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短編集②

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2017年6月の記事一覧

作家と女房~嬉しい顔~

作家と女房~嬉しい顔~

 その日、相も変わらず花月はむくれていた。
 それを見ていたのは彩華である。彩華は仕事用につけていたエプロンをはずし、頭を傾げた。
「どうしたのですか、奥様」
「あ、彩華ちゃん」
「いえ……なんとなく気分が悪そうで……」
 すると花月は苦いものをかんだような顔をする。
「あ、わかるかな」
「はぁ……わかりますねぇ」
「それは申し訳ないわ……」
 花月はやれやれとため息をつく。
「大したことじゃない

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友達

友達

 雨は勢いをつけて降り注ぐ、梅雨なのにひどく嵐のような勢いだ。私はスマホの画面を見ながら彼氏のTwitterを眺める。相変わらず会社のグチらしきことを書いている以外は何もない。つまらないTwitterだった。しかし私が気になっているのは彼氏のグチではない。昨日の一日のタイムラインを見て、私はそれがないことに舌打ちしたくなった。昨日私は彼氏と喧嘩をした。彼氏は私の態度に据えかねると言い、私を責めたが

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