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【詩かもしれない】深淵


いつもは目線の高さで見る空を、何の気なしに首を90度上に曲げて見上げてみると、めまいがして、そのまま背後に倒れそうになる。底の知れない得体の知れない深さが一瞬、雲間から伺えるようで、背筋がヒヤリとする。高層ビルやタワーから街を見下ろす時。淀んだ淵の、あるいは自分の乗った船の下の海の深度を想像する時。それよりももっと遠い距離が頭上にある。夕闇が濃さを増すごとに、それは限りなく深くなり

放り出されるように沈んでゆく



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