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「15人が選んだ幸せの道―選択理論と現実療法の実際」

選択理論がよくわかる本の紹介#3

1、「15人が選んだ幸せの道―選択理論と現実療法の実際」はどんな内容の本か

この本の原題は「リアリティセラピーの実際」(Reality Therapy in Action)というところでしょうか。

グラッサーによる選択理論を使ったカウンセリング(リアリティセラピー)の実際のやりとりを、15人の事例について、物語風に展開する読みやすい本です。

グラッサーが、クライアントによりよい選択をしてもらうために、カウンセリングにおいて、どのように介入していくのかが、ていねいに書かれています。

選択理論のマザーブックと呼ばれる「グラッサー博士の選択理論」と合わせて読まれると、「選択理論とその実践」について、理解が進むでしょう。

グラッサーは、リアリティセラピーで、精神薬を一切使わずに、カウンセリングのみで精神疾患を治すことを目ざしますが、第2章では、他のカウンセリングと比較しての「選択理論に基づくカウンセリングの実際」が要領よくまとめられています。

なお、この本には、カウンセリングでのグラッサーの発言がたくさん載っています。選択理論は、自分に対して使うときも、相手に対して使うときも、「選択理論的な言葉」を使いますが、この本の中のグラッサーの発言を「選択理論を実践するコミュニケーションの実例(対話集)」としてとらえれば、さらに、学びになると思います。

2、選択理論を使ったカウンセリング(リアリティセラピー)の特色

選択理論を使ったカウンセリング(リアリティセラピー、現実療法)の特色としては、例えば、つぎのようなことがあります。

・過去のことには時間を割かない。過去ではなく、現在に焦点を合わせる

・クライアントの感情や生理反応に焦点を合わせない。苦痛や症状にも焦点を合わせない。行為と思考に焦点を合わせる。行為と思考が変われば、感情や生理反応も変わる。

・クライアントの症状ではなく、背後にある重要な人間関係に注目する。実際の問題の核心としての「現在の人間関係の改善」や「新しい人間関係の構築」に焦点を合わせる。

・ほとんどすべてのクライアントが抱えている問題の背後には、「今現在、クライアントに満足な人間関係が欠如している」という事実がある。

・人は、5つの基本的欲求をバランスよく満たせることで、幸せを感じ、メンタルヘルスを良好にできるが、人は、基本的欲求を、良好な人間関係のもとでしか満たすことができない。

・人間関係が不全であったり、欠落している人には、カウンセラーとの間で確立された人間関係をモデルにしてもらって、良好な人間関係や新しい人間関係を作る手助けをする。

・選択理論を使ったカウンセリングでは、1回のセッションで多くのことが達成され、10回から12回のカウンセリングで十分な場合が多い。

3、選択理論を生活で使い続ける限り、セラピーの効果は、終わりなく続く


カウンセリングでは、クライアントに選択理論が教えられるが、クライアントは、学んだ選択理論を自分の生活で使い続ける限り、セラピーの効果が続くので、セラピーに終わりがないといえる。

また、この本の終わりには、「最後のことば」として、10ページ程度で、グラッサーの選択理論を中心とする一連の主張が、要領よくまとめられていて、参考になります。


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