3年目の日々
晴天続きの離島に、雨が降る。
涙雨みたいにさめざめと降る。
この地に地域おこし協力隊として赴任して、3年目を迎えた。任期でいえば最終年度で1日1日がカウントダウンでもある。
今朝は知人の訃報を知った。
島に移住して初めて声を掛けてくれた人だ。
ガソリンを給油しに来ただけなのに、「ちょっと話をしていかんね」と。ソファに迎えてお茶と蜜柑を出してくれた。
並んで岸壁に立つと漁港なのに、海底まで透けて見える。
「魚も居ろう?」
「クロですか。釣らないんですか?」
「こんな所の魚は釣らんよ」
という会話を覚えている。
それが島の風習なのか最初のひと月余りはあちこちでお茶を飲んだ。
その彼が動脈瘤破断で旅立ってしまった。
ガソリンを給油に行ったり立ち話をするだけで、まだ薄い縁ではあるけれど。
明日は参列しようと、思う。