どうも。ベストセラー作家になりました。
Amazonで「ベストセラー1位」マークがつくの、生涯に何度もあることではないと思いますので、みなさん「ベストセラー作家の沢しおん氏」とか呼んでくれてええんやで。売上げなんざ水もの。三日天下くらいが丁度いい。
『電子書籍ファースト』という考え
さて、今回『ブロックチェーン・ゲーム 平成最後のIT事件簿』ですが、もともとWeb上で掲載しておりました。いわゆる「Web小説」というやつです。カクヨムというカドカワさんの小説投稿サイトに掲載していました。(このnoteにもかつて転載してあったのですが、あまりにもアクセス数が悪かったので、記事を消しました)
2018年に開催された『サイバーセキュリティー小説大賞』に応募もしていたのですが、やはりジャンルとして比較的狭い(書き手の少ない)経済小説では、流行の切り口で挑んでいる他の作家さんの作品に勝つことはできませんでした。
……まあそりゃ協賛企業のセキュリティアプリがストアから排除されてた事件があったりして、そういうことを少なからずリアルタイムに描写してある小説はその賞はもらえないだろうなと考えるべきですが。
で、丁度そのあたりで『NovelJam2018秋』に参加することになりまして、ぼくはそこで短編のデビュー作となる『マイ・スマート・ホーム』を執筆し、ワークショップ的に「電子書籍化」とそのシステムを使った「POD(プリント・オン・デマンド)出版」ができるということを学びます。詳しくは下記の参戦記をご覧ください。
この『ブロックチェーン・ゲーム』も、Web小説版を改稿した上で電子書籍ファイルを作成して自身で販売してみようという取り組みをするつもりでした……が。
ひょんなことから、出版社での企画会議に諮っていただけることになり、この度の出版となりました。しかも形態は電子書籍+PODということで、自分の考えとピッタリマッチしていて、願ったり叶ったりです。
出版社もIT関連書籍が多く、ジャンルに明るく実績があり、IT系の言葉が飛び交う内容に編集さんが読んで「なんじゃこりゃ」って思ってしまうというような、そんな心配がゼロだったというのも、ラッキーでした。
(本音を言うと個人でやってたとき、Microsoft Wordだと縦書き書式でルビのある電子書籍ファイルを綺麗に作るのが面倒くさくて、折れかけていたのです。今は一太郎2019を使うことにしたので、そのへんの不安は無い)
そしてそこから、大修正が始まりました。縁起を担いで登場人物の名前を変えたりもしたし、とにかく直さなかったところは無かったほどです。
「Web小説あるある」かもですが、書籍化にあたって読み返してみたら文章が雑でヤバイ。トンマナもダメ。編集さんだけでなく知人にも時間をとって読んでもらい、変なところは手を入れました。
そして発売へ
この小説は、2018年に起こったいくつものIT事件のカリカチュアでもありながら、仮想通貨や法律、インターネットセキュリティーしぐさ、スマホゲーム産業の事情……etc.を可能な限り盛り込んであります。可能な限りというのは、編集中もどんどん事件や法制もろもろに進展があったからです。
書いていくうちに情勢が変わりまくるという意味で、IT系はもっと未来のことを書いてSF仕立てにしておかないとビジネス小説にしづらいかもな、という気づきも含めて、勉強になりました。
仮想通貨のニュースだけでなく、ブロッキング論議やコインハイブ事件など、2018年は日本のIT業界にとって特別な年だと感じたこともあり『平成最後のIT事件簿』という副題をつけ、小説にコラムがついていていいのかどうかみたいなところはあるかもですが、これをもって平成という時代に錨をおろして固定したというわけです。
タイトルをつけてからもまだ加筆修正が続いたので、発売日がほんとうに「平成最後の平日(2019/4/26)」となってしまいました。「平成最後のデビュー作家」となりました。もう平成時代にデビューできる作家はタイムマシンでも使わない限り無理なので、そういう点でも、良かったと思います。
発売日当日は、嬉しくて神保町の三省堂書店さんに行き、その場でプリント・オン・デマンド版を購いました。三省堂書店の本店には、印刷製本機があり、名実ともに「できたてホヤホヤ」の本を買うことができます。
(こういった機械は「エスプレッソ・マシーン」という愛称で呼ばれているそうです。コーヒーを淹れているうちに、淹れるかのように、本ができあがってしまうということですね)
……この写真の自分がおっさんくさすぎて、連休中に髪型を変えてヒゲを剃っちゃいました。
そんなわけで、現在KindleやBOOK WALKERなどの電子書籍サイトとPODで大好評販売中です。
POD版をお持ちのかた、いつもぼくサインペン持ち歩いているので、街ですれ違ったときとかにお声がけしていただければ、その本にサインします!(訳:肌身離さず持ち歩き、ぼくとすれ違う運命を信じろ)
最後に、あらためまして『ブロックチェーン・ゲーム 平成最後のIT事件簿』をよろしくお願いいたします。