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剱岳 雑記

 年長の友人が居まして。
 塾を経営していた頃からの知己です。
 その方が還暦手前での手習いとして始めたのは、登山でした。
 ちょっと大丈夫ですか、と心配にもなりましたが。周囲にそういう経験者が多くて、アドバイスも貰えるというので見守っていました。
 彼女は最初は低山から始めて、それでどんどんと難易度の高い山岳への挑戦が始まって。
 Facebookでの報告を見ていますと、冬山とかの登山を始めていました。
 私が文筆趣味を始めたきっかけの作家が新田次郎なので、かなりの山岳小説の作品を読んでいて。それで登山には興味はあったのですが、その机上の知識においても最難関であろう山が剱岳です。

 元々この山は神の宿る山岳として信仰を集めていました。
 そのために明治時代においても未踏峰で、この山頂に測量のために三角点を置くという目的で初登頂がなされたそうです。
 新田次郎の「剱岳・点の記」という本が物語りまして。映画化もされています。
 しかしまあ。当時の木造りで重荷であったろう測量機材と、三角点の石材を背負ってあの難所を超えるというのは・・・
 しかも未踏峰なので鎖場とか、梯子もかかっていないわけで。

 この辺りまでは素人でも登ってみたい気もしますね。
 これで8月のお盆前だそうです。
 気温は肌寒いくらいですが、岩に取り付くと汗だくだそうです。水分もびっくりするほど摂取しますが、10時間近く尿意は感じないそうです。
 その水分は殆ど発汗で蒸散されているのでしょうね。

絶壁で手がかりがないので、梯子が打ち込まれています

 最早、こんなの無理だと思います。
 側溝に転落して足首を複雑骨折して以来、脚立🪜にも乗りたくないヘタレとなっちまいました。
 だってさ。
 下記写真でのエリアは、まだまだ急坂であって、登攀じゃないといわれたんだけど。バランスを失えば一気に数百mは転落するでしょうね。
 友人はここに見学のつもりで来たそうですが。同行した山男たちに「まあまあ、アタックできるさ」と連れていかれたそうで。
 それで山頂まで到達したのですから。

 それにしても人生で最も恐怖を覚えた山岳だそうです。
 その恐怖は何といっても下山にあります。
 登攀の上りは手元・足元に注視もできましたが、下山時には奈落の底を眺めつつの降下です。確かに事故は下山時の方が多いのだそうで。

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