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【著書の紹介】『きみに恋の夢をみせたら起きるよ』

概要

書名:『きみに恋の夢をみせたら起きるよ』
ジャンル:SF小説、恋愛小説
出版社 ‏ : ‎ インプレスR&D
発売日 ‏ : ‎ 2020/9/4
ISBN:978-4844379027

あらすじ

櫻木ユウト(主人公)は、後輩のイノリが送ってきた「助けて」のメッセージを受け、イノリがいるというイベント会場へ向かう。
その会場でIT企業『ドリームコントロール・フューチャー』社長の樽海清瀧(たるみ せいりゅう)が語った理想は、人それぞれが持っている「夢」について、「アプリ」で睡眠を改善することにより深層心理から「夢」を解き放ち、現実での成功を掴む、というものだった。アプリをインストールしてからというもの、ユウトは日々の生活の中で、夢の世界が日常を侵蝕してきていることを感じる。夢アプリ開発者のハルミに出逢い、少しずつ進展していく仲。けれどそこにユウトを慕うイノリが急接近し――。
夢と現実を彷徨う彼らの前に、避けられない未来――テロによるショッピングモール爆発事件――が立ち塞がる。
はたして、予知された未来を書き換え、大惨事を防ぐことができるのか。そして、ユウトとハルミ、イノリの恋の行方は……?

作者コメント

 長編2作目です。前作は群像劇だったのですが、こちらは主人公視点です。タイムリープを使わずに、徐々に「やり直せなくなっていく」運命に抗うSF的アプローチを考えました。

 いつも現実からそう遠くない未来のトレンドを予測してモチーフに取り入れているのですが、執筆当時はスマートウォッチ・リストバンド等で健康に目を向ける消費者が多かったので、おそらくその次に睡眠がトピックになるだろう、というところから「睡眠管理アプリ」を主軸に置いています。

 現代ではNFTゲームなど「Play to Earn」「Walk to Earn」アプリの流れで「Sleep to Earn」といったものが登場しており、睡眠あるいは睡眠に費やす時間を有効に活用できないか、簡単に言えばカネに替えられないか、という試みが海外でされています。

 この小説では、主人公が睡眠管理アプリを通じ、睡眠中に見る夢を「運命を覗き見るツール」として考えるようになっていきます。

 ぼくも印象的な夢を見たときは、起き掛けにスマホのメモアプリにできる限り状況を書くようにしているのですが、あとで読み返すと珍妙な設定が多いです。いつか正夢と等しい現実に出会ったときに「このことだったのか!」と感じてみたいです。

 二〇二〇年は、令和という時代にとって「輝かしい二年目」のはずでした。消費増税によって沈鬱な表情となった人々が、予定されていた東京都知事選やオリンピックによって、首都から目覚めていく――。本来ならそんな年になったのではないかと思います。
 ところが、新型コロナウィルスの蔓延によって、従来の生活は崩されました。感染症であるため人と人とが寄り添えず、強制的な自粛の中では若者が集って騒ぐようなことも憚られ、老齢者が重篤化しやすいことから帰省をはじめとした世代間コミュニケーションも断たれ、あらゆるシーンで人が分断されてしまったのです。 緊急事態宣言下の閑散とした街を目の当たりにしました。もしかしたら令和という時代はたった一年しか無かったのではないか、文化的な営みを断たれた時代へと知らず突入してしまったのではないか、そんな想いに駆られました。
 そして作家として何ができるかを考えた時に、平成から令和へ切り替わってからの刹那を、まだ人々が密になることができた場所や空気感を、意識して書き留めておきたいという衝動も同時に起こっ起こったのです。書いていく途中で、平成からまだ目覚めきれなかったのが令和元年なのだろうという「時代への理解」が生まれ、主人公の一挙手一投足へと重なっていきました。
 前作(『ブロックチェーン・ゲーム 平成最後のIT事件簿』)と同様、電子書籍とPODというスタイルを希望したのは、書店に人が集まったり誰が触ったかわからない本を手に取ったりが少し怖くなってしまった現状への一つの提案でもあります。オンラインやデリバリーを駆使した新たな生活様式の実践は、それに携わるエッセンシャルワーカーの皆さんがいらっしゃってはじめて成り立つものであり、感謝しています。

『きみに恋の夢をみせたら起きるよ』あとがき から一部引用

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