ちーちゃんの胎内記憶
ちーちゃんが2歳のとき、私はとっても不思議な経験をしました。
当時、ちーちゃんは2歳になり、おしゃべりがだんだんと上手になってきた頃でした。
その日の夕方、いつものようにちーちゃんと一緒にお風呂に入った後、ドライヤーでちーちゃんの髪を乾かしていたときでした。
ちーちゃんは、急に自分からこんなことを言いました。
「ちーちゃん、ママのおなかにいるとき しょんぼりだったの。」
私は、とてもびっくりして、ドライヤーを止めて聞き直しました。
「ちーちゃん、ママのお腹の中にいる時しょんぼりだったの?」
するとちーちゃんはこう答えます。
「うん、しょんぼりだったの。」
私は、この子がお腹にいるときは幸せで、大きくなったかな、早く会いたいな、と毎回の健診まで待ちきれないほど本当に楽しみにしていました。
それなのに、ちーちゃんはしょんぼりだったの…?
私、何か変なもの食べたのかな?
急な運動したかな?
その瞬間に、いろんな思いが駆け巡りました。
私は思いきって、ちーちゃんにこう聞いてみました。
「ちーちゃんは、どうしてしょんぼりだったの?」
すると、ちーちゃんから思いもしない答えが返ってきました。
「だってね、ママがしょんぼりだったから。
ママがしょんぼりだったから、
ちーちゃんもしょんぼりだったの。」
私は、ハッとしました。
当時、私は出産1ヶ月前まで仕事をしていました。
その時、ある大きなトラブルに見舞われ、とても辛く、とても悲しく、とても悔しい思いをしました。
私は毎日毎日そのことを考え、何度も泣いていました。
それは、ちーちゃんが生まれる2ヶ月前。
お腹の中で3000gにまで成長していたちーちゃんは、その時「しょんぼり」していたんです。
私は時折無理をして、精神的にもいっぱいいっぱいになって、そんなとき張ったりするお腹をさすりながら、「ごめんね…」と また泣いたりもしていました。
ちーちゃんは、ママの心臓をいつも感じていて、ママの血の流れる音を毎日聞いていて、ママから作られる栄養を日々もらって、ママの声、お腹の外の音を感じながら、生きていました。
「一心同体」とは、まさにこのことだと思いました。
ちーちゃんは、私が感じていた気持ちをそのまんま、一緒に感じていたんです。
ちーちゃんは、私が感じていた「しょんぼり」を感じて、一緒に「しょんぼり」していたんです。
ママがしょんぼりだと、ちーちゃんもしょんぼりになってしまっていたんです。
私は、ちーちゃんを愛しているつもりだったけど、ちゃんと、生まれる前から、私の方がちーちゃんに愛されていたのかもしれないな。
そう思いました。
生まれる前の話なんて、ちーちゃんにはしたことないのに、ちーちゃんの方からそんなことを言い出したのは、本当に驚きました。
「胎内記憶」と呼ばれるものは、本当にあるんですね。
赤ちゃんは、お腹の中で もう生きていて、新しい人生をスタートさせているんですね。
改めて、そう痛感させられた出来事でした。
私はちーちゃんに笑顔で言いました。
「今は、ママしょんぼりじゃないよ!
ちーちゃんに会えて、とっても嬉しいよ。」
そう言いながら、ちーちゃんをぎゅって抱きしめながら、また涙がこぼれそうになるのでした。
こうやって、「いのち」はつながっていくのかな。
こうやって、私も生まれてきたのかな。
目の前にある「いのち」。
大切に大切に、いまも、これからも、生きていきたいな。
引き続き「コドモにいいを あたりまえに」考えられる空気を求めて、活動していきます。みんなで動けば、きっと変えられる。そう信じてがんばっています。ぜひ力を貸してください!