私が原因不明のめまいに悩まされ続けた話(その15)

私は30歳の頃から原因不明の目まいに悩まされ続けている。この記事を書いている時点でもう8年が経過しているが、症状は治まるどころか悪化の一途を辿っている。そろそろ過去の記憶も曖昧になってきているので、このタイミングで備忘録も兼ねて、同じ悩みを抱えている方の一助になればと思い、記事にすることにした。

2人でディナーを

豪傑とまた会う約束を取り付けた後、実際に何度か会った。その中で夜ご飯を食べに行った。前からその店の存在は知っていたが、今回行く事になったきっかけが、その店で姉御がバイトしていたという事だ。つまり副業である。

これまた仕事中に姉御の方からお誘いがあった。

姉御「あの後豪傑と会ってる?」

そ「会ってるよ」

姉御「会って何してるの?」

そ「何って、ご飯食べに行ったりドライブしたり」

姉御「ふ~ん、私今○○○○○って店でバイトしてるんだけど、今度食べに来ない?」

そ「あ~、あそこでバイトしてるんだ。ってかバイトとかOKなの?」

姉御「たぶんダメw 来る日が決まったら連絡して。サービスするからw」

という訳で、姉御がバイトの日を狙って、豪傑と2人でその店に行った。ディナーと言っても普通のカフェなので、パスタとかピザとかその辺のメニューになる。

店に入って席に座る。姉御の姿を探していると、キッチンで料理をしている。まあ彼女の腕前を考えたら、ホールじゃなくてキッチンだろうなとは思った。

しばらくして料理が運ばれてくる。姉御は忙しいのか、キッチンから出てこない。この日何を頼んだか覚えていないが、最後の料理が運ばれてくるタイミングで、ようやく姉御が料理を運んできて、私の席の隣に座った。

姉御「あ~、ようやく来れたわ」

いいのか、バイトがそんな事して。

その時は、他愛もない話をしていたと思う。時折、姉御が不敵な笑みを浮かべていたのがちょっと面白かった。

後から聞いた事だが、姉御はここの店のオーナーと知り合いで、オーナーから頼まれて手伝っていたという訳だ。つまり姉御の事は昔から知っている。私たちのいない所では、「アンタみたいな人が、どこであんないい子達と出会ったのよ~」とか言われてたみたい。ホントどんだけワルだったんだ姉御は。

go to 夏祭り

そうして何度か会った後、夏祭りに行く事になった。隣県で行われる、この辺りでは最も規模の大きい祭りだ。花火の数も他の都市と桁が違っていた。

通常、花火は祭り期間中の土日の2日間上がるのだが、その年はちょうど台風が接近し、2日とも中止になってしまった。しかし、それでは花火がもったいないという事で、中止になって上げられなかった花火を、後日1日で上げてしまおうという事になった。そこで、その日に花火を見に行こうという事になった。

生憎その日は私は仕事だったが、ギリギリ間に合うと計算し、私の仕事が終わったら、一旦豪傑の家まで迎えに行き、花火会場に向かうことになった。

運よく仕事が定時で終わり、急いで支度して豪傑の家へ向かった。豪傑を迎えに行くと、浴衣姿で車に乗り込んできた。私は一目で分かった。この浴衣、そんじゃそこらの女子が着ているような物ではない。

そ「その浴衣似合ってるね」

豪傑「ホントに?」

そ「それ、結構いい浴衣なんじゃない?」

豪傑「分かった?結構いいやつだよ」

その時の会話で、豪傑が実は着物好きであると知った。その時は「ふ~ん」なんて聞き流してたが、後々目玉が飛び出そうになる事を経験する。

花火会場に向かって高速道路を走る。会場手前10km位から車の流れが悪くなりだした。例年ですら多くの人出で賑わうのに、今年は2日分が一度に行われる。2日分の人出が集中して押し寄せているのだ。私はこの事を計算に入れていなかった。

やがて会場まで5km位の場所に差し掛かったところで、完全に車の流れが止まってしまった。マズい。このままでは間に合わない。しかも、車を止める場所すら無いのではないか。花火の打ち上げまで15分、10分と迫って来た。もうダメだ。車内にも諦めムードが漂っていた。

その時である。とあるスーパーマーケットに差し掛かったのだが、スーパーマーケットの裏にある土手に人が集まっている。ひょっとして、ここから花火が見えるのか?私は咄嗟にプラン変更を思いつき、豪傑に提案した。豪傑も快くOKしてくれたので、スーパーマーケットに車を止め、急いで土手に駆け上がった。

その数分後、遠くで花火が上がり始めた。遠くて音は聞こえないが、打ち上げ花火なら問題なく見える。スーパーマーケットの前で渋滞している車を尻目に、私たちは、ささやかな優越感に浸りながら花火を楽しんだ。

花火の打ち上げの間隔が空くたびに、回りで「これで終わり?」みたいな声が聞こえてくる。無理もない。会場のアナウンスが聞こえてこないから、こちらで判断するしかない。花火が終わったと思った人が立ち去ろうとし、また花火が上がり、慌てて戻るという構図が出来上がっていた。

実際、そろそろ終わりそうな時間に差し掛かり、フィナーレっぽい盛大な花火が上がったので、私たちも土手から降りようとしたら、また花火が上がったというシーンもあった。

今度こそ花火が終わった。晩ご飯を食べていなかったので、スーパーで買い物をし、そのまま店内の飲食スペースで食べた。急いで帰っても、どうせ渋滞しているだろうからという事で、渋滞が解消するまでのんびり過ごした。

帰路にて

スーパーの前の渋滞が解消したので、私達も帰路に着いた。しばらく時間を潰していた事もあり、渋滞していなかった。

本来であれば、そのまま豪傑を家に送っていくのだが、途中公園に寄ることにした。その公園は、豪傑の住む町では1番大きな公園だった。先程までのごみごみとした雰囲気とは裏腹に、こちらは人影もなく、しんと静まり返っていた。

適当にベンチに腰掛ける。今日の花火の事。出会ってからの思い出。色々と振り返る。そして私は、豪傑に告白した。何と言ったか覚えていない。自然な流れで、普通の言葉を使って告白したのだろう。豪傑も告白を受け入れてくれた。

そして、キスをした。誰もいない、暗い公園で。いや、ひょっとして誰かいたのかもしれないけど。ちょっと恥ずかしかったけど、勢いが必要な時もある。告白が成功したら、キスして帰宅。そうです、あいのりです。

この日の告白、必ず受け入れてくれるという、不思議な安心感があった。この先もそうした安心感に包まれながら、豪傑と付き合うことになる。本当に、長い長い付き合いになる。

ー 次回へつづく ー

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