2021/10/11 本日のリーディングリスト
ニュースなどの拾い読み。
独自IT課税廃止 法人税改革、136カ国・地域が最終合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA08E6G0Y1A001C2000000/
デジタル課税、利益14兆円分に「網」 世界で分配へ OECD最終合意、富の偏り是正へ具体化なお課題も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0924V0Z01C21A0000000/
法人最低税率、なぜ15%で合意? 企業の税逃れに歯止め
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA08CZ20Y1A001C2000000/
[社説]世界の法人課税改革へ意義ある合意だ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK092II0Z01C21A0000000/
全て日経の記事で恐縮です。世界の流れというのは無視できず、今回のOECD最終合意はかなり大きいな、と思った次第です。
3つめの記事の解説がとても詳しいのでオススメです。
国際的な法人税の引き下げ競争が背景にあったわけですね。法人税の低い国というのは、海外企業が誘致できるという側面の中に、企業が本来の国での租税を回避するために子会社を法人税の安い国に作ってそこに利益を送ってしまう面もあったわけです。『法人税率が12.5%でグローバル企業の拠点が多いアイルランドや9%のハンガリーも合意に加わった。』という文章にそれが窺えます。
さらにGAFAを代表とするグローバル企業の台頭。例えば巨大企業Xがあったとして、ネットを通じてA国民にサービスを提供してガンガン稼いでいたとします。けれど、企業XはA国内には法人は構えず、電話番のいる事務所と倉庫しかないようなとき、A国の政府は企業Xに対してかける税金が限定されていたわけです。
そこに働く人の賃金からの所得税や間接税(消費税)なら徴収できたかもしれないが、法人税はできなかった。そこで、これまでは各国ばらばらに法律を作ったりして、ローカル対応していたわけですね。
もちろん、GAFAのようにトピックとして目立つ企業だけがグローバル企業ではありませんから、日本企業も今回の法人税改革で示された範囲に入るものはあると考えられます。
『原神』が2021年9月のモバイルゲーム売上で世界のトップに! 1ヶ月で約385億円を稼ぐ…Sensor Tower調査
https://gamebiz.jp/news/334839
ぼくが最近気にしているのは、中国系スマホゲーム企業です。基本的に日本国内のゲーム市場統計には彼らの「数字」は乗ってきません。日本のオンラインゲーム市場は1兆数千億円ですが、今やスマホゲームの売上ランキングの常連は中国スマホゲーム企業のタイトルですし、テレビCMも企業名を出さないのでわからないだけですが、見るからに日本の十八番であったようなアニメキャラクターが縦横無尽に動き回っていても、その実、中国製ということが大量にあるわけです。
Apple社やGoogle社は手数料商売をしていますので、量を完全に把握していると考えられますが、プラットフォーマーから数値が公開されたことはありません。調査会社から多少マーケティング的誇張が入った感じのありそうなデータが出されることはあります。
数年前の情報で恐縮ですが、日本のテレビ局は日本に法人(呼び方は支社であれ子会社であれ事務所であれ、納税をしている事業所)がなければCM出稿させないという内規があったようで、それが一種海外ゲーム企業の広報に歯止めをかけていたわけですが、最近はどうなったのでしょうか。
海外企業が日本法人を構えて納税するようになったのか、テレビ局の審査がゆるくなった(=お金が欲しいから)のか、知りたいところです。
さて、OECDの件で中国は未加盟ですが、今後こういったものが正しく課税され、我が国に分配されるようになるとよいですが、難しそうですよね。政治家の方々には外交、頑張っていただきたいです。
「節税」と「租税回避」には大きく隔たりがあると思っていて、節税の程度はあれ「税が正しく納められている業界」は国益です。しかし租税回避している国が、ゲームを「集金装置」として日本国民から海外へとお金を吸い上げているとしたらどうでしょう? 「そんなもの全部潰してしまえ」という思考に走る為政者が出てきてもおかしくはありません。
もちろん、ブーメランの要素がありますから、海外で名を挙げている日本企業が、その地でやっかまれることも充分あり得ます。
いずれにしても、国際的に協調していくということで、新興国の皮を被った巨大国に吸われないように、国内需要を国内企業がきちんと満たすという観点も必要かなと思います。ゲームも国際政治に関わっていると思うと、ちょっとむずかゆくはあります。エンタメはエンタメとして、独立していたいなぁ、と。
資本主義というルールと、そこから生み出される果実の魅力・呪縛からは、人間は簡単に逃れられないのだということを本当に感じますね。その上で自分が儲かるぶんには、権益にあずかるぶんには、文句が出なくなるとは思いますが。あ、すでに財界の人々はそうですよね。改革に文句を言うということは権益が失われる虞があるということでしょうから。
1枚のハガキから55歳でゲーム音楽へ すぎやまこういち氏の歴史に残る英断
https://news.yahoo.co.jp/byline/shigiharamorihiro/20211010-00262243
※下記、著名人の名前は引用部を除き敬称を略しています。「氏」をいちいちつけると今回の文章に対してノイズなので。
ゲームの話をしましたので、こちらの記事を。すぎやまこういちのゲームミュージック分野参入(記事にある森田将棋のアンケートハガキのくだり)は、それこそ当時から語り草となっていました。最初のドラクエのインタビュー記事なんかには必ずと言っていいほど出ていたものです。
記事中には、35年前はゲームミュージックの社会的地位が低く、すぎやまこういち氏の参入を皮切りに地位が向上した、とありますが、クラシックを始めとした伝統音楽や歌謡曲やポップスといった商業音楽と比較されて虐げられていたというストーリーはなかなか熱いものがありつつ、当時はどちらかというとベンチャー企業のような、新ジャンル開拓の時期であったと記憶しています。
つまり、テレビゲームが子供の遊びとして理解し得ない大人たちから拒絶されていたのと、ゲームミュージックがメジャーシーンに乗っていなかったのとは、少し趣を異にしていると思えるのです。
記憶違いでなければ、古い映画、石原裕次郎主演の『嵐を呼ぶ男』で、ドラマーとしての道を進む主人公に、理解の無い家族が「オタマジャクシ(=音符すなわち音楽)でメシが食えるってのかい!」と暴言を吐くシーンがあったように思うのですが、ロック、ポップス、フォーク、ニューミュージック、ヒップホップ……etc. どんなジャンルも生まれたての黎明期にはそんな扱われ方だったと思いますし、音楽ジャンルの中ではそれと同程度の滑り出しだったのではないかと。
というのも、ぼくの父は作曲家で、アーケードゲームやファミコンの『熱血硬派くにおくん』シリーズを始め、多くのゲームミュージックを手がけているものですから、丁度ド真ん中の時代であったからです。
80年代のシンセサイザー音楽シーンは、冨田勲やYMOの存在が大きいですが、その延長線上にマイコン(=パソコン)制御による「テクノシンセ(拡張ボード)」や「Amdek CMU-800(外付け音源)」などのMIDI音源、DTMの祖といえる存在があり、「新しい音楽が家庭にやってきた」状況だったのです。
記事中に『すぎやま氏以外に著名な作曲家がほとんど参入しなかったのは、当時はゲームの社会的地位、評価が低かったことの裏返しであろう。』とありますが、羽田健太郎、中村泰士、関口和之、所ジョージ、クリスタルキング……etc. ファミコン時代だけでもクラシックやポップスといったメジャーな音楽家が参入しています。PCエンジンやメガドライブがCD-ROMドライブに対応して以降は、ご存じのとおり百花繚乱となるわけです。
もちろん、すぎやまこういちを皮切りにメジャーシーンの音楽家に白羽の矢が立てられていくムーブメントではあったと思いますが、新たなシンセサイザー音楽分野が開拓されていったと考えるほうが自然です。
かくして、今では「チップチューン」というジャンルになったわけですが、それに浸りたくて、ぼくはファミコン互換機に中古で買ってきたカセットを挿してBGM代わりにしています。
長い間そんなことをやっていると、例えば著名なゲーム『スペランカー』ですが、プレイを進めてゴンドラを動かしたりロープを上ったりしてノイズを使用した効果音が鳴ってしまうと、ワンコーラス終わるまでドラムの音は無くなってしまっている、なんてことに気づいたりします。
デジタルや脱炭素、前政権から様変わり 所信表明
https://www.sankei.com/article/20211008-HOCMAEG75NLPNJHBDZFR2XNJJ4/
牧島大臣メッセージ
https://www.digital.go.jp/posts/nWFlUFQI
デジタルの日ホームページ
https://digital-days.digital.go.jp/
IT活用、好事例を紹介 デジタルの日記念イベント
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1020Z0Q1A011C2000000/
デジタル庁 優れたデジタル化の取り組みで長野の高校を表彰
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211010/k10013301181000.html
マイナンバーカードの健康保険証利用本格開始へ 2大臣呼びかけ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211010/k10013300711000.html
中小企業の商取引、デジタルで完結 官民で基盤づくり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0846U0Y1A001C2000000/
デジタル田園都市国家へ「複業のススメ」 秋田・八峰町の試み
https://www.sankei.com/article/20211010-NHS43AQW55LYRPBOCDUPKK5ODE/
デジタルの日という催しが10月10日にあったことと、新総理の所信表明でデジタルの内容が盛り込まれたため、関連ニュースが盛りだくさんでした。各地方自治体での取り組みも、毎日どこかしらの地方でのニュースを目にします。
こういう時に、ぼくは「はたして風向きはどっちかな?」と考えることが多いですね。社会のあり方を一歩進めるものとなるのか、単に「やってるだけ」で終わるのか。どうしても後者が多い気がしますので。
スキマ10分の奪い合い 「要約コンテンツ」は正攻法で生き残れるか
https://digital.asahi.com/articles/ASPB874W2PB8UPQJ00P.html
「企業理念を売る」…IT系企業が紙の出版事業に相次ぎ参入
https://www.sankei.com/article/20211010-UWYX5YWP6FMCVGQ7YQURCTYJTE/
中韓発「縦スクロール漫画」が世界を席巻するスゴイ理由…トップ漫画家の平均年収は1億7000万円
https://www.businessinsider.jp/post-243627
メタバース: As content, as a platform, as media
https://note.com/waday/n/nd2440d942755
各種コンテンツにまつわる記事をピックアップしています。上から3つはいずれも書籍系コンテンツとの向き合い方という点で興味深いです。それぞれ「要約するという付加価値」「書籍にするという付加価値」「スマホに合わせた表示形式という付加価値」があるわけです。
しかも、出口戦略がそれぞれ違い、商売になればそれで良いというものではないという気概が窺えます。
4つめのメタバースのブログ記事は、メタバースを主軸としつつも、コンテンツとメディアの話になっています。上3つの記事でコンテンツと関わる切り口にこんなにも違いがあるとわかると、4つめの記事で、メタバースを単なる「ゴーグルをかけてバーチャルなCG世界を歩き回るやつ」ではないのだなということが理解できるのではないかなと思います。
今日のところは以上です。
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