私、澤檸檬。ライトノベル作家なの。 というわけで、季節も考えずメリーさん的な挨拶から始まりました。 どうも澤檸檬です。 実は私、ライトノベル作家をしており、出版社様から書籍を出させていただいているのですが、それとは別に創作ユニットを組んでおりまして そちらでも新作を投稿させていただきましたので宣伝させてください。 こちらの短編小説。 実際にあった事件の名前が出てくるので、その時点でピンとくる人も多いと思います。 そう、テーマは食人。 冬の山小屋で起きた食人事件。 すでに
「落ち着けよ」 そう言いながら、俺は車のハンドルを握っている。 白の軽自動車。 運転席に俺がいて、助手席には友人の雄介がいた。 中田は右手の爪を噛みながら答える。 「落ち着いているよ。純也こそ冷静になれよ」 「冷静だわ。いいからタバコくれ」 俺はそう言って左手を雄介に伸ばした。 すると雄介はポケットからタバコを取り出し、そのうちの一本を俺に手渡す。 俺はそれを加えてると、視線を前に向けたままタバコの先を雄介に向けた。 「おい、火もくれよ」 「あ、ああ。
体にのし掛かる疲労感。 夜よりも朝に近い午前三時に俺は家に向かっていた。 もはや生きるために働いているのか、働くために生きているのかわからない。 就職して五年。二十七歳。保険会社の営業として働いてきたが、求めらているのは人間性よりも結果。 もちろん社会では結果が全てだ。 だが、今の俺に欠けているのは自分の人間性を認めてくれる存在である。 「癒されてぇ」 思わず俺はそう呟いていた。 家の近くにある自動販売機の前。誰もいない場所で吐き出した心の声。 もちろん
「これあげるよ」 まさきくんがそう言って、車のおもちゃをくれた。 かっこいい、赤の車。 昨日までは欲しかったけど、なんかもういらないなぁ。 「いつも、遊んでくれてありがとう」 のぞみちゃんは手紙をくれた。 ピンクの可愛い手紙。 かわいい字で一生懸命書いた手紙だ。 いつまでもともだちだよ、と書いてある。 「よしきくんが一番好きだった、おやつだよ」 けいこ先生がそう言いながら、クッキーをくれた。 チョコチップのクッキーだ。 おやつの時間にこれが出て
嫌いだ。 俺はそう思った。いや、もしかしたら言葉にしていたかもしれない。 「僕は高崎くんみたいな子好きだけどね」 あいつはそう言った。 そういう所が嫌いなんだよ、と今度は確実に心の中で呟く。 あいつが転勤してきたのは一ヶ月ほど前だった。 本社からこの営業所の売り上げを伸ばすために転勤してきたのである。 俺が働いているのはオフィス用品を取り扱う会社だ。全国に営業所があり、消しゴムのような文房具からコピー機やパソコンまで幅広く取り扱っている。 本社は東京に
「本当におめでとう」 俺は友人の坂井 明とその彼女である野田 美樹にそう伝えた。 おめでとうというのはこの一時間で三回目である。 酒井とは小学生の頃からの友人でもう二十年以上の付き合いがあった。 そんな坂井から話があるといきなり呼び出され、この居酒屋にやってきた。 坂井は照れ臭そうに隣にいる野田を見つめる。 「ほんと幸せだよ。美樹ちゃんが彼女になってくれるなんてさ」 そう言われた野田は恥ずかしそうに笑みを浮かべた。 俺はビールを飲み干してから微笑む。 「
家のポストに入っている新聞を読む。 新聞には、俺が住んでいる町名と通り魔という文字が並んでいた。 この近くで通り魔事件が発生し、若い女性が首筋をナイフで斬り付けられるという事件が五件続いているらしい。 新聞を読み終えた俺はいつも通りに真っ黒な作業着に着替えて家を出た。 十八歳から八年間同じ工場で働いている。朝八時から夕方十七時まで鉄を加工するのが俺の仕事だ。 楽しいかと聞かれると、楽しくはない。 だが、工場に向かう足取りを軽くしてくれる要素はあった。 自転車で
客「さて、コンビニで買い物でもしていくか」 店員「シャウエッセン!」 客「今、シャウエッセンって言わなかったか、あの店員。まぁいいか、とりあえず弁当と飲み物を買おう。これとこれを持って、レジに行くか」 店員「はい、シャウエッセン」 客「いや、やっぱりシャウエッセンって言ってるよな。え、シャウエッセン?」 店員「シャウエッセン知らないんですか?世界一うまい食べ物ですよ」 客「それは諸説あるよね。じゃなくて、何でシャウエッセンって言ってるの?」 店員「いや、いらっし
義父「そうか、お前ももう二十歳か。おめでとう」 青年「ありがとう。父さんが僕を引き取ってここまで育ててくれたおかげだよ」 義父「あれから十年になるのか」 青年「そうだね。あっという間だったよ」 義父「そうか?長かったようにも感じるし、つい昨日のようにも感じるな」 青年「なんだか年寄りくさいセリフだね」 義父「ふっ、年寄りだからな」 青年「そんな歳じゃないでしょ。それより父さん、こういう時って大切な話をするものじゃないの?」 義父「ん?どういうことだ?」 青年
小説家になろうにて連載しております。もしよろしければ感想をいただけると幸せです。 ncode.syosetu.com/n8050gg/ 努力=結果~異世界に飛ばされたら自分だけレベルアップシステムから外されていたので努力したら最強だった~
「タピオカ」 ◎登場人物 医者 患者 ◎作品時間約四分 患者「あの・・・先生、ハッキリ言ってください!」 医者「うーん」 患者「先生はこうおっしゃいました。僕の心臓に影がある、と。その時は健康診断のつもりでしたが、先生にそう言われ、再検査を受けました。そして、その日から僕は覚悟を決め生きてきました。人生でやり残したことは無いか、生きているうちにしたいことは無いか。例えば、食べたことの無いものを食べるとか」 医者「タピオカですね」 患者「いや、タピオカくらい食