私が原因不明のめまいに悩まされ続けた話(その1)

私は30歳の頃から原因不明の目まいに悩まされ続けている。この記事を書いている時点でもう8年が経過しているが、症状は治まるどころか悪化の一途を辿っている。そろそろ過去の記憶も曖昧になっているので、このタイミングで備忘録も兼ねて、同じ悩みを抱えている方の一助になればと思い、記事にすることにした。

めまいの始まり

2013年秋、それは突然やってきた。

その日私は、当時交際していた女性とドライブデートに出掛けていた。夕日が沈むのを見る絶好のスポットがあり、日没を見届けた後、帰路に立っていた。そのスポットとは半島の先端に位置する灯台で、道中は崖を沿って通るような、いわゆるワインディングロードという道だった。

辺りはすっかり暗くなり、途中に待避所のような場所があったので一旦車を停め、しばらく2人で夜景を楽しんでからまた出発した。後から気付いた事だが、そこからすぐ近くに有名な心霊スポットになっている廃ホテルがあったらしい。多分関係無いと思うけど。

私は当時乗っていたMT車を得意気に運転し、シフトチェンジの合間にはさらに助手席に座る彼女の片手を握りしめるという荒業に出た(それは今回が初めてではなかったのだけれど。)

「すご~い!そうとぅーす君って運転上手なのね!」なんて言われたりしたので、私もすっかり気分を良くして運転していた。そうして険しい道もそろそろ終わろうかとしていた時、突然体に異変を感じた。

気持ち悪い。なんだこの感じは。そうだ、乗り物酔いと同じ感覚だ。元々私は酷く乗り物酔いする体質で、自分で車を運転しないと15分と持たずにダウンしてしまう。そうこうしているうちに冷や汗が出てきた。気持ち悪くて吐きそうだ。早く車を止めて横にならないと。

助手席の彼女も異変を察知したのか、「大丈夫?」と声を掛けてくる。私も先程までの勢いもあって、「ああ…」としか言えなかった。だが、我慢の限界はすぐに訪れる。「ちょっと手放していい?」と言ってとりあえず両手で運転に集中する。すぐにでも車を停めたいがここは崖沿いの道路、車を停める場所なんてそうそうあるものではない。

そのまま5分程走るとようやく道は平坦になり、コンビニが見えてきた。ここで私は彼女に体調が悪くなった事を告げ、コンビニに入った。この時程コンビニがあって良かったと思った事はない。コンビニに入るとトイレに一直線。便器にしゃがみ込み嗚咽を上げるが、出ない

トイレでしばらくしゃがみ込んだ後、吐き気は治まったがまだ気持ち悪さ(後にめまいと呼ぶようになる症状)は残り、運転できる状態になるまで車で休むことになった。気を遣った彼女が飲み物とスイーツ(!)を買ってくれた。気持ち悪いって言っているのに…

15分、はたまた30分位経ったか、ようやく起き上がれるようになったので、再び車を運転し、帰路に着いた。

灯台を出発した頃とは車内の雰囲気が違う。苦し紛れに「自分で運転して酔っちゃったのかな、ハハッ」とか、どこかのテーマパークのマスコットみたいな喋り方をして誤魔化しながら何とか場を持たせていた。

そうして何とか彼女を送り届け、私も帰宅した。時刻は日付を超えようとしていた。次の日も仕事だ。正直シャワーを浴びるのも億劫だったが、そのまま寝るのも気持ち悪いので、彼女にLINEを送ってシャワーを浴びてすぐに寝た。

消えないめまい

翌朝目が覚めると、昨日のめまいの感覚が残っていた。しかし、仕事ができない程では無いので、身支度して出勤した。というのも、当時の私の仕事は専門性が高く、他に代わりがいなかったので、どんなに体調が悪くても出勤しなければならない状態だった。

数日経ってもめまいが治まる様子が無い。当然彼女にもその状態を伝えていた。彼女は乗り物酔いが悪化してめまいがしていると解釈していたようで、その手の症状に効果のありそうなWebの記事をLINEで送ってきた。それは、前転して目が回ることに慣れるという内容だった。

私は半信半疑だったが、彼女がせっかく送ってくれたという思いもあり、早速試してみた。まずは1回ゴロンと前転する。気持ち悪い。それどころか身動きが全くできない。全く起き上がれない状態になり30分位が経過した頃、ようやく起き上がれるようになった。その時は正直彼女を恨んだ。

当時の私は週3~4日、夜にジョギングをしていた。今の職場の社長の趣味でとあるマラソンに誘われそうになったので、これはマズいと思って慌てて走り出したのがきっかけだ。元々長距離走は苦手な方で、子供の頃はクラスで1番遅かった。

だが、不思議なことに大人になって走っているうちにタイムが伸びだした。初めは7分/kmオーバーだったのが、ベスト時には6分10秒/kmくらいになっていた。それを1日当たり5kmほど走っていた。子供の頃の私からは考えられない距離とタイムだ。

ところがそのタイムがめまいが始まる直前の夏場に7分/km位まで下がってきた。この夏も結構暑かったので、最初は暑さのせいだと思っていたが、涼しくなってきた秋になってもペースが戻らず、やがてめまいが始まった頃にはもう5km完走することができなくなり、遂に走るのをやめてしまった。

付きまとうめまい(2021/4/4追記)

まだこの頃は、常にめまいがしていた訳ではなく、体(特に首)を動かした時にめまいの症状が現れた。めまいも延々と続くわけではなく、しばらく時間が経つと治まっていた。

それを象徴するような出来事を一つ話したいと思う。

季節は冬になり、すっかり寒くなっていた。

その日は彼女とディナーデートに行く予定になっていた。隣町に彼女が行ってみたいというお店があったので、ディナーを予約していた。お互い仕事の日だったので、仕事終わりに行けるように少し遅めに予約した。多分20時くらいだったと思う。

彼女は隣町にある某ファッションセンターに勤務しており、仕事が終わる時間はほぼ一定だ。一方の私は、その日の忙しさで終わる時間が変わってくる。その当時は大体18時~19時くらいの間に終わっていたので、片道30分位の隣町まで20時なら、余程の事が無い限り間に合うと判断した。

幸いその日は無事に仕事が終わり、早めに待ち合わせ場所に着いた。待ち合わせ場所は、お店の隣にある書店だった。書店と言っても色々な物を扱っている。TSUTAYAやゲオのような感じのお店だ。そこで適当に雑誌を手に取り、立ち読みをしながら待っていた。

すると、首にだるさを感じてきた。マフラーをしていたので、余計そう感じたのかもしれない。ずっと下を向いていたからに違いない。顔を上げ、姿勢を正して首のだるさを紛らわせようとした。

(ツンツン)

何かが私の腕を叩いた。

彼女「お待たせ」

そ「おう、お疲れさん」

彼女「待った?」

そ「いや、俺もさっき来た」

彼女「何の本読んでたの?」

そ「いや、別に」

この時多分、ファッション系かインテリア系の雑誌を読んでいたと思う。特に読みたいわけじゃなかったけど、彼女が店に入ってきてすぐに探せそうな所を選んだ。それからしばらく、読んでいた本の事を話してたと思う。

そ「少し早いけど、そろそろ行く?」

彼女「そうだね」

ちなみに、待ち合わせ場所にこの書店を指定したのは彼女だ。今日ディナーに行くお店は駐車場の台数が少ないらしく、食べログを見ると、初めから書店に止めた方がよいというクチコミもあったそうだ。

書店を出て徒歩で1分。駐車場を挟んだ隣にお店があった。予想に反して、車が1台も止まっていなかった。

そ「車止めれたねw」

彼女「まあいいじゃん、この位の距離w」

お店に入り、予約していた旨を伝え、席に案内される。4人掛けのテーブルに2人向き合って座る。料理はコース料理を予約していた。確かピザとかパスタとかが出てくるセットだった。

まず、水とナイフやフォーク類が運ばれてくる。私はその時、体の異変を感じた。

気持ち悪い。それに手足が痺れてきた。

冷や汗が出る。水が欲しくなるので水を飲みまくる。まず最初の料理であるサラダが出てきたが、その頃にはコップの水は殆ど無くなっていた。何とかサラダを口に運ぶ。食事中も会話はしていたはずだが、どんな会話をしていたか覚えていない。

その後、ピザやパスタなどが運ばれてくる。手が伸ばせない。これを食べたら吐いてしまいそうだ。ここでテニスプレイヤーのごとく、トイレブレイクを挟むことにした。

トイレに入る。まだ吐きそうではないが、気付けば首の後ろも痺れていた。少し長めにトイレに籠り、少しでも症状が治まるのを待った。

トイレから出て席に戻っても症状は治まらない。だからといって料理に全く手を付けない訳にもいかない。私は何とか出来る限りのペースで料理を口にし始めた。だが、いつもより明らかに食べるペースが遅いので、彼女が感づいた。

彼女「ねえ、どうしたの?」

もう誤魔化せない。私は白状した。

そ「あー、何か… 気持ち悪くて」

彼女「えー?ちょっとー、私一人で全部食べれないからちゃんと食べてよね!」

そ「ちょっと待って」

彼女「っていうか最近、そうとぅーす君って私といる時いつも調子悪いよねw」

ここでケンカになってもおかしくなかった。だが彼女は私の3歳上。お姉さんらしい対応をしてくれた。そういう話をしている内に、気が楽になったのか、料理に手を出せるようになってきた。

そして何とか料理を全部平らげ、デザートが運ばれてきた。

そ「おっ♪」

彼女「デザートは食べるのかよ!」

何を隠そう、私はスイーツ大好き。デザートは別腹なのだ。そしてこの日も、吐き気よりそれが勝った。

デザートをあっという間に平らげ、一息ついてお店を出る。その頃にはもう、お店に入る前の足取りに戻っていた。

そ「いやー、なんかゴメンね。急に(気持ち悪さが)来ちゃってさ」

彼女「もう、びっくりしたわ!w」

そんな会話をしながら、その日は現地で解散した。

この日以外も彼女と会うと、必ず毎回このような症状が現れるようになった。「あー、また来たー」みたいな軽い感じで申告していたが、そのうち彼女が食事の度に、「今は調子大丈夫?」みたいな感じで聞いてくるようになった。無理もない。そうさせてしまったのは私なのだから。

整形外科を受診

そうこうしているうちに春になったが、その間も相変わらずの状態だったので流石にヤバいと思い、病院を受診することにした。受診したのは整形外科。

なぜめまいなのに整形外科?と思われるかもしれない。当時私がめまいについてググっていると、ストレートネックがめまいの原因になっているかもしれないという記事を見つけた。実は私はかなり姿勢が悪く、1日中PCを相手にしていたので、猫背でストレートネックといういかにもそれっぽい状態になってしまっていた。

という訳で整形外科を受診。元々ジョギングで痛めた膝の治療で通院していたのでそこへ行った。病院ではまず先生の問診があり、首のレントゲンを撮影した。レントゲンの写真を見た瞬間驚いた。お手本のようなストレートネック。先生もこれが原因だと断言するに違いない!そう思って疑わなかった。ところが、先生の口から驚きの言葉が出る。

「骨には全く異常ありません」

えっ、何だって!?自分の耳を疑った。「だってこんなにまっすぐじゃないですか。おかしいですよね?」とすぐに言い返した。

「確かにまっすぐですけど・・・」「整形外科上は骨自体に問題が無ければそれ以上は分からないんですよ」

つまり、骨が曲がっていたり、折れていたり、ヒビが入っていたりしないと整形外科の範囲では無いとのこと。じゃあヘルニアはどうなるんだと思ったが、これ以上粘っても無駄だと感じたので、とりあえず吐き気止め(名前忘れた)だけ処方してもらい、1週間様子を見ることにした。

1週間薬を飲み続けた結果、確かに少しは楽になるが、めまいが無くなることは無かった。その事を先生に伝えると、「そうですか…」「ウチではこれ以上の事はできませんね」という返事だった。整形外科は諦め、次の病院を探すことになった。

ー 次回へつづく ー

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