真夏の失恋と免許合宿からの成長
みなさんこんにちは。
ヨガインストラクターの吉田紗弥です。夏本番という感じでそろそろ夏やすみの楽しい予定を立てていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
今日もヨガのお話から入っていきます。
今から約2000年前に成立されたとされる根本経典ヨーガスートラには私たちの生活をより良くしていくための賢者の教えが記されております。その中から一説ご紹介いたします。
「タパスによって超自然力が得られる」
この一説のタパスという言葉なのですが、日本語で苦行と訳されます。
苦しい行いをすすんで行いましょう、という教えです。苦しい行いによって大きな力を得ることができるという教えです。
とはいえ私たちは苦しいことはできるだけ避けたいものですよね。苦しさはどうしてもネガティブなものとして考えがちです。
けれどもヨガの教えでは苦しい行いはできるだけ行いましょうと言っています。
私たちが普段「苦しい」と感じるのは、自分の許容範囲を超えていることを「苦しい」と感じます。けれども自分の許容範囲内だと楽だと感じます。
例えば筋トレで例えてみます。最初は重いダンベルを持ち上げる時、きつい、苦しいと思い、なかなかダンベルが持ち上がりません。けれどもそのダンベルを持ち上げ続けることで次第に小さかった筋肉が大きくなり骨も強くなり、最初は持ち上がらなかったダンベルを持ち上げられるようになり、さらに重いダンベルに挑戦することもできるようになるでしょう。これが一説の中の「超自然力」という意味なのです。
オリンピック選手も楽しいだけでなく辛い練習にも真剣に取り組み、大きな力を得てオリンピックで金メダルを手にしています。
私たちの日常の生活や人生も同じです。最初は苦しいと感じることでもその苦しさを避けることなく行っていくことで心が鍛え上げられ、自分の許容範囲が広がり、自身の可能性が広がりその苦しさは楽しさへ変わっていくことになります。
ですので「苦しい」ことを行うことは決してネガティブなことではなく、自分自身が強くなるための人生の筋肉痛だと考えれば人生はもっと謳歌できるようになるでしょう。
私のお話になるのですが、大学生の頃の話になります。私は京都の大学に通っていた時、合コンである男の子と出会い付き合うようになりました。
その男の子は奈良出身の同じ大学生だったのですが、将来はお笑い芸人になりたいと言っていつも笑わせてくるような男の子でした。
恋愛の経験が薄かったのもありワクワクしていたのか、その子が面白かったからなのかわかりませんが常にその子といるととても楽しく、デートもいつも仲良くいろんなところへ遊びに行っておりました。
そして夏休みに入り、大学生の夏やすみはとても長いので、この長い夏休みを利用して私は車の免許を取りに行くことにしました。免許合宿というのがあり、値段もお手頃で二週間程度の短期間で取得できるというのです。
私はその二週間、生まれの四国の徳島で免許合宿に参加することに決めました。
とはいえ、周りの友人はすでに免許をとっている子が多く、1人で参加することにしたのです。
そしてその二週間京都を離れ、その彼氏に二週間後会うことを決めて徳島に向かったのです。
そしていざその合宿は始まってみると、楽しいことより辛いことだらけの毎日なのです。
一日中学校の中で缶詰状態で勉強です。新しい勉強で二週間という期間のなかで詰め込み状態です。1人で来ている私にとっては息抜きに仲良くお話できる人もおらずひたすら勉強です。
通常は皆さん車の免許は何ヶ月かかけてじっくり勉強するところを二週間で全部覚えなくてはならないのです。それはやはり思っている以上に大変なことでした。
そして免許合宿の前半のある日の夜、付き合っていたお笑い芸人志望であるその彼氏から電話がかかってきました。
辛い合宿の中で励ましてくれるのかと思いきや、
「好きな人ができた」と別れ話をいきなり出してきたのです。聞けばクラブかイベントで知り合ったばかりの子だというのです。
はー!?と当時の私は20代になったばかりの恋愛のすいも甘いも知らない女子で、彼氏に振られただけでこの世の終わりのようなショックを受け、気がおかしくなり発狂しそうになりました。
よりによって私が免許合宿でひたすらに勉強を頑張っている時に他の女の子と仲良く遊んでいるとは。。
しかし悲しいかな、現実は変わらず進んでいきます。
振られた次の日も免許合宿の勉強に追われていきます。
免許をとったみなさんは覚えているでしょうか?免許を取る前に適正検査というものがあるのですが、それは「おおらかで感情が安定しており、協調性がある」ことが求められるのですが、振られてからの私にその適性は全くなかったと言えるでしょう。。
ただただ怒りで情緒不安定となり、目の前の現実は新しい勉強ばかりで、車の運転に集中しなくてはなりません。S字クランク、縦列駐車、高速道路の運転。。
恋愛の経験も少なく許容範囲が狭かった若かった私にとっては詰め込み状態プラス振られた悲しさもあり毎日がさらに地獄と化し苦行、タパスなのです。
しかし、失恋の痛みに耐えながら超ストレスフルな状況になっていても、励ましてくれる人はいるものです。教習所のおっちゃん先生たちなどに応援され、合宿に来ていた同じ学生の子と仲良くなり田舎道を自転車を使って走り、試験合格のため道を覚えたり、道の標識を確認しあったり免許合宿の免許合格を目指しました。
失恋の痛手と免許合宿の苦しさもありその人たちの優しさが身にしみ
「男は裏切るけど努力は裏切らない!」とひたすら頑張り続けたのです。
そして最終日の日、必死の努力の末、二週間の合宿生活最後の試験で一発合格することができたのです!
その合格はこの上ない幸せと達成感がありました。
そして京都に戻ってから友人何人かと一緒にキャンプに車で行くことになり、レンタカーを借り、兵庫の田舎道を運転したときは楽しさと気持ちよさの中に大きな幸せを感じることができました。次第に失恋の傷も癒え、この出来事は夏の一つの大きな思い出となっていったのです。
当時の若い私が夏の恋に敗れ、そしてやったことのない車の運転という許容範囲を超えた勉強ずくめの毎日は苦しいながら当時の私から一歩大きく成長したように思います。
私たちは人生の中で苦しさという感情にネガティブな思いを抱いてしまうことが多いかと思います。
けれどもその苦しさは私たちの許容範囲を広げていく行動そのものであり、その許容範囲を超えていくとき私たちは大きく成長し、人生の可能性を広げていくことができます。
まるで、どんな苦しい練習にも耐え、オリンピックの舞台で輝かしい金メダルを手にするアスリートのように、私たちも今の苦しさから大きな力を手に入れ、自分自身の人生の可能性を広げていくことにしましょう。