2022/6/9 本日のリーディングリスト

メタバース

 下記、日経の3つの記事は、同じイベントをベースにしていますが、最初のが簡潔。網羅しているのは2つめ。3つめはその中でも示唆的なもの。4つ目の記事は、導入の課題が数字になっているという点で。

 実際「なんの役に立つかわからない」ってところだと思うんですよね。10年前に「セカンドライフ」というのも見ている。マインクラフトやフォートナイトもそこらじゅうでプレイされている。2018年ごろにもVRブームが起こったのも知っている。

 でも日々の生活とどうも地続きではない。

 遊園地に行く、映画館のシートに座る、テレビゲームのスイッチを入れる、空港のゲートをくぐって旅行先へ……。こういった日常との境界を跨いで体験するものたちと同様に、メタバースも「VRゴーグルをかぶる」という儀式が必要なわけです。もちろん、VR/AR/XRに依らず没入感を犠牲にしてスマホ画面やPCモニタ越しにでもいいのですが、別世界と呼びたいときにDiscordの画面を指して「これです」と言っても説得力は無いですからね。(ぼくはDiscordやSlackのチャンネルもメタバースの一種だと考えていますが)

 NFTの話題も同じなのですが、メタバースも現実世界との接点が無いと、現世利益といいますか、普通の人にはわからんのですよね。いやいやいや、現実世界と切り離して存在するんです、メタバース内だけで経済が回り、イノベーションも起こるんです。

 わかるんだけど、どうしたって「動かしてる人はどうやってメシを食うんだい?」というところが気になってしまう。映画『マトリックス』のように、メタバース然とした世界で従順な夢を見続ける代償として培養層やチューブ通じて栄養が送り込まれているなら良いのですが、そうはいきません。

 まずはクリエイター、アーティスト、そしてそれらに力を貸す企業、そこへ投資するキャピタリスト……という感じで年輪を広げて幹を太くする期間なのかなと思います。Meta(Oculus時代から)の存在感が重要といえば重要で、これまで何度か「VRゴーグルのブーム終わっちゃったね」という瞬間があったわけですね。2016年ごろは、アトラクション型のVRしか残らないんじゃないかって言われてたの、覚えています?

 人が「私とは無関係だな」と思った瞬間、その話題は「古く」なります。いまこの瞬間、そうなってしまいます。なので、情報を受ける人々のモチベーションを保ち続けるのって、大変なことなんです。だから、Metaはこの分野にめちゃくちゃ投資している。

 各記事の中で、「ルール策定」や「連携強化」について語られていますが、それらの本質は「人々からの関心事であり続ける」というところにあります。マーケティング、プロモーションという話ではなくて「なんの役に立つのかわからない」というのを、整備によって引き寄せる、コモディティとしていく、ということですね。

 たとえばこういうのも、単なる映像紹介じゃん、と言ってしまえばそれまでですが、コンセプトとしてはメタバース型のデジタルツインですよね。現実と同様の情景を仮想的に構築し、それを体験させるわけですから。

 メタバースに関連する最近の書籍を4冊ほど読みまして、近々レビューしようと思いますけれども、いずれも「思想」にあふれていたり、理念が立派であるのは著者さんの個性として、やはりメタバースやWeb3が「なんの役に立つか」がわからない、地に足がついていないように読めたんですよね。4冊とも。どれも「投資誘致や企業協賛を得るための厚手の名刺」に見える。

 今日のところはここまでです。

 

 

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