後頭部に愛を込めて
気になる企画展があったので、美術館に行った。
絵を見たかったはずなのに、自然と絵から少し離れて、他のお客さんが絵を見ている後頭部越しに絵を見てしまう。
あの後頭部や横顔を見るためにお金を払って美術館に行ったと言っても過言じゃない。
あの場でしか見れない景色である。
音楽ライブでも、終演後に360度ぐるっと他のお客さんを見渡すのが醍醐味。
アンコールを求める客席に見惚れてしまう。
初めて音楽ライブに行ったときから、どうしても他のお客さんたちのことを眺めてしまう。
他人の後頭部たちの何が好きなのか言語化したかったが、改めて考えても分からない。
強いて言えば、それまで接点がなかった者同士が同じ目的のために集まって同じ行動を取っているところが好き。
客が客として恍惚と他の客を見ているなんて、生粋のモブだと思う。
それでも大好きな風景。