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舞台フランケンシュタイン-cry for the moon-感想(出演者編)。

出演者の感想

ここからはキャラクターや出演者の方の感想を一人ずつ書いていきたいと思います。
(彩凪さんと七海さんの感想だけやたら長いのは許してください)

1.北村 由海さん(ジャスティーヌ/他)

北村さんは酒場の店員とジャスティーヌを演じていらっしゃいましたが、出演場面は少ないのにすごい存在感と演技力が圧巻でした。
もっと沢山観たい!他の舞台も観てみたい!と思わされる役者さん。
ウィルとの掛け合いが可愛くて大好きでした。
必要なことは全て板の上で表現するぞ、という役者さんらしさと言うのでしょうか、舞台上とご挨拶の時のギャップも可愛らしい…。

2.佐藤 信長さん(ウィル(ウィリアム)/他)

酒場の労働者、神父、警官、ウィリアムと大活躍の佐藤さん。
やはりウィリアムが一番印象的だったのですが、成長した体と子どものままの心を持った青年の姿が嫌味がなくて素敵でした。
素直で純粋なウィリアム、裸足さんとのコンビがすごく可愛くて、そのままずっと友情を育んで欲しかった…。
お母さんの墓前で「立派な大人になるから」と誓うシーンが大好きでした。

3.横山 結衣さん(リズ(エリザベス)/サフィ/他)

アイドルとしてのご活躍を目にしていましたが、役者としての姿を見るのは初めて。
酒場の踊り子の妖艶なダンス、天使のようなサフィ、美しいのに恐ろしいリズ、と、どれも魅力的な姿を見せてくださいました。
横山さんまだ二十歳なの…すごい…。
ウィルがナポレオンの真似をした時に「最も大きな危険は勝利の瞬間にある」という台詞があるのですが、それはこのリズのことを暗示していたのかなと思ったりもしました。いや、勝ってたまるかって感じなんですけども。

4.永田 耕一さん(ラセー他)

酒場の労働者、新聞少年、警部、ラセーと永田さんもお忙しい。
パンフレットやインタビューでは普段は喜劇役者だから不安、というようなことをしきりに仰っていましたが、キュートな労働者と新聞少年も、渋かっこいい警部も、愛情深いラセーも、どれも素敵でした。
そもそも役者さんは喜劇が一番難しいと口々に仰いますし、温かい演技にはジャンルは関係ないのだと思えました。
最後裸足さんに謝罪するシーンが大好きで…裸足さん目線で表情を見たかったです!

5.蒼木 陣さん(フェリクス/判事/他)

フェリクスとダニエル(判事)/新聞記者という全然タイプの違うお役が見られて新鮮でした。
昨年七海さんと共演された『令和千本桜』を観ていたので、明るいキャラクターを演じるイメージがあったのですが、悪いお役も良いですね…!
でもやっぱり表情がクルクル変わって、いつも優しい眼差しをしているお兄ちゃん姿が安心感があって好きです。
フェリクスちょっとお馬鹿だけど(褒めてる)、すごく良い人で頼りになるし、サフィや家族に向ける愛情深い視線と、悪いことは素直に謝れる真っ直ぐさが大好きでした。

6.岐洲 匠さん(ビクター・フランケンシュタイン)

ビクターは科学者として、兄として、男性として…と色々な一面を持つので演じるのが大変そうだなと思っていましたが、岐洲さんのキャラクター造形によって、多面性がありつつも矛盾のない一人の青年が出来上がっていたように感じました。
冒頭の台詞は専門用語が多くて宇宙猫の顔で観ていた私…おまけに10分間独白って信じられない台詞量ですよね。役者さんってすごい。
演技云々ではなく、キャラクターとしてビクターは正直好きではないし、あまり同情する気にもなれないので(ひどい)、リズに撃たれて倒れる時の倒れ方がきれいだなと冷静に思ってしまいました、ごめんパパ。

7.彩凪 翔さん(アガサ/怪物(女))

アガサ役の彩凪さんは、今回の舞台が宝塚退団後初の女性役。
一般の舞台でのストレートプレイも初めてとのことで、どんな役者さんなのかとても楽しみにしていました(七海さんのDSでは拝見していましたが、そちらは宝塚の男役味がとても強かったので)。
まずその声が凛としていて、聴いていてとても心地が良いこと。そして目が見えないことを補って余りある表情と声色の豊かさ。
アガサはその境遇に反してとてもさっぱりとした明るい性格の女性で、面倒見が良く、優しい性格なのが伝わってきてすごく素敵でした。

女性らしさや所作をどうしたら良いのか全然わからない、と言うようなことをインタビューで仰っていたかと思うのですが、本当に自然な一人の女性でした。きっと性別は関係なく、「アガサ」という人間を演じていらっしゃったのではないのかなと感じました。
もっとこの人の演技が見たい!と思う、とても魅力的な役者さんでした。

余談ですが
「(話せないなら)先にそう言ってよ、あ、言えないよね」
「お願いしてたワイン、これで良かったんですよね?(見えないけど)向こうで頷いてる」
という台詞が言い方含め大好きです…姉御…。

そして観劇時まで全く知らなかった怪物(女)役。
凄まじかったです…まるでジャスティーヌが乗り移っているような登場シーンには鳥肌が立ちました。外見や声は全く違うのに、動きも話し方も、本当に北村さんのジャスティーヌにしか見えなかったです。
脳の記憶のせいなのか、怒りと絶望感でいっぱいの、激しく、そして悲しい存在でしたね…本当に何で殺したのパパ…。
ビクターが怪物(女)の言動に危機感を覚えたのはわかるんですけどね、死んでからも勝手に脳を使われた挙句すぐに殺されてしまうの残酷過ぎるでしょ…裸足さんが手厚く埋葬してくれてたら良いな…。

8.七海ひろきさん(怪物)

七海さん初のストレートプレイを本当に楽しみにしていました。
私は東京千秋楽の日まで劇場に行けなかったのですが、最初にゲネプロ映像を見た時の衝撃ときたら。今までに見たことのない姿と演技に言葉を失いました。
それは見た目だけではなく、立ち居振る舞いや表情まで、これは私の知っている七海さんじゃない、初めて見る「怪物」なのだとという驚きと言いましょうか…鳥肌が立って画面から目が離せませんでした。

劇場で観た演技は更に素晴らしくて、以前「七海さんの愛憎入り混じって感情が爆発するような濃いお芝居を堪能したいと思っていた」と書いたのですが、こちらの予想を何倍も上回る演技に上演中ずっと心が揺さぶられていました。
あんなに感情をさらけ出す姿を観るのは初めてでしたし、でも私の好きな愛しい人を見つめる優しい瞳や、見た目の美醜を超える透明感のある美しさも変わらずにあって…すごく素敵でした。
シーンによる演じ分けも見事でしたよね…あの表情や声の変化、台詞回し、舞台俳優だけでなく声優もしている七海さんの演技の真骨頂!と言う感じで惚れ惚れします。

最初は生まれたての動物のようだった「怪物」が、少しずつ言葉を覚え、知識をぐんぐんと吸収し、人を愛する気持ちを覚え、人の身勝手な欲望や感情に触れてもなお純粋に人を愛し、愛を求めて叫ぶ姿が切なく、愛おしくて、涙が止まりませんでした。
原作とは違って救いのある終わりで本当に良かった…!七海さんの薄幸の美青年役もとっても素敵で大好きなのですが、最後はやっぱり幸せそうな姿が見たいですから。

とは言えですね。私個人の性的指向としては泣き叫ぶ姿とか闇落ちした姿が大好物なのも否定出来ない…絶望した演技の時の色気がね…半端ないのですよ…悲しそうに笑う美しさとかさあ…国宝ですよ国宝。
いや誤解のないように言っておきますが、中の人には何一つ悲しい思いをして欲しくないですし、世界で一番幸せでいて欲しいんですよ!でも!それとこれとは!別!!!
そういう意味でも大変お腹いっぱい堪能させていただきました…ありがとうございました…(今までの感想を台無しにするコメント)

感想まとめ

オフの様子でも、そしてもちろん舞台上でも、素敵な座組だというのがひしひしと伝わってきた今回の舞台。
何の心配もストレスもなく、ただただ舞台を満喫出来たのは皆さまの息の合ったチームプレイと演技力あってこそだったなと思います。
もちろん演出や脚本もとても素敵でした!
切なくて、美しくて、愛しい作品をありがとうございました。

配信が終わってしまって、夏までBlu-rayが見られないのが淋しすぎる…公式様…七海さんアングルと彩凪さんアングルと大千秋楽をアンコール配信してくれても良いのよ…お財布の準備は出来ていてよ?


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