寧で素敵だった。
読んでいてきゅんとしてしまう。
コロナがこういった呪いの類いだったらと想像してみると、ちょっと面白いかも。
あと、この人がここに繋がるのねという、最後のどんでん返しも流石だった。ミスリードもあったし。
ただ、ハッピーエンドかと言われると微妙かもしれない。
伏線は全て回収してるけど、主人公たちは最後まではたどり着いたようで辿り着かずに終わったし(あえて踏み込まないという選択なのかな)
結局シライサンはなんなのかというと、なんかよく分からない悪霊というか山神様というか、って感じ。
若干消化不良になる人もいるのかなぁ。
若干、原作の貞子のような感じがあったかな。
(雰囲気だけね。こっちのが断然エンタメ性がある)
でも呪いとかそういうの色々調べたんだろうなというのは読んでて伝わってきた。
ただ水木しげるとか、現実の人の名前が出るのは、個人的にちょっと好きではないかな。読んでいて現実に引き戻されるような感覚があるので。
昔のようなグロ系はないけど、乙一さんっぽさを随所で感じた作品でした。
面白かったです。