起業メモ #04 定款認証と設立登記をオンライン同時申請してみる
さて、時間軸は最初の頃に戻って、法人登記をオンライン申請でやってみた顛末を記録しておきます。非常に希なケースだと登記所の方に慰められましたが、思わぬ落とし穴がありました。
法人登記に必要な書類を整える
初めての会社設立で、やり方がよく分かっていなかったので、ここは「freee会社設立」に言われるがまま、進める方針としました。
最初から株式会社をつくるつもりだったので、会社名や資本金、事業内容などを記入して定款案を作っていきます。マイナンバーカードを持っていれば、自宅にいながらすべて電子申請で進められそうです。
電子定款の作成も、freee会社設立経由で行政書士にお願いできました。依頼後、1週間程度で行政書士が確認済みの定款の電子ファイルが完成します。
出資金を用意する
定款を作っている間に、出資金(資本金)を用意します。こちらは、個人名義の銀行口座を1つ決めて、そこに出資金を集めることで、確かに出資金が存在することを証明する手続きになります。
今回は一人で株式会社を設立するため、定款で決めた資本金と同じ額を、手元の銀行口座から出資金を集める銀行口座に振り込みます。エビデンスとしては、ネットバンキングの振込明細や残高が確認できる画面のスクリーンショットを残します。
公証役場に電子認証を依頼する
電子定款を使って法人設立の申請をする場合、①公証役場で定款に電子認証をしてもらう、②電子認証済みの定款を法務局に申請する、という2つの手続きが必要です。これをオンライン申請でするわけですが、2021年(令和3年)2月から「同時」に申請ができるようになっています。freee会社設立でもこの同時申請でやるようになっていたので、この方法のまま進めました。
同時申請に先立って、公証役場の公証人の方とオンラインで面談する必要があります。公証役場の方と事前にメールや電話で簡単なやりとりをして、オンラインでの短時間の面談(主に本人確認)をして、事前準備は完了です。
定款認証と設立登記の同時申請
オンラインによる同時申請は、マイナポータルの「法人設立ワンストップサービス」から実施します。公証役場の方と相談していた申請日時になると、電子申請を開始して欲しい旨の電話連絡をもらいました。マイナンバーカードを使って申請して、さらに法務局への設立に必要な費用(15万円)を振り込みます。
以上で実施すべき作業は完了で、後は公証役場と法務局で法人登記に必要な手続きが進められて、完了するはずでした。しかし、冒頭に書いたように、非常に希なケースが発生して、同時申請が完了せず、諸々の後処理をすることになりました。
法務局のシステムトラブルで同時申請ができず。。
Day1: 電子申請が「送信中」のまま送信できず
法人設立ワンストップサービスで申請を始めたのが月曜日の午後14時頃。電子申請自体は無事完了しましたが、いつまで経っても「送信中」のステータスのままで、公証役場にも法務局にも届いていないようです。夕方になっても状況が変わらないので、問合せ窓口に連絡しました。問合せ窓口でも状況は把握したものの、なぜ送信中のままなのか原因が分からないとのことで、月曜日はそのまま終了しました。
Day2: 夜になってようやく送信される
翌日の火曜日になっても状況が変わらないので、公証役場の方から「一度取り下げてもう一度申請し直したらどうか」と提案をいただきました。どうやら、法務局の申請システムが月曜日中不具合で止まっていたらしく、そのせいで送信できなかったのではないか、とのことでした。
法務局の申請システムは復旧しているはずなのですが、再申請をしようと取り下げ申請をしたものの却下されてしまい、再申請もできない状況が続きます。
火曜日の午後になっても状況が変わらないので、改めて法人設立ワンストップサービスの問合せ窓口に状況を聞いてみましたが、いまだに原因不明で調査中とのお返事でした。問合せの際に、「そういえば法務局のシステムが昨日は停まっていたみたいですよ」と伝えると、「え、そうなのですか、把握していませんでした」との反応でした(そこは連携していないのか。。)。
半分諦めかけていましたが、火曜日の夜になってようやくステータスが「送信待ち」から「納付待ち」「処理中」になり、法務局から15万円納付するようにとの連絡がきました。15万円の納付はオンラインバンキングでできましたが、公証役場の方はもう帰宅されてしまっているので、この時点の状況をメールで送って火曜日が終了しました。
Day3: 同日申請にならなかったので設立登記をやり直し
水曜日の朝、公証役場の方から電話で連絡をいただきました。申請は無事公証役場に着いたので、これから定款認証の処理をするとのことでした。
これで無事に法人登記ができると思っていたら、30分程後に今後は法務局の方から電話がきました。法務局の方の説明は次の通りでした。
①法務局に申請が届いたのは火曜日
②公証役場で定款認証をしたのは水曜日
①と②の日付が違うので、同時(同日)申請とは認められない。
このため、今申請している設立登記を一度取り下げて、再申請をする必要がある。
大本の原因は法務局のシステムトラブルなのに理不尽だと思いつつ、仕方が無いので設立登記の取り下げと再申請を行いました。10時前くらいに取り下げ申請を出して、その処理が完了したのが13時頃。その後設立登記の申請を出し直して、夕方にようやく設立登記も完了しました。
これで、ようやく株式会社の法人登記が完了したわけです。
余分に払った15万円の行方
取り下げをしたことから設立登記を都合2回申請したことになりますが、15万円の納付はそれぞれ別に払わないと申請が進まないので、合計30万円払い込んだことになります。それも理不尽だなと思いましたが、余分に払った15万円は、3ヶ月後くらいに返してもらえるそうです。
2ヶ月くらい経った先日、返金の状況を法務局に訊ねたところ、法務局からはすでに国税局に支払依頼を送付済みで、その後の状況は税事務所に聞いて欲しいとのことでした。やはり3ヶ月くらいかかるそうなので、もう1ヶ月位経ってから振り込まれていなければ、改めて税事務所に問い合わせてみようと思っています。そもそも、どの銀行口座に返金があるのかもよく分かっていないので、諸々不安です。
(2024年6月14日追記)
15万円の還付金について、e-tax経由で「還付金額や振込先の金融機関情報などの確認を行っています。」とのメッセージが来ました。連絡先として税務署の電話番号が書かれていたのでこちらから電話をしたところ、振込先の銀行口座を口頭でお伝えすることができました。
手続きとしてはこれで完了で、7月末頃を目処に還付されるとのことでした。なお、今回連絡した銀行口座は「還付先金融機関」として登録されるようで、今後の還付金では自動的にこの銀行口座に振り込まれることになりました。
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