2021/10/12 本日のリーディングリスト
ニュースなどの拾い読み。
マイナポイント「カード普及効果に限界」 財務省
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA112C70R11C21A0000000/
行政手続きアプリに「違法」指摘、利用停止の動き広がる…自治体側は問題に気づかず
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211012-OYT1T50154/
<独自>郵便局の顧客データ活用へ 総務省が来夏まで指針
https://www.sankei.com/article/20211011-TH33QPYZPNNGXJFNYDMTEI52NU/
まずはデジタル行政関連で3つほど不穏なニュースを。まずはマイナポイントですが、確かに分かりづらかったです。春ごろに、その分かりづらさを指摘した記事を書いておりまして、下記に掲載されています。
サービス提供側として、顧客が「分かりづらい」というときに一番問題かになる原因は「何が分からないかが分かっていない」です。禅問答のようではありますが、概ねこれ。
マイナポイント、そもそも何なのか分からないんですよね。昭和的発想になりますが、「商店街のスタンプカード(貯まると商店街内のお店で金券として使える)」の比喩が成り立たない○○ポイントは、総じて一般市民の理解範囲を超えてしまう、くらいの割り切りが必要です。
2つめの記事、取り上げられている「xID」アプリについては、以前から問題が指摘されていました。
マイナンバー法では、マイナンバーの収集や保管は、税や社会保障など法定の目的でしか行えないと規定しており、
(引用元:上記記事)
簡単に言うと、マイナンバーというのは瞬間瞬間で使われることはあってよいのですが、「収集や保管」は民間には開かれていません。当然ですし、現状ですと開かれていなくて良いと思っています。それはマイナンバーによる「名寄せ」が可能になってしまうのを防ぐためです。
これは以前からのぼくの主張ではありますが、「マイナンバーカード」に「マイナンバー」が書かれているのがそもそもの問題かなと思います。マイナンバーが書いてあるからマイナンバーカードではあるのですが、1つの物体にいくつもの役割をもたせる場合は、相当わかりやすくしないといけない。
わかりやすさにはネーミングも含んでいて、たとえばマイナンバーカードのことを「国民認証カード」と呼称していれば、カードをカードリーダーに通したときにすることはすべて「認証」だとわかります。
このネーミングだけで、このカードは「利用する行政サービスについて、自身がそのカードリーダーのついている機械を使っているということを示せる道具」であると理解できる。
なぜか示せるかというと、発行時に役所によって本人確認がされていて、そのカードは本人以外は使わないからです。他人に預けない、委任してはいけないという規則が前提ですね。これをもって「認証」とするわけです。
けれど、マイナンバーはその番号があるだけでは認証には使わないわけです。国民のうち特定の個人を指し示す番号なのですから。
この区分けがきちんとされると、「マイナンバーは教えちゃいけないのに、なんでマイナンバーカードを使う機会は多いの?」という疑問が解消されます。「マイナンバーは教えちゃいけないけど、国民認証カードを使う機会は多い」となるからです。もっと言えば、「認証をするカード」に、特定個人を示す番号が書かれているのは変な状態だと、事前に気づけたはずなんですよね。
ネーミング一つで、国民の混乱が防げる。こういうのをUX(ユーザーエクスペリエンス)と呼ぶのだと思うのですが。
ということで、DX(デジタルトランスフォーメーション)も、デジタルエクスペリエンスの増進も含んでいると思うので、細かなところに配慮して、国民を導いていってほしいものです。
3つめの記事は、ちょっと怖いですね。
今後、居住者情報を災害が発生した自治体に提供することで安否確認に利用してもらうことや、自動車保有状況などをデータベース化して自動車販売の営業に利用してもらうなどの新規事業が想定される。
(引用元:上記記事)
前半の「自治体に提供することで」は、各自治体の個人情報保護条例などに照らして安全に運用されるステップが必ずあるので、それに従えば良いのですが、後半の「自動車販売の営業に利用してもらうなどの新規事業」って何!? ってレベルです。個人情報、付帯情報を、売るって言ってるようなもんじゃん。
これは記事の書き方一つかもしれないので、勇み足に批判してもしょうがないのですが、混ぜて良いものではないですよね。
個人情報保護がなぜたいせつなのか、わかってなくてこういう方策が打ち出されるのも怖ければ、わかっててこういう方策を打ち出してくるのはもっと怖いですね。
賢い消費者となるために、こういうのに反応する敏感なセンサーを養うことは重要です。こういうの、議員さんがピンと気づいて潰せるものは潰していってくれると嬉しいんですが、場合によっては陳情が必要となるものかな、と思います。
潮流分析「トークンエコノミー」脚光、日経BP調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD044I60U1A001C2000000/
暗号資産に一段と広がり 高度な知見が売買の前提に
https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM043ZF0U1A001C2000000
金融安定理事会による「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視-金融安定理事会のハイレベルな勧告の実施に係る進捗報告書」の公表について
https://www.fsa.go.jp/inter/fsf/20211011/20211011_1.html
1つめの記事、トークンエコノミーは、随時触れていますように話題ですね。ちょっと面白いのは、下記表現。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、作者や所有者の情報が保証されたデジタル資産を指す。
(引用元:上記記事)
『作者や所有者の情報が保証された』となっています。社会的にNFTへの理解が進んでいることが窺えます。「所有”権”」としないところとか、「情報」すなわちデータでしかないよというのを含めるあたりスマートですね。こういう表現の機微から、実態を正しく把握していくのが、世間の流れを読み取るコツかなと。
そういう観点で2つめの記事のように、NFTのみならずST(証券トークン)も含めて、同様の「データ売買」については本質の理解こそが身を守る手段になると思います。
もちろん、すべての人が技術や金融の分野に精通しているわけではないので、業界のガイドラインや国による規制がある程度必要になってくるわけですが。3つめの記事のような検討が進むわけです。
産業の振興と適切な規制の両輪を、もっていきたいところです。自分はブロックチェーンやNFTに関して、両方やる立場なので、きちんとバランスのとれる世界を作っていけたらと思います。
TikTok運営「バイトダンス」がネット広告で“圧勝”しているワケ。斬新すぎる手法の詳細
https://www.sbbit.jp/article/cont1/71466
進化する電子看板、狙った客層ピタリ ドコモ・電通系
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2135M0R20C21A9000000/
映画吹き替えにクローン音声、俳優の声を複製 AIを用いた新技術で俳優本人が外国語を「話す」ように
https://jp.wsj.com/articles/the-rise-of-the-robo-voices-11633668899
いずれも、デジタルマーケティング観点の「手法」の記事です。広告と映像表現は切っても切れない関係になっていますが、パーソナライズ、バーチャル、AI等、組み合わせれば組み合わせるほど、魔術の精度が上がるといいますか「人がその気になる」を作り出しやすくなるわけですね。
いつも自身が何に踊らされているのかを気をつけながら生きたいものです。ぼくはアイドルに踊らされて生き続けてますが。
今日のところは以上です。ちょっと最近、あるプロジェクトで更新が翌日になったりしててすみません。
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