作業と仕事
「会社に行って何をしていますか?」
こう聞かれれば、たいていの人は「仕事をしています」と答えます。
この答えは間違いであることはほとんどないわけですが、少し切り口を変えてみると、100点満点とは言えないケースもたくさんあります。
ほとんどの人は「仕事」をしていると答えますが、実はそれは「仕事」ではなく、「作業」という状態や内容であることが多いのが実態です。
この「作業」と「仕事」の違いをきちんと認識することが、組織の中で価値のある仕事を成し遂げていくための第一歩となります。
例えば飲食店のバックヤードで、皿洗いをするのがあなたの役割だったとします。与えられた役割は、「運ばれてくる食器を洗うこと」ですよね。
これが役割なのだから、あなたは皿を洗います。
この食器を洗うという行為自体は、実は「作業」に分類されるものになります。
この「食器を洗う」という作業を通じて、「仕事」というものを成し遂げていく。ここまでやって初めて「仕事をした」ということになるのです。
この例でいうと、例えばより短時間で食器を洗う方法を考え、それを実践して空いた時間をほかの業務に充てることができるとか、あるいは三人でやっていたところを二人でできるようにするとか、です。別の視点で見れば、数多くの食器があると思いますが、それをできるだけ統一した食器で料理を提供できるようにし、食器のストックスペースを減らしたり、まとめて同じ種類の食器を購入することでコストダウンを実現したりすることも可能かもしれません。(もちろん、料理に応じた数多くの種類の食器でお客様にご提供することに価値があるケースもありますけどね)
与えられた役割をこなすのはもちろんですが、その中から新たな価値を生み出す。これが仕事をするということになると思います。
すべての役割を「仕事」に変えていくのは大変なことです。でも、一日のうち少しでも「作業」ではなく「仕事」をする時間を増やしていくことができれば、それが成果につながると思います。