2022/6/8 本日のリーディングリスト
ネット文化
インターネットを巡っての「表現の自由」と「誹謗中傷」は時折表裏の関係であるかのように伝えられます。また、表現を掲出するSNS、Webサービスやアプリといったプラットフォームがあり、それを運営・管理する民間企業があってこそ成立しているものといえます。
それを利用する人間の問題が本質としてまずあり、誹謗中傷や悪いエコーチャンバーにつながる行動を助長する仕組みがネット特有の問題として存在し、その部分についてはサービスの仕組みであれ、運営企業であれ、何らかの責任を負う必要があると考えられます。
この「助長する」という点について、具体的にどんな仕組みを用意すると人間同士の問題が表層に現れて、他人を傷つけたりするのか、というところについては広く行き渡った学説があるわけではありませんし、社会的合意のとれた「言論を取り扱うプラットフォームはこうあるべきだ」というものはありません。いや、単に事件のニュースにコメント欄つけたら荒れるだろ、って話なんですが。
けれども、サービスの性質上PVというものから逃れられないわけですね。人が何度もやってきて罵詈雑言を書き込んだり、ドゥーム・スクロールと呼ばれたりもしますが自身の「怒りポイント」をわざわざ探しに延々とSNSを見続けてしまうことで、PVが上がり、広告費がプラットフォーマーに入る。フワッと出てきてついつい触ってしまって見たくもないエロ漫画みたいなページに遷移させられてしまうわけです。
PVを指標に広告の効果測定やチューニングをするから最適化されてこのような状況になっているわけですので、PV指標なんかやめちまえ、って思うんですが、なかなかそうはならないでしょうね。広い網をかけて、小銭を掬い上げていくしかないのでしょうか。
かといって、罵詈雑言でもPVが稼げるなら、と首尾一貫してパブリックエネミーとなってくれていればまだわかるのですが、プラットフォーマーが表現の自由のために戦ってくれるとは思えません。罵詈雑言でPVをアップしたらアップしたで、今度は広告主との関係性から不都合な書き込みは人力でもAIと名の付く手法でも消しにかかります。もちろん、社会の要請という側面もあります。
どれくらい薄汚いもので稼ぎ、どれくらい言われてから重い腰を上げてほんのちょっと浄化をすればよいか、そんなバランスが成り立っているのでしょう。そこには表現の自由や、誹謗中傷で傷つく利用者は二の次であるという姿勢が窺えます。
最近「Web3」というバズワードが流行っていますが、Web3を標ぼうする人のほとんどが言うには、現行の「Web2.0」はGAFAなどの巨大企業によってネットが支配されており、Web3はそこからの解放であるということなのですが、一番人間を支配しているのはカネです。
Web2.0で取り急ぎマネタイズできないサービスが頼ったのが広告収益モデルで、それを選んだ瞬間、言論の不自由とも、誹謗中傷とも、逃れられない道だったのでしょう。
これがWeb3で解消できるかというと、非中央集権を謳いながらも専制を呼びかねない実装が散見され、カネの流れの付け替えをイノベーションと呼ぶのであれば、それは虚妄と言わざるを得ないでしょう。
今日のところはこのくらいです。
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