見出し画像

どーせ天才でしょ? と思っていたら、返り討ちにあった『伝えるための準備学』。


これまでの人生で「あの人は天才だから」と安易に言ってきた自分が返り討ちにあったような感覚だった。

著者である古舘伊知郎ふるたちいちろうは、「報道ステーション」のメインキャスターを12年にわたって務めてきた人だ。本の中で、ご自身を天才じゃないって否定されているけど、ピンとこない。それどころか、「ニセモノ」とおっしゃる。本当にそう? 謙遜?

『伝えるための準備学』を読むと、古舘伊知郎がどのように準備をし、どんなふうに成功していったのか裏話を知れる。本書を読めば、成功の秘訣を知れるが、実行するのは容易くはない。努力し続けてきた人の物語りだった。

その中でも印象に残り、都内在住、ふつうの主婦であるわたしでも実践できそうなところを紹介したい。

この先から本の中身について触れます。若干ネタバレがありますので、ご注意を。


わたしがハッと気づかされたのは、初対面は「出会いの第1打席」のところ。

あなたは、ただ空白を埋めるために「好きな音楽は?」「日曜日は何をされるんですか?」なんて質問をしてしまっていないだろうか? そんなとりあえず聞きました、という質問は「うるさい」。しょせん質問のための質問だ。

『伝えるための準備学』P.133

とりあえず質問してしまう失礼をあなたは気づかずにしてしまっていないだろうか。わたしはしたことがあるし、されたこともある。学校で会うママ友に「きょうの晩ごはんは何?」なんて質問しているし、美容院で髪を洗ってもらうときは、新人さんにお天気の話や普段は何をしているのかを質問される。質問のための質問だ。

ふだんのお付き合いならそれで良いかもしれない。だけど、ここぞ! というときに、ここぞ! の人に会ったとき、この対応ではチャンスを逃すだろう。印象に残らず流されてしまう。

では、どうすれば良いのか。

誰もが思いつくような話題は避け、自分独自の切り口を探すこと。

『伝えるための準備学』P.133

「これ」という一点突破のポイントを見つけて、さらに深掘りする。

『伝えるための準備学』P.133

古舘伊知郎の成功の秘訣がここにあった。漫画家のヤマザキ マリへのインタビューが決まった時の準備が恐れ入った! なんと大ヒットした『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)ではなく、別の切り口からインタビューを行ったのだ。ふつうの人なら行かない道をあえて選ぶ人。だからこそ、相手の印象に残るし、第一線で活躍し続けてファンもたくさんいるのだろう。


「準備をすることは未来を生きること」とも書かれている。わたしは、幸運にもnoteで開催された創作大賞でベストレビュアー賞に選ばれた。授賞式に出席する前に受賞した人のnoteをなるべく読み、昨年の記録も読み漁った。

授賞式には「名刺」を持っていたほうがいいと豆島圭さんのnoteに書かれていたので、人生で初めてプライベート名刺を作って挑む。名刺を渡し挨拶から話を広げる作戦だ。

授賞式当日。出会いの第1打席で成功するために、質問のための質問はしないようにしようと心に決めていた。事前に準備をしていた名刺をきっかけに多くの人と話す機会を得た。ただ、古舘伊知郎のように、出会った人に斜め上をいく印象は与えられなかった。切り口を変えて質問しようにも、口を開き会話をするだけで精一杯。しどろもどろ。ふだんほとんど外出しない引きこもりがちな主婦が実行するにはハードルが高かったかもしれない。会話の面で見ると、成功したとは言い難い。

本を読んで知識を得たとしても、その通り実行するのは容易くはない。だからこそ、完璧に準備をして挑み成功に導いている古舘伊知郎は天才に見える。ご自身は天才じゃないとおっしゃるけど、わたしから見れば準備の天才。しゃべりの天才だ。ただ、その天才はサラリとしたものではなく、努力家としての天才だったのだけど。

初版のナイスオレンジな帯から重版で、ナイスグリーンの帯に生まれ変わった『伝えるための準備学』。伝え続けるための努力を知ることは創作をしている人にも参考になるだろう。ぜひ、お手にとってみてください。わたしは諸事情によりKindleで購入しましたが、紙の本でも読んでみたいです。

▼ 下記のnoteを参考に「敬称略」とさせていただきました。

#伝えるための準備学 #古舘伊知郎  
#ひろのぶと杯 #ひろのぶと株式会社

いいなと思ったら応援しよう!

神崎 さやか
チップで新しい手帳を買うことができました。支援してくださった皆さま、ありがとうございます。