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坂本龍一 | 音を視る 時を聴く 見に行ってきた。

※本文は1/15時点での感想です。チケット購入や展示物の撮影等についてのルールが変更されました。
詳しくは現美サイトをご参照ください(下記リンクより飛べます)。


初めての東京都現代美術館、現美。行ってきた。
去年から楽しみにしていた「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」
教授と参加アーティストによる大型インスタレーション作品を一堂に公開した展覧会。海外で公開されたものあれば、新作もあり。
詳細や参加アーティストは下のリンクより。


現代美術館は地下鉄半蔵門線、清澄白河駅にある。
清澄白河駅に降りたのは初めてだったのだが、町の雰囲気が好きだなと思った。街じゃなくて、町。落ち着く。ここからほど近い両国にもなんとなく似ている。確か清澄白河にも相撲部屋があったはず。

ありました。安治川部屋、現美からめちゃめちゃ近い。
はじめまして現美。

会場へ向かう途中から、野外展示の作品「LIFE–WELL TOKYO」が見える。霧の彫刻だ。
このあと自分も霧にまかれに行くのだけど、上から見るの楽しい。入館前からもはや楽しい。霧の彫刻は、陽が落ちてからがさらによさげだなと思いながら館内へ。

霧の彫刻

平日午後に行ったのだが、中はまあまあ混んでいた。
チケット売り場も曜日・時間帯によってはかなり行列になるようで、この日もちょっと並んでいた。私は、展覧会公式サイト(上記の現美HP)から前日に事前購入した。日時指定をする必要はないので、前もって購入がおすすめ。
買ったのを忘れて行くの忘れるとか無しやで自分…。


1階の展示はどれも好きな感じだった。そのなかでも「water state 1」。もう一度見たい。桝状の入れ物に天井から落ちてくる雨。ぽつぽつと水面に雨粒があたる様子とその音の変化に見、聴き入る。ずっと見ているとだんだん視界が狭まるような、水音以外の音も聞こえなくなって吸い込まれそうな感じが気持ち良い。無心になれる。
本当は誰もいない、もしくは閑散としている時に集中して見たいところだけど、人はそれなりにいつもいるのでできるだけ近くで眺めた。集中。
ぜひもう一度、朝一に行ってみたい。

そして1階の展示でもうひとつ、カールステン・ニコライの「PHOSPHENES|ENDO EXO」。こちらもいつまでもそこにいて見ていられた。見入ってしまって、写真も撮っていない。
この作品につけられている音楽は「12」、教授が病床で作った最後のオリジナルアルバム。曲は「20210310」。アルバム自体がまだ生々しく、普段聴いていても入り込んでしまう。映像をボンヤリ見ながら、このアルバムを作っていた時の教授の心中はどんなものだっただろうと思ったら涙が出た。しばらく座り込んで見た。

展”覧”会だけど、聴覚の集中力がけっこう要求される。water state 1のように小さな音に集中したい展示もある。一部作品を除いて撮影OKなのだけど、シャッター音パシャっと鳴らしながら撮るのがなんだか憚られるほど繊細な展示。そもそも暗すぎてちゃんと撮れないものも多いし(震災のピアノ展示などは歩くのもちょっと怖いくらい照明が落とされている)。
映像展示なので、撮るならLIVEモードやビデオの方があとから見るのが楽しいと思うけど、1階は視覚聴覚をフル稼働してその場に没入する方がより面白いような気がした。


静に沈み込むような1階から地下2階の展示へ。なんだかガラッと雰囲気が変わる。カラフルでエネルギーを感じる。

LIFE–fluid, invisible, inaudible...
公開前にあちこちで画像見たけど、なるほど、これは撮影したくなる。やはりLIVEモードで撮ったものが好み。照らされた円の中央に入って上を見上げるのも楽しい。この作品は、誰かと一緒に来たら撮影しあえてもっと楽しかろうと思った。

タブレットを覗き込むコーナーはごった返していたので、サッと眺めて出てきた。教授のご自宅のスタジオなどが小窓から見られた。

さらに教授のアーカイブコーナー。過去の掲載雑誌などが並び、1984~85年頃の血の気が多いアツい教授のメモ書きがたくさん見れるコーナーもある。教授の字は上下がそろう少し角ばった字だった。昔の青焼き図面の文字みたい。読みやすい。私がいちばん好きなメモは「誠実は悪徳だ」。


そして。霧の彫刻で霧にまかれて、この世でない感やホワイトアウトを楽しんだあとは、最後の展示ブース。
ハンドアウトによると、97年の演奏と映像データを使用、演奏は教授が使っていたMIDIピアノの自動演奏による再現とのこと。曲(音)に合わせてピアノの前にあるスクリーンに幾何学模様が上へ上へ流れていきます。

2曲流れます
演奏後には拍手する人もいた

97年か~懐かしいな、コンサートもまだバンドスタイルで武道館でやったりしてたよね、美貌の青空とか、歌モノを自分が歌うと売れないとかMCでぼやいていたなーなどと、わりとさらっと思い出しながら聴いた。ピアノから流れてくる演奏も、なんとなく若さがあふれているようないないよな。

当時に深い思い入れがある人とか、今回披露されている2曲が大好きな人にはぐっとくると思う。
意識的にぐぐっと、感情的に観ていった方がいいのかもしれない。
曲にもよる。個人的な好みとして、後年のHappy EndやSolitude、Aquaとかだったら冷静に見てはいられなかったかも。でも、今回はなんとなく冷静な気持ちで。技術の進歩ってすごいなーという方が先にきた。没入はしなかったけど、こういう演奏の時代があったなあと懐かしむことはできた。

同期演奏、最近ちょくちょく見ることがあったから慣れてしまっていたのかな。第三者の手が入った時点で一作品として見てしまうかな。

大好きな人が出てくるのは夢の中だけでいいのかもしれない。
そういう夢もめったに見ないけど。


おみやげ。
ほかにもポストカードを買いました。

コーヒードリップとクリアファイル

時間が足りずサラッと見たり見なかったりの所もあったので、なんとかして会期中にもう一回行きたい。そして、時間が合えばご近所の安治川部屋も見学したい。


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