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いつも笑顔でいられる方法知りたくないですか?

 私の「初」髪染めは大学1年生の冬。紫がかったピンクのインナーカラーだった。
私は生まれつき肌が弱くて、全体を染めるカラーは諦めていた。でも、大学に入って、周りはどんどん茶髪になっていく。
 そんな同級生を横目に、「日本人なんだから、生まれつきの黒髪で勝負よ」と強がってはいても、何となく垢抜けない自分が恥ずかしかった。

 それに、自分にはできないことを、周りの人は難なくやっていて、それで悔しがっている様子を悟られたくなかった。高校生の時も、修学旅行で1軍の女子たちがメイクしてるのを見て羨ましいのに、「メイクとかわざわざ大人になって嫌でもしなきゃなのに、すっぴんの今を楽しめないとか…笑」みたいな意地悪いことを考えて相殺していた。
 私はおしゃれができないのではなく、あえてしないのよ、みたいな、ドンキで買えば50円の水が、空港では150円するくらい無駄に高いプライドがあったのだ。

 でも、大学生になって、どうしてもおしゃれがしたくなってしまった。
垢抜けない私を変えたくて、まずは肌に負担の少ないインナーカラーを入れてみることにした。地肌につかないようにお願いして、流行っていた鬼滅の刃のカナヲちゃんみたいな色にしてもらった。
 そしたら、もう、髪を染めていない自分には戻れなくなった。鏡を見るたびに、「あ、かわいい!」って、ときめいて笑顔になってしまう。

 例えば、300円のバス代が現金でちょうどなくて、混みあった車内で「すみません!すみません!通してください!」と謝りながら、慌てて両替した日があった。しかし、その後でも、「私、今、髪ピンクなんだもん!」とウキウキできた。
 いつもなら、「ああもう、何で小銭ないんだよ!」とイライラしてしまったかもしれない。

 インナーカラーを担当してくれた美容室の方は、地肌にカラー剤を付けずに全体カラーができる「パレット」という技術を持った方だった。そのことを知った私は、インナーカラーが落ちた4か月後に、ついに全体を栗色に染めた。

 髪色がかわいいと、テンションが上がって気持ちに余裕ができる。そして、優しくいられる。
「嫌なことがあったら美容室で髪色を自分の好きな色に」
もし、ビッグになってテレビの取材が来たら、私のセブンルールとして紹介しよう。

 

#髪を染めた日

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