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佐和島ゆら
2018年10月6日 22:28
二人の家の玄関脇にはボトルがある。その中身は春秋(はるあき)の同居人である頼政が漬けた梅酒だ。春秋と住むようになったばかりの頃に、急に思いたったように作り始めた。 大事に、まるで守り通すように作られた酒を試飲させてもらうと、フルーティさの中に水のような透き通った味がした。「もう、これ飲めるぞ」「いやいや、まだだよ」 ひっそりと頼政は笑う。その白い首筋はかみつきたくなるほどに綺麗だった