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もっとを追い求める私たちへ/アパリグラハが教える生き方
こんにちは!
ウェルビーヨガアドバイザー吉田紗弥です。
11月も終わりに差し掛かり、
紅葉の綺麗な季節ですが、
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今日もヨガの哲学のお話を進めてまいります。
今から約2000年前に成立されたとされる、
ヨガの根本経典
「ヨーガ・スートラ」には、
私たちの生活をよりよくするための
昔の賢者の教えが記されています。
その中から一つ言葉をご紹介します。
アパリグラハ
という言葉があります。
「ア」は否定を表す接頭語、
「パリグラハ」は「貪る」
という意味です。
ですので、
「アパリグラハ」は
貪ってはいけない、
執着してはいけない
必要以上に求めてはいけない
という教えになります。
今の私たちの身の回りというのは
便利でたくさんものに溢れ、
たくさんの情報に溢れて
選択肢が増えています。
自分が持っていないものを、
他の人と比較して
「あれも欲しい」
「これも欲しい」
と自分の欲を大きくしてしまいがちです。
そうなってくると、
手に入らないことで、
自分を苦しめてしまい、
本当に大切なものを見失ったり、
本当に大事にしたいものが
わからなくなってしまったりしてしまいます。
例えば、
冬のセール。
安いからと言って欲張って
必要以上にいっぱい買ってしまうと、
家に帰っていざ
品物を見てみると
「似たようなもの持っていた!」と
気づき、
その品物を使わなかったり、
大事にできなくなってしまったりしてしまいます。
このように、
私たちは、
日常生活の中で、
「もっともっと」と
貪欲に何かを求めすぎてしまうと
本当に大切なものを見失いがちになってしまいます。
ですので、そういうとき、
今の本当の私に必要なのか?
今これはするべき行動なのか?
と自分自身に問いかけをすることで、
握って離さなかったその
何かに対する執着を手放し、
本当に大切なもの、
身近にある大事なものに気づくことができるはずなのです。
ここから私の、
アパリグラハにまつわる、
お話になります。
私は京都の大学出身なのですが、
最近、夫が京都へ出張へ行くことになり、
さらにこのタイミングで
同じ大学出身の友人が今回
また大学に勉強で通うことになり
彼女にも会いにと
夫の出張と
久しぶりに友人に1泊2日で
会いに行くことに決めたのです。
京都のホテルをラッキーなことに
格安で取れることができたのです。
ホテルは割とビジネス街ではありましたが、
少し足を伸ばせば、京都タワーや
二条城や東本願寺、西本願寺、さらに京都水族館までもある!
そして、当日。
まさに旅行日和という感じ。
天気は晴天。さらに寒さも
そこまでという感じで、
久しぶりに訪れる京都は観光客がわんさか。
遠くに見える山々は紅葉がちらほらみえ、
気分は上々!
先に出張で前乗りしていた
夫が二条城の近くで宿泊していたので、
合流し、その近くの和食屋さんで食事。
割烹屋さんという感じで
お料理はコースのみ。
季節の釜飯など、京都らしい、
出汁の効いたお味を堪能し
おかみさんや料理長も素敵な笑顔!
大満足で店を後にし、夫と別れ、
久しぶりの京都を肌で感じたい!
ということでホテルまで歩くことにしたのです。
最初は、
京都の街並みを散策するつもりで歩いていたのですが、ホテルまで
マップでは20〜30分と書いてあったのですが、なかなかつかない・・。
しかも、周りはビジネス街の大きな通りで
そこまで風情もなく、
大きなビルの連続。
そして
ようやくホテルに着いたのが
チェックインの時間の3時。
歩き疲れ
近くのカフェでゆっくりしていると
時間は4時になってしまい
旅行の計画では
西本願寺や東本願寺、そして水族館や
渉成園と言われる綺麗な庭園も見る予定が
全て閉館時間ギリギリ!!
どこに行こう、
でもここも閉館ギリギリだし、
向かう途中で閉館時間になりそう、
といろんな場所を探し、
「せっかく久しぶりに京都に来たのに」
と
色々調べているうちに
もうあたりは薄暗く夕方近くに。
夜からは友人と夕食を取る予定で
その間は1人で京都を堪能しようと計画を立てていたにもかかわらず、
結局全てが中途半端になる時間になってしまい、
無駄な時間を過ごしてしまっている〜!!
せっかくの京都旅行が・・・泣と
思いながらホテルの部屋で
Googleマップを見ていると、
近くに小さな銭湯があることに気づきました。
「もう全部やめて銭湯でゆっくりするか」
と計画を切り替え
そこへ向かったのです。
ホテルからは歩いて数分のところにあり、
見た目は昭和レトロな昔懐かしの銭湯で、
番台があり、
にこやかなおばあちゃんが京都弁で出迎えてくれました。
そして中に入ると、
意外と広々としたお風呂で
さまざまなお風呂の種類が!
サウナ付きで
有名な鉱石を使ったお湯もあり、
しかも人が少なく静かなお風呂をまるで独り占め!!!
そしてそんな癒しのお風呂に浸かっていると、
さっきまであんなに欲張って
「あそこもここも、あっちもいきたい」
と思っていた自分が
少し穏やかになり、
落ち着きを取り戻し、
学生時代よく入った銭湯を思い出したり、
学生の思い出に浸っていると、
こんなゆっくりまったりする京都旅行も最高だなぁ
と思え、
あたらめて、学生時代に過ごした
京都をまるで生活するように旅するような感覚になり
心も体のぽかぽかに
ノスタルジックに浸ることができた(お湯に浸るだけに笑)のです。
もし予定をつめこんで
もちろんその詰め詰めの京都観光も
それはそれで楽しかったかもしれません。
しかし
今回、このように全て手放し、
ゆったりとした時間を過ごすことで、
普段の疲れを癒し、
思い出に浸りゆったりと
結果として京都を楽しむことができたのです。
私達は日常生活の中で、
つい何かに固執し
もっと、もっとと
必要以上に求めてしまいがちです。
けれども
離さなかったその何かを
手放すことができた時、
自分が大切にしたかったものに気づくことが
できるはずです。
まるで
汚れた泥の中から
美しい花を咲かす睡蓮のように
私たちも
自分の中にある
執着を手放し
大切なものを
見つけていきましょう!
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