【序盤ネタバレ注意】『忘れられた都市 - The Forgotten City』超名作タイムループゲームプレイレポ
『忘れられた都市 - The Forgotten City』をやるぞ
ご機嫌よう。ローマニアンタイムループミステリーアクションアドベンチャーの『忘れられた都市 - The Forgotten City』をプレイしろと天啓を得た。
噂はかねがね聞いていたし、タイムループものでは『Outer Wilds』は大好物だったため、きっと今回も面白いだろうと意気揚々と出陣した。
タイムループものと言えば古今東西様々な形態がある。
以前の記事で紹介した『Outer Wilds』もそのうちの一つであるが、デスループを使ったギミックだった。死に戻りは分かりやすく、探索の緊張感も生む。
その点において『忘れられた都市 - The Forgotten City』(以下TFCと略)はタイムループものの中では特異な存在であると言える。
タイムループ発生条件の一つが罪を犯すことだからだ。
以下で詳しく語っている、ゲームの核心に触れることは決して無いが少しもネタバレされたくないのであればもう引き返して欲しい。
いいか、ネタバレの忠告はしたぞ!
ゲーム概要
お品書きを見てみよう。公式のゲーム説明だ。
古代ローマでタイムループ?このケミストリーの意味は分からないが既に面白そう。
古代ローマ好きやし、早速始めるぞ。
ゲーム開始~OP探索
時は現代。”私”はどうやら川で溺れていたところを女性に助けられたらしいところから始まる。ここに至る記憶がほぼ無いので、「どうやら」とか「らしい」としか言えない。
私の名前は”オラクル”(公式?名称がオラクルらしい。自分で決められるよ)。女性でも男性でもどちらでも好きなものを選択出来る。(私は男で進めたのでそのように記述する)職業も決めて良い(何らかのボーナスがある)
しかし、それ以外はやはり何にも覚えちゃいない。
女性に私に何があったのか聞くと「二人の男性が溺れていた、そのうちの一人が貴方」という感じらしい。
感謝を伝え、名前を聞こうとすると言いにくそうな雰囲気になる。(こやつ逃亡中の犯罪者か……?)
なんとか彼女の名前を「カレン」であることを聞き出したところ、突然焦るように語りだし、もう一人の男性”アル”が近くの遺跡に入ったきり帰ってこないという。
カレン「アルを見つけに言って欲しい、私はここで待ってるから……」
オラクル「ほう?(お前が行けや!なんで溺れかけた寝起きにいかすねん!)」
カレン「よろしくお願いね、見つけたら連れてきて」
オラクル「まぁ助けてもらった恩もあるしな、わかったやで(既にアルとやらと良い仲のようですなぁ!?)」
目覚めも悪いし、半ばキレ気味に遺跡とやらに入っていくと古代ローマっぽい雰囲気の遺跡だった。
ゲームとは関係のない余談ではあるがローマ人が作り出したローマニアンコンクリートは2000年経った今でも存在が確認できる破格の性能をしている。現代では作り方は分からず、ロストテクノロジーなのである。(現代のコンクリートが50~100年程度の強度)
だからローマっぽい遺跡が残っていてもなんら不思議ではないな!
んなことはどうでもいいがアルを連れ戻す!
遺跡の落とし穴の先に……
ザブンと音がした。
深めのプールに足から着水し、衝撃が和らいだようだった。
再び余談ではあるが、高高度からの着水は死を招く可能性がある。落下速度によって水面はコンクリートのように固くなるためだ。体感20m程度の落下運動したため、私は残念ながら生死に関わる着水をしている。(10m程度が安全に着水出来る限界らしい)
畜生……踏んだり蹴ったりだ……
水面から上がると広大な空間に繋がっていた。
地下とは思えんぞ……
上を見上げれば落ちてきた大穴は天井に暗黒を覗かせている。戻るのは無理だろう。
しかし、どうやらまだ生きているようだ。川に溺れてもカレン助けられたように、私の悪運もまだまだ続いている。
アルもこのトラップに引っかかったのか?マヌケめ。
おーい、アルやーい!どこにいるんだー!
ってか地下のはずなのに空が見えるぞ!怖い!
どうなっている?怖い!
古代人のような黄金像は何かから逃げ惑うように散らばっている。怖い!
ん、あれは……
ぎゃーーーーーーーーーー!!!!!!!
アル!アルじゃないか!!!どうして首を吊った上に黄金になっているんだ!カレンの企みなのか!カレンが探してたぞ!アル!どうなんだ!おい!
近くにはアルの書き置きがあった。石板に書かれている。
『これを読む君へ。残念ながら君も僕と同じ運命を辿るだろう。数えきれない堂々巡りを超えて、長年出口を探したが出口なんてなかった。出口なんてなかったんだ。』
いやいやいや待ってくれ……
俺たちはあのクソみたいなトラップに引っかかった仲じゃないか、話すらしてないのに親近感が湧き始めたところだったんだぞ……
それに堂々巡りってなんだよ。タイムループなのは知ってるけど、嫌だぞこんな黄金像だらけの不気味なところを探索するのは。
長年ってことはつまりあれだろう……老いるタイプのループものだ……老けたくないよぉ……
ささやき声「こっちよ……」
幻聴まで聞こえてきちゃった、おしまいだ……でも行っちゃう。
ポータルの先へ……
着いた先は……2000年前のローマらしき空間だった。
なんというか、綺麗ですね……(語彙消失)
でもこのローマらしき空間。街道のどこにも繋がってないですね?
山間にぽつんとある豪奢な街ってイメージです……。
アルの言った通り、出られなくねぇか?
序盤と黄金律について
近場の男に声をかけようとすると、ジェイソンステイサムばりのナイスガイが振り向く。
ガレリウス「よぉ、俺はガレリウス。見ない顔だな、プロセルピナの聖堂で何してた?」
オラクル「いや、あのですね、ここには初めてやってきた新参者でして……」
数回のやり取りの後。
ガレリウス「本当に何も知らない感じだな……。良し分かった、ここでのルールを教えてやるよ」
オラクル「ありがてぇ……ありがてぇ……(手を擦り合わせる)」
ガレリウス「俺たちの法を守ってくれれば丸く収まる」
オラクル「法……?」
ガレリウス「たった一つの法。黄金律(ゴールデン・ルール)さ。それを破った時は」
オラクル「時は……?」
ガレリウス「恐ろしいものだ(首をちょん切るアクション)」
オラクル「ひへっ、脅かさないで下さいよ旦那ぁ……」
ガレリウス「黄金律については街の政務官に教えてもらうと良い、俺より詳しいしな。案内するよ」
オラクル「何から何まですみません……(手を擦り合わせハゲの頭頂部に指す後光を拝む)」
ガレリウスに案内され、街を闊歩。
街の人は20人程度で構成されているらしい。それぞれが独自の生活スタイルを持っているようだ。
政務官までの道のりで会う者はこんな感じだった。
そして、ガレリウスに突っかかるように静止をかけたのが不遜なる男。
ホラティウス「私はホラティウス。政務官センティウスから直々に命を受けた。ガレリウス、もう帰って良いぞ仕事に戻れ」
ガレリウス「わ、わかったよ。ただ新しい仲間を連れてきただけじゃないか」
ガレリウス「(利用されないよう気をつけろよ)」
ガレリウスは不穏な事を言い残し、あっさり引き下がった。ホラティウスおじさんが引き継いで案内してくれるそうだ。ほんの数十歩あるくと屋敷にたどり着いた。
政務官の屋敷には屋敷の間取り的にセンティウスとその娘が住んでいるようだ。
2階に通され、白髪の老人が振り返る。
センティウス「私はセンティウス、今は政務官をしておる」
オラクル「は、ははー!(畏まる)」
センティウス「黄金律について知っておるかな?」
オラクル「一つも知りません!(即答)」
センティウス「黄金律はこの閉ざされた街の法だ。それで皆が安心して暮らせる、私の仕事はそれを守ることだ」
オラクル「法ってのはなんとなく……で、どんな法なんですかい?」
センティウス「一言で言えば罪を犯さない事だ」
オラクル「そ、そりゃあ殺人とか窃盗とかですか?」
センティウス「いかにも。そうすれば喧嘩も盗みも殺人も無い街だ」
オラクル「それは理想ですが……ちなみに破るとどうなるんですかい?」
センティウス「そこに黄金像が見えるか?街の住人全員があのようになる。つまり全員死ぬことになる」
オラクル「連帯責任!?」
センティウス「そうだ。ミダスとメデューサの複合……人を黄金に変えてしまう、だから”黄金”律なのだ」
オラクル「ひ、ひぇ……でも待ってくださいよ。どうしてそれを知っているのです?全員死ぬならそれを伝えた人も残ってないじゃないですか」
センティウス「痕跡があるのだ。過去にはここにもっと人が居たが全員死に黄金像が残った。貴殿のような”外からやってきた者”がささやかなコミュニティを立ち上げ今があるのだ」
オラクル「な、なんと……」
センティウス「そしてこの街は重大な危機に瀕しておる」
オラクル「それはなんです?」
センティウス「罪なき街とは言えコミュニティには様々な思惑が飛び交う、この黄金律を破ろうとする者がいるようなのだ」
オラクル「黄金律を破ったら全員死ぬのに!?なんでそんな馬鹿いるんすか!?(殺しましょうよ!)」
センティウス「黄金律に触れることはならん、なんとか止めて欲しい。それを任せられるのはこのコミュニティに馴染んでいない者……つまり貴殿しかおらんのだ。貴殿ならどんな派閥にも話を聞けるだろう」
オラクル「黄金律を破るやつを密告すりゃいいんですね!やらせてもらいますよ!(ペコォ……)」
センティウス「黄金律が破られたらプロセルピナの聖堂(ガレリウスと会った所)へ向かえ、いざとなれば私が命を使いポータルを生み出す。貴殿が入るのだ」
オラクル「心配ご無用でさぁ!黄金律は破らせやしやせん!」
……となり、私の古代ローマの冒険が始まったのだ。
しかし、何から調べたものか……
美しい街はただ歩いているだけでも楽しいし、小銭もそこらへんにいっぱい落ちてる。ガメておこう。
ん、なんだあそこで震える女性が……
ファビア「ねぇ!浴場に弓を持った物騒な人がいるの助けて!」
オラクル「!?!!!?自分丸腰っすよ!?!?!??!?!」
ファビア「なんでもいいから助けて!」
オラクル「やったんさい!(やってやろうじゃねぇかの意)」
ファビア「私、近くの神殿の中で待ってるから……キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ファビアがガゼボのような小型の神殿に逃げ込んだ次の瞬間、突然ガラガラと神殿の天井が崩れ去り、ファビアは下敷きになり死亡。
オラクル「えぇえええええ!!!ファビアさん!?」
背後の浴場から影が迫る。
暗殺者「見つけたぞ、ここがカルト教団の根城か」
オラクル「えっ、今度は何!?違いますけどぉ!?」
暗殺者「正直に言えば殺さないでおいてやる、言え。極悪人はどこにいる」
オラクル「知らねぇって言ってんだろうが!!!こっちは死人が出てテンパってんだよ!やれるもんならやってみろ!!!」
暗殺者「ならば望み通り殺してやろう」
オラクル「えっ」
オラクルに向けて矢が放たれた、既の所で致命傷は避けられたが、それ以上に恐ろしい事が起こった。
近くに居た黄金像たちが動き出したのだ。
黄金の弓を持ち、まずは暗殺者目掛けて矢を射る。
たちまち暗殺者は黄金像と成り果てた。弓を引く黄金像のターゲットが自分に向いたと悟ると一目散に逃げ出した。
街中に存在していた黄金像が一斉に動き出し街の人々に襲いかかる。街は逃げ惑う住民で溢れていたが、どこへ逃げていいか分からずあっという間に黄金に変えられていく。
遠くの橋を走るセンティウスが見えた、あれは私が出てきた『プロセルピナの聖堂』へ走っているようだ。彼の言葉を思い出した私は彼の背中を追いかけるが、センティウスは聖堂の手前で何らかの詠唱を行うとその肉体が消え失せ、骨だけになってしまった。
その代わりに、聖堂の中にはポータルが生成されている。黄金像達は弓を番え、こちらを今も狙っている。
これだ。これに入るしかない。
ガレリウスの話は聞き流し、先程の暗殺者の所へ向かった。
ファビア「助け……」
オラクル「ファビア!暗殺者が来ていることは知っている、君は神殿じゃない方へ逃げろ!トラストミー!」
ファビア「えっ、なんで?どうして知っているの?でもわかったわ!」
暗殺者「ネロ皇帝の命により火付け……」
オラクル「そこの神殿に入っていくのを見ました!犯人です!」
暗殺者「……情報提供感謝する」
暗殺者「……ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
神殿は崩れ落ち、先程のファビアと同じ運命を辿った。
暗殺者の死体から弓矢を拾い上げ、しばし思考に耽る。
黄金律は何なのだろうか?罪とはなんなのだろうか?
言うまでもなく『暗殺者が放った矢が私に命中した』ことは黄金律に触れたようだ。私は殺されてないので殺人では無く、暴力でも機能する。
以上の事柄から、黄金律はセンティウスの言う通り実在する。センティウスの黄金律理論は立証された。
何も気にせず暗殺者から物品を頂戴したが、死体からの着服は黄金律的に罪ではないようだ。同様に街に点在している小銭を拾うことも罪ではない。
ループ前に手に入れたものは所持している。小銭は持っていたし、再度置かれているようだ。(無限に金持ちになれるな?)
ファビアの最期を知っていた私はループ後、暗殺者の最期を入れ替えることが出来た。神殿が崩れることを知りながら暗殺者を神殿に招き殺害する事は黄金律的には事故死扱いなのだろう。
窃盗、侵入、偽証、暴力と殺人(幇助)……どこまでが許されてどこからが許されないのだろうか?
この街の罪とはなんだ?
なぜこんなルールが敷かれているのだ?
誰が敷いている?
何故ここの住人はここにいる?
何故?何故?何故……?
暗殺者の持っていた弓を握りしめ、街の探索へと戻る。
分からないことが多いがこの一件で少し糸口が掴めたかもしれない。
だがまだまだ、検証すべきことがある。
黄金律と忘れられた都市の謎に挑む。
プレイ後記。全てが謎、全てが解ける
探索について
良く出来た探索型のゲームとは次の攻略のためのヒントかアイテムを張り巡らせ、導くようにさり気なく次の謎と解法を提示していくものだ。
TFCではクエストが複雑に絡み合い、各所のNPCにリンクするように導線が設定されている。クエストAをこなすとクエストBとクエストCの関係NPCが浮き彫りになる。クエストBをこなすとクエストAとクエストDが……と言った具合にどこをクリアしても次の謎が芋づる式に登場する。あまりにも良く出来ている。
プレイヤーの気づきに対して、リアクションを用意している周到さ。
プレイヤーが行いたい動作を先読みしてちゃんと用意されているのだ、それも陳腐にならず、常に新鮮な探索を提供するのは並大抵の事ではない。
もう一度言おう、あまりにも良く出来ている。
陰謀が渦巻くこの場所で信じられない探索場所が生まれてくる。
探せば探すほど世界が広がっていくカタルシスが更に探索意欲を増進させてくれること間違いなしだ。
上記のレポをご覧になった方ならば既に「序盤から記憶喪失、謎の遺跡、謎の空間、謎のタイムスリップ、謎の黄金律、謎の黄金化、謎の犯人……」と食傷気味になるほど謎を提示してくれる事はご理解頂けたと思うがこれらは本ゲームにおいて全て氷解する謎である。
ゲーム中のどんな些細な描写にも意味があるのだ。
とてつもない作り込みである。
それから、レポは一例である。オープンワールドなので好きなようにクエストを進めてもらえれば全然違った展開が待っているだろう。
NPC達の相互作用を楽しめるはずだ。
ストーリー性について
本ゲームは名作ARPGスカイリムのMODとして登場し、あまりの人気ぶりに世界観を一新して本ゲームに落とし込まれた。
世界観の一新が丁寧かつ納得感のある仕上がりになっており、ストーリー性の高さも人気の要因である。
取り扱う内容は歴史、階級制(ヒエラルキ構造)、善性悪性、哲学、宗教、死生観、時間空間……etcと盛りだくさんだ。把握するのは簡単ではないと思うが、人類が対面してきた普遍的な諸問題は時間をかけて理解する価値のあるものだろう。
投げっぱなしの謎や、考察の余地を残す作品は多々あれど、TFCは何一つ残らないほど伏線が綺麗に回収される。文字通り跡形も残らない。
構成が美しい物語である。
操作性
元がスカイリムのMODだけあって、操作性(弓なども含め)もスカイリムと似てるところがある。アクション的には遊びやすい部類だと思う。
主観での探索は臨場感や没入感を生む……しかし、会話に入る時のシームレスさが不足している。会話を始める→NPCがゆっくりと回転する→「やぁ」といった具合だ。もう少しレスポンスが良くても良いのではないかと思った。
ホラー要素について
サスペンス要素も楽しませて貰った。
公式はホラー要素としている部分だが、ジャンプスケアは無いためしっかり雰囲気で怖がらせてくれる。更にはホラー要素があるクエストが始まる前に注意書きが書かれるほど親切な作りになっている。
バイオハザードがプレイできる程度の恐怖耐性があれば問題なくプレイ可能かと思われる。
総評
内容の難易度は大人向けだけどばっちりオススメだよ。
壮大な世界を感じたいとか、謎とか人間性に挑みたくなった時は手にとって欲しい一本だ。
※本記事はsteam版を全エンディングを回収するまでやりこんでからの評価です。
steamやPS4・5で遊べるみたいだす。