岡 清火
草臥れて(くたびれて):20代の頃の旅の話
草臥れて(kuta bire te) 03 ひとり旅 四国と九州 1994年 22歳 14歳で旅を始めたのだが、22歳になるまで僕はひとり旅をしていない。 10代は夏休みごとに友達と自転車キャンプの旅に駆けずり回った。友達と行くのが面白く、ひとりで行っても楽しくないと決めつけていた。 それがひょんなきっかけで、ひとり旅をすることになる。 1994年、大学4年になる前の春休み、友人のユーダ(U田)とふたりで四国と九州を旅することにした。 ユーダというのは大学
草臥れて 02 遭難 西表島 1993年 21歳 植物に覆われた島、西表島。 僕は西表島を初めて見たとき、「110パーセント、植物の島」だと感じた。 つまり島の面積をはみ出して海の上にまで植物がせり出して繁茂している島、という印象を受けたのだ。 それくらいこの島は植物に覆い尽くされている。 そんな西表島のジャングルに突入した。 西表島には島の真ん中を突っ切る山道があり、歩いて縦断することができる。 僕らはそれに挑戦した。 ジャングル内でテントで1泊し、次の日
草臥れて 01 心の影 西表島 1993年 21歳 視界の端で、黒い影が揺れている。 僕はそれが、とても悪く怖いものではないかと思った。 そのとき僕は日本の最南部である沖縄県八重山諸島のジャングルの島、西表島に初めて上陸し、友達と2人でテントを担いで歩き回っていた。 月ケ浜という場所に着いた。 広く美しい浜で、人工物のほとんどないようなところだ。
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