2021/10/5 本日のリーディングリスト

ニュースなどの拾い読み。

ネット出品、名前や住所の開示不要に 嫌がらせ被害防ぐ
政府、特定商取引法の運用整理
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA01A4T0R01C21A0000000/

 特定商取引法に基づく表示、個人で売買する人に課すにはリスクの多い表示だったのですよね。もちろん「商売として正しくやるなら何も臆することはない」というマッチョな思想はあるとして、陰湿なクレーマーや、いたずら目的の人っていうのは、すでに「客ではない」上に、商売がどうとか関係なく突っ込んできますからね。もはやレジャーを楽しんでいるかのような理不尽さです。

 フリマアプリやオークションサイトなどで個人売買が手軽になり、コロナ禍で家に居ることが増えて断捨離とばかりにそれらを活用している人も多いと思います。

商品に不具合があった場合などに売り手と買い手の双方が直接やりとりできるよう、ECモールの運営者が連絡先などを把握していればよいとの運用に改める。これまでは買い手が求めれば出品者が名前や住所、電話番号などを伝えなければならなかった。
(引用元:上記記事)

 本質として重要なことが満たされている必要があるわけですが、ここにおいてより一層「プラットフォーマー」の位置づけが重要になってきたと言えます。この改正により「売買の引き合わせ・マッチングをしているだけです」という言い訳は通用しなくなりますので、売り手、買い手のどちらにもeKYC(本人確認)を求め、取引の健全性、商品未着や未払いの抑止、トラブルを生みやすい転売品(=卸・仕入れの関係性ない転々流通するもの)の排除、そういったECマーケットの「運用」パワーがより一層求められていくと思います。


NFTは技術に精通したエリートによる「マルチ商法」に過ぎないとの指摘
https://gigazine.net/news/20211005-nft-projects-multi-level-marketing/

 度々取り上げるブロックチェーンやNFTの話題ですが、技術革新による産業発展に期待を持ちつつも、こういう論調が出てきて当然だとも思っています。

 例えば、従来の電子ゲームの「ゲームという体験の対価をゲームデベロッパーに支払う」というモデルに対して、ブロックチェーン・ゲームはそれを踏襲しつつも「ゲーム体験の結果物(NFT)を転々流通させる」モデルであると言えます。

 前者はパッケージ売りであれ、アイテム課金や月額課金であれ、ガチャであれ、「販売」という枠からはみ出ることは無いですが、後者の行き着く先は全プレイヤーが「手数料収入」を得る道となり、デベロッパーであるかどうかは関係なく「マスを牛耳るプレイヤー」による徴税へと向かっていく形態となります。

 販売物(=ゲーム体験の結果物)の価値を上げるには、ゲーム内で付加価値を上げる必要があります。例えば、ゲーム内アイテムをNFTとして販売できるブロックチェーンゲームがあったとして、アイテムをパワーアップさせたり、そのアイテムに箔をつけるために連勝したり、ゲームの仕組み上有利になることをしておきます。

 そういった行動には必然的に「時間」がかかります。少しゲームに詳しい人なら「課金でパワーアップしたりできるのでは?」と考えるかと思いますが、あなたが1万円を費やせるプレイヤーだとしたら、ライバルもまた1万円を費やすのです。

 ですから、お金を投じた上で決定的に差がつくのは実は「時間」だといえます。人間が誰しも1日は24時間です。この段階になると登場するのが「bot」です。アルゴリズムで動くプログラムで操作を自動化し、ゲーム進行を代行させるわけです。しかしこれでも限度があります。運営企業がbotを使えないように対策したりすることもあります。

 それに、勝手にゲーム進行を自動化されてはゲーム企業も商売上がったりです。なんとかこれをチャンスにしたい。

 そこで公式に「操作代行者を募るシステム」を実装します。これが最近話題の「Play to Earn」モデルです。時間のない自分に代わって、プレイしてくれる人に分担させて、対価をゲーム内ポイントで支払うなどするわけです。「Free to Play(F2P:基本無料モデル)」「Pay to Play(有料で遊ぶ)」「Free to Win(無料プレイヤーでも有料プレイヤーと勝敗に差がつかない)」「Pay to Win(有料プレイヤーのみが真の勝負へ挑める)」に加えて「遊ぶのに賃金支払いをする」わけです。もはやそれは労働では?

 ぼくはこれを「デジタル労働」と呼んでいるのですが、古来からプレイ代行なんてのは存在したわけですが、その極北という趣きです。

 しかも仮想通貨(日本国内で実装すると2号暗号資産に当たると解釈されると思います)を用い、賃金の分配等はシステムが行うため取りっぱぐれの働き損がなく、理想的でもあります。

 ただこれ、デジタル労働・雇用を発生させているのは「リアル世界での金持ち&時間持ち」なんですよね。まるで中世の貴族や荘園、小作人のようです。

 とまあ、ここまでブロックチェーン・ゲームを例に書きましたが、『技術に精通したエリートによる「マルチ商法」に過ぎない』と揶揄されるのも、そういうところが透けて見えるからではないかなと思います。

 今日のところは以上です。

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