2022/6/6 本日のリーディングリスト
地方行政DXその1
どちらも利用しているツールは違いますが、市民サービスの向上や、自治体職員の業務効率化を謳っていることがわかります。1つめの記事の図「同実証における将来のイメージ」にも記載されていますが、STEP1の後に控えているのが「データの利活用」なんですね。これまで書いてきたことと同様ではありますが、市民生活に関わる様々な行政手続き・窓口利用のログは、すべて「データ」なわけです。これらが蓄積され、どのように重ね合わせられることで、新たな価値を創造できるかにかかっているわけです。
ここにはいくつかの課題が内包されていて、1つは、電子情報を扱うシステムの乱立。各自治体がめいめい企業と契約をするため、1,700以上の自治体で導入する電子情報システムがバラバラになります。データフォーマットの統一も無いですから、広域自治体(都道府県)や国でも活用したり相互乗り入れしようにも、デジタルデータのくせに不便になる、ということが起こります。
すでに起こっていると言ってもいいでしょう。「個人情報保護法2000個問題」のように、自治体や関連機関で定めた個人情報の規程のズレを、個人情報保護法の改正を繰り返して解消することが大変であったことと同様に、いや、それ以上かもしれないのですが、「データはあるが、使いこなせない」ことをどう均していくかという苦悩の期間が将来的に待ち構えています。
そして、こういったインシデントも、デジタルデータである以上、発生するわけです。紙は保存状態さえよければ500年後も読めます(火事や酸性紙が朽ちる等はここでは話題にしません)が、デジタルデータ、何年もつのでしょうか。40年前のフロッピーディスクが読めない、20年前のCD-ROMが読めない、10年前のケータイのデータが取り出せない、5年前に使ってたクラウドサービスの会社が倒産してしまった……。
なので、データと媒体は「利活用」と「永年保存」という「二つの違う事」を満たすには何を選択していったらよいかという時期にきています。デジタルデータは複製が簡単なのですが、これは重複が生まれやすいということにもつながっています。1つあればいいはずの記載が、数十ファイルにもまたがっていたら、検索や利活用のスムーズさは失われてしまうでしょう。
これらニュースにある「アナログ規制」が進めば、デジタル化され、簡単に言えば「データが増える」わけです。前述した混乱を避けるため、早々にも何らかの規格化がされていく必要があるかと思います。
地方行政DXその2
住みやすいまちづくり、ということでスマートタウン的な切り口の実証は様々な自治体で行われています。ロボット(車両)による自動化、というのは見た目にもわかりやすいですが、その肝は高速で安定した通信とセンシングにあり、それを支えるには電力はじめとした従来のインフラ整備が欠かせないとぼくは考えています。どこまで行っても、掘り下げていけば「土地と人の話」にたどり着くんですよね。
その土地に合った、長らくそこで行われてきた、人の営み。これをどうしていきたいかというグランドデザインがまずあって、必要な個所に電子化やスマート化が適用される。これは「便利なソリューションがあるからあちこちに導入しよう」という方向でのアプローチでは難しく、どちらかというと土地柄とのすり合わせが泥臭いもの、時間がかかるもの、というところかと思います。
とはいえ、人間の寿命というのは何十年ですし、その何十年の歩みが遅ければ、地域によっては人の営みが絶えてどうにもならなくなるということも考えられます。舵取りだけは早めに済ませておく、というのがよいのかもしれませんね。
今日のところはこれくらいです。
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