現代庭考「新しい原風景」 vol.2
重要なのは既存の環境をできるだけ壊さずに、新たな植生を周囲の景観に溶け込ませ、建築の輪郭を包み込み、目立たせることなく、 静かに林の中に佇んでいるように見せることを心がけています。
かつての吉村順三や石井修といった近代建築の巨匠と呼ばれる建築家たちはひとつのマナーとしてそのようなことを当然行ってきたのではないだろうかと思います。
緑が少ない建築の時代もありましたが、その回顧や内省が現代で求められているのだと思いますし、人工と自然のコントラストは新鮮な驚きを感じさせてくれます。
低く水平に伸びるプロポーションの建築に対しては突き抜けるような高木を入れ、シャープなエッジを持つ建築の入隅・出隅には柔らかな樹形の樹木を添えるのも、建築の特徴を浮かび上がらせ、お互いを引き立て合うものであると信じています。
海や山のようにどこまでも続いていくような風景をつくることがランドスケープの究極のあり方かもしれない。広大な風景と日常を結び付けることができるかどうかが、これからのランドスケープデザインの課題だと思います。