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恐怖の『ももちゃんのお兄ちゃん』
私は子供の頃、好きなテレビを見させてもらえない家庭で育った。
1台しかないテレビは父親が占領し、プロ野球中継やら相撲中継、ニュース番組などを見ていて、私が見たことのある子供向けの番組といったら『サザエさん』『まんが日本昔話』くらいのものだった。
お笑い番組などは父親の好きだった『志村けん』関連のものは隣で一緒に見ていたが、それ以外のテレビの知識などは全くなく、
私は当時誰もが知っていたであろう流行りの歌手やタレントの名前なども何も知らない状態で生きていた。
私の父親は仕事で転勤の多い、いわゆる“転勤族”であったため、私は小学校3年生になったばかりの時に、初めて転校というものを経験した。
小学生の時の転校生というのは、割とみんなからの方から積極的に寄ってきてくれるものだ。私も例にもれず休み時間のたびに色んな同級生が友達になろう!と話しかけてくれた。
ある休み時間、私がトイレに行った後、廊下の水道で手を洗っていると
ある同級生の女の子が声をかけてくれた。
子供なりの会話の糸口だったのだろう。
その女の子は『さわちゃん、好きな歌手ってだれ?』と話しかけてきた。
しかし、ほとんどテレビを見たことがなかった私は流行りの歌手など知る由もなくパニックになった。
『歌手って誰がいるんだろう・・・えっと・・・』慌てた私は無い脳みそを高速回転させた。
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