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80代女性の【異常な大食いを直したい】をコーチングするとしたら?

😞 今回は、相談者が「自分の大食いに振り回されている」事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#169

 80代後半の独居女性。異常な大食いに困っています。カロリー過剰は避けようと、炭水化物はなるべく避けていますが、昼と夕食に3品ほどを必要以上に食べてしまいます。本来、半分ぐらいは後日と考えているのですが、すぐに手を付けて完食してしまいます。

 これまでに書物を読んだり、医師の助言を受けたりして改善を試みましたが、どれもうまくいきません。ストレスが関わっていると聞いたこともありますが、幸せだと思って生きてきました。腹痛も下痢もない頑健な胃腸。満腹感を知らせる脳の機能が働いていないのでしょうか、アルコールなどと同じ依存症なのでしょうか……。

 最大の悩みは食費です。毎日、少しでも安い店を選んで、リュックいっぱいに買い物をしています。ゴミの量も増えるし、調理時間もかかります。

 幸い、食べる量は多くても、毎日6000歩以上の散歩の効果か、肥満ではありません。しかし、食べる量を半分に減らしたいのです。お知恵をください。(東京・J子)

(読売新聞2022年9月20日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者が話したい「困りごと」を受けとめ、まとめると

・80代後半なのに異常な大食いに困っている。カロリー過剰は避けようと炭水化物は避けたりしているが、昼と夕食に3品ほどを必要以上に食べてしまう。

書物を読んだり、医師の助言を受けて改善を試みたが、どれもうまくいかなかった。幸せだと思って生きており、ストレスもなく、胃腸は頑健で腹痛も下痢もない。

最大の悩みは食費でで、毎日、少しでも安い店を選んで、リュックいっぱいの買い物をしている。ゴミの量も増えるし、調理時間もかかる。

食べる量は多いが、毎日6000歩以上の散歩の効果か、肥満ではない。

▶︎「困りごと」を「願いごと」に転換して、話してもらうと

・食べる量を半分に減らしたいので、知恵がほしい。

▶︎ 相談者の「困りごとのパターン」を考えてみると

  • 願いごとが叶わない

  • 「自分の大食い」に自分が振り回されている
    (注:この「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指す)


🚩 ①相手の困りごと、願いごとの話を受けとめたうえで、②次の質問や展開をしてみること、を考えました

・書物を読んだり、医師の助言を受けたりして改善を試みていらっしゃいますので、なかなか、本や医者以上に「食事量を半分に減らす知恵」をアドバイスすることも難しいように思います。

・いつ頃から、何がきっかけで、大食いになられたのかが分れば、それもヒントになるかもしれませんね。いかがでしょうか?

・また、具体的に、「食費が近いうちに底をつくおそれがある」とかですと、兵糧攻めのようなものですが、「お金がないから、どうしようもない」という、強制的な状況になって、「食事量半分」も達成できるかもしれませんね。

・1つ、確認ですが、お医者さんも、健康上の理由などから「食事量を半分に減らしなさい」と言われているのですか? それとも、お医者さんは、特に、「減らしなさい」と、言われていないのでしょうか?

・また、「異常な大食い」とか「必要以上に食べてしまう」とおっしゃっていますが、この場合の「異常」とか「普通」とか、「必要」とかの基準は何なのでしょうか? いろいろなことに、個人差はあると思いますが?

あなたは、文面からは、人並み以上に、元気で、エネルギーの高そうな方のようですが、食べる量でも、個人差はないのですか?

・朝、昼、夕食の3食は完食されるということですが、間食としてのおやつも食べていらっしゃるのでしょうか? それとも、きっちりと3食を守られているのでしょうか? また、栄養バランスを考えて、3品を守られているということはありませんか?

・ところで、1つのやり方で、思いつくこととしては、「半分減量」は生ぬるすぎるから、「70%減量」とか、「4分の3減量」とかを試してみる手は、あるかもしれませんね。そうしたら、「半分減量」が達成できるかもしれません。

でも、このように考えると、どうして「2割減量」ではダメなのかとか、「半分に減らすべきの根拠」もぐらついてくるかもしれませんね。「○減量」とかの数値はどのようにして決められたのですか?

・また、もう一つのやり方としては、逆に、3品だけでなく、「5品完食を目ざす」という、逆説的な方法もあるかもしれません。より多くの食事量を目ざすことで、食費の高さや、量の多さから、今の「3食完食」が、量的には、あなたにひょっとして、合っていることが分るかもしれません。

・ところで、今の「大食い」のおかげで、日々の、健康的なリュックいっぱいの買い物や、6000歩以上の散歩という運動も、実現できているのかもしれませんね。

「大食い」が半分に減ったとしたら、料理の楽しみなど、なくなってしまいそうなものも、色々あるかもしれません。

逆に、得ることができることも、例えば、ゴミが少なくなったり、食費の余裕など、こちらも色々あるかもしれません。

両方の立場から、いろいろ考えて見られたらいかがでしょうか?

「失うものが少なくて、得られるものがはるかに多い」と、それもダイエットのやる気を高めるかもしれませんね。

・買い物の時間、調理の時間、食べる時間などが節約できたら、毎日、どれくらいの自由時間が生まれるのでしょうか? そんな自由時間がもし持てれば、何かしたいことはありますか? いろいろ考えて見てください。

あればあったで、本当にしたいことができる自由時間が生まれるかもしれませんし、したいことが出てこない場合には、買い物、調理、食べることが、一種の趣味の時間になっていると言えるかもしれませんね。

・最後に、今の大食いがあったとしても、それはそれとして、あなたの人生の満足度、幸せ度は、10点満点としたら、何点くらいですか? 

どういう理由から、その点数を付けられましたか?

また、「大食い」が「半分」に減ったとしたら、その幸せ度は何点くらい上がるでしょうか? その理由はなぜですか?

・以上のようなことを考えてみられて、「大食い問題」があなたの生活や人生で、どのような意味や位置づけがあるのかを考えてみられたらいかがでしょうか?

・ダイエットを、「ゲーム」のように考えて、ルール違反をしたときは、罰ゲームとして小銭を貯金するなどしたら、食費の節約にも繋がるかもしれませんね。

・また、「異常な大食い」とか、「必要以上」というマイナスな言い方を、プラスの肯定的な言い方に変えるというゲームにしたら、どんな言い方ができるでしょうか?

いろいろ、提案もさせていただきましたが、何か思われたこと、気づかれたことを、どんなことでも挙げてみてください。


✅参考:回答者(出久根達郎さん)の言葉です💖

 私も子どもの頃から大食いでした。私の場合は貧しくて満足に食にありつけなかったものですから、常に飢餓状態で、その分、「がっつく」。大食い癖は大人になっても相変わらずでした。

 さすがに自制しなければ、と反省したのは、独身で食事を作らなくてはいけなくなった時です。その頃はコンビニエンスストアもなく、副菜を売る店もなく、何もかも自分で料理しなくてはいけない。作りすぎてしまうのです。面倒だから。同じ品を何日も味わっている。早く食べ尽くしたいので大量に食べる。

 これで分かったのは、大食いしないためには、食べきりの量しか作らない。余分に作らぬこと。目の前に食べ物がなければ食べない、という実に当たり前の真理でした。

 適量を決めて1か月続けました。間食も中止。「大食は敵」と書いた紙を食卓の前に貼りつけ、三食のつど唱えました。自分は小食だと暗示をかけました。

 そのうち胃が縮小したのか、大食いしなくなりました。

(読売新聞2022年9月20日)

💟新聞の人生案内の回答は一種のティーチングに当たると思います。「本人から本人の答えを引き出す対話」としてのコーチングとの違いがよく分りますので、コーチングが、より社会に認知される一助になればと思います。


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

              😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たすと幸せ感が増ず基本的欲求(ニーズ)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい。コントロール、達成、競争、影響力など)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい。自立、移動、選択、創造など)

  • 生存の欲求(生存に必要なことを満たしたい。安心、安全、健康、生殖など)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理 
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分の中の大切な基本的欲求(ニーズ)が何かに気づいて、それを満たせる行動をとりましょう。


🌻 自分の「現状(のステージ)の知覚と将来の願望」
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入っていて)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。


🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指す)

・いやがるもう一人の「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・辛い思いをしている「自分」は、どうなりたい、本当はどうありたいと望んでいるのか、「自分」の心の声を聴いてみましょう。

・もし、第3者が「今の自分」の状況だったら、自分は「その第3者」の状況をどのように考え、どんなアドバイスをするかを考えてみましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・もし、自分の願いが実現したら、今とどう違ってくるか、そのときは、今と違う何をしているかを考えてみましょう。

🌻 現在とっている行動の自己評価と、これからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。

・「願いごとを実現するために、今、自分はどんな行動をとっているか」
「今している行動を続ければ、願いごとや欲求が満たされるだろうか」
という、自分の行動や状況についての「自己評価」を口癖にしましょう。

・「もし願いが実現したときは、今と違うこんな行動をするだろう」という具体的な行動を考えてみて、先どりしてやりましょう。そして、どんな変化があるかを見てみましょう。
 

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