2021/10/17 本日のリーディングリスト

ニュースなどの拾い読み。

 先日、日本の企業は人事評価なんてものを正しくできたためしがない、高度成長期は年功序列で誤魔化せていただけ、というニュアンスのことを書きましたが、似た視点で別の切り口の記事が出ていました。

 既得権益(=従来型の評価と言えない評価)にあずかれなかった人を救っていこう、正しく成果主義をとろう、ということになると、これまで既得権益にあずかれていた人、すなわちコミュ力で誤魔化していた人や仕事した振りしていた人事担当者は、蹴落とされるわけです。

 それを許容できますか、蹴落とされる人が出てもセーフティーネットを敷けますか、そこに自分の血税が注がれることに文句言わずに居られますよね? というところまでコンセンサスをとって、やっと社会の変革と言えるんじゃないかな、なんてことを思います。


Steam、NFTゲームなどがリリース禁止へ。“締め出された”と訴えるデベロッパーも
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20211016-179269/

NFTから利益を得る会社、マイナスとなる会社:レポート
https://www.coindeskjapan.com/125653/

イラストレーター さいとうなおきのNFTアート作品が約600万円で落札
https://kai-you.net/article/81749

膨張する分散型金融、11兆円市場に 通貨の未来問う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB167T00W1A910C2000000/

 NFTの話題。まあ、↑の画像どおり。TwitterでNFTを検索すると残念ながら「胡散臭い」なんて言葉がサジェスチョンされてしまうわけです。もちろん、NFTもブロックチェーンも、技術を指し示す言葉でしかありませんので、それをどう使うかは人間次第なんですよね。

 どうしてこんなことになってしまったのか。結局「儲かる」や「エロい」に勝る宣伝文句は無いということです。

 記事中にあるValve社とEA社はどちらも世界有数のゲーム提供プラットフォーム企業です。Valve社のSteam(←プラットフォームサービス名)ではNFTは締め出し。EAでは推進ということで、割れました。

 下馬評では「中国資本の有無」が方向性を分けているのでは? というものもあり、自国内ではデジタル人民元を揺るがすビットコインほか暗号資産を禁止しつつ、外貨を稼ぐために他国民には相場操縦上等でNFTを推奨する……。なんて陰謀論が過ぎますね。

 とはいえ、NFTを取り扱う企業がビッグネームであればあるほど、波及して他社にも好影響が出ますので注目されている事例ではあります。

 人々が忘れているだろう頃に何度でも蒸し返すのですが、半年前にすでに「日本初のNFT小説」をぼくは出品しているのですよね。そしてぼくは『ブロックチェーン・ゲーム』というド真ん中のクソ面白い小説でデビューし、ブロックチェーン・ゲームの業界ガイドライン策定に携わっています。日本初、かつ、書いた人はガチ。

 しかも単純テキストではなく、QRコードに小説を埋め込むというギミックにしてあるので、果たしてこれは模様なのか、著作物なのか、スマホカメラに写し取るという復号が必要なものがトークンに紐付いているとして、一体何を我々は所有した気になっているのか、という哲学さえ含めています。

 で、遙かに買いやすいETH価なのですが、誰も飛びつきません。

 オークションというのはプロモーション手法でもあるので、例えばそれが1,000万円分のETHで売れることよりも、「1,000万円で落札された」という情報が飛び交い、各所で語られることで、オークション業者に箔がつき、作品に箔がつき、購入者に箔がつく。これが大切なことなんですよね。

 この狂乱の世に、半年前から壮大な皮肉を込めてひっそりと買いやすい価格でガチなものを置く。自作品を出品しておるわけです。ロックでしょ? ロクでもねぇな。

https://opensea.io/bundles/sawa-sion-japanese-nft-novels-rhC

 冗談はさておき、皆さまにおかれましては、投機熱にだけは煽られぬよう、コモディティとなるまで静観するというのも手かなと思います。


コインハイブ事件、最高裁で12月弁論 逆転有罪の二審判断見直しか
https://www.bengo4.com/c_1009/n_13674/

コインハイブ事件、上告審の口頭弁論が12月に
https://www.neweconomy.jp/posts/159859

 あれからもう4年なのですね。拙著『ブロックチェーン・ゲーム 平成最後のIT事件簿』は、章の合間に2018年頃のブロックチェーン関連ニュースを解説したコラムを挟み込んであります。時代の文脈を理解するためのものですね。そこに、忘れられてはいけないという気持ちを込めて、コインハイブ事件について書いた部分があります。

 先ほど「NFTもブロックチェーンも、技術を指し示す言葉でしかありません」と書きましたが、技術そのものが煙たがられ、インチキセキュリティ業者などに難癖をつけられるようではならないですし、さらに官憲がそれに踊らされて無辜の民をしょっぴくようなことがあってもいけないわけです。

 Winny事件もそうでした。法律の制定が技術の進歩に追いついていない現状はあるかと思いますが、法治国家として、定義されていない犯罪を、無理矢理作り出したり、当てはめる必要はないと思います。

 最高裁での口頭弁論というところまでこぎ着けるのに、本当に苦労の連続だったと思います。これからも注目し、また何があっても、私たちはそれが社会にとって罪とされるべきものなのか、技術の進歩を犠牲にするものなのか、それをつぶさに見つつも、不法行為や脱法行為には毅然とした態度をとれるように、誤った判断をしないように、技術動向を見据え、知識を蓄え、アンテナを張っておかなければならないのだと思います。


性善説に立ちすぎ? 入札に「抜け道」も 126の企業・団体からデジタル庁へ民間職員
https://www.tokyo-np.co.jp/article/137054

 デジタル庁の話題です。これはもう、デジタル庁が設立される前から言われていたことですね。線引きも難しければ、人の口に戸を立てるのも難しい。ただ、なんというか機密を喋っちゃう人と、喋らない人って、もう最初から「わかる」ような気がするんですよね……。グイグイと我田引水をする人ってのも、わかんないわけないでしょ。

 何がわからないかっていうと「それに歯止めをかける人がいるか、いないか」ですよ。

 官民の癒着防止について、元会計検査院局長で日本大の有川博客員教授は「技術的なノウハウは民間の知恵を活用するほうがいいが、(事業発注の)公正性や透明性の確保は国がしっかりやらないといけない」と指摘する。

 同庁は民間出身の職員がある事業に関与した場合、兼業する企業が入札できなくなる規制を一応は設けた。だが、職員が兼業先に事業の情報を伝達していない場合、入札が可能となる「抜け道」も用意された。同庁のコンプライアンス委員会の有識者は「性善説に立ちすぎている」と批判する。
(引用元:上記記事)

 ぼく、自治体顧問としてデジタル推進アドバイザーをやってるんですが、どこの自治体にいるかとか、実は表に出ている内容(=公知の内容)なので、それくらい書いても良いのでしょうが、自分の会社が無用な詮索を受けたくないので書かないですからね……。正しくあればあろうとするほど、李下に冠を正さずということにコストを割くわけで。

 けれど、そういう公正さをヒューマンに期待してもしょうがないので、きちんと仕組み化してオープンにすること以外に、対策は無いかなと思います。

 今日のところは以上です。

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