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京王ライナーと優越感ビジネス

トップ画像などは京王電鉄のWebサイトから拝借。

京王電鉄は2018 年2月から「京王ライナー」という、切符とはべつに、座席指定券を買わないとのれない全席指定特急列車を運行している。ちなみに、京王線は新宿駅と八王子をむすんでいるので「京王線」という。

ここ6年くらい、居住地はコロコロ変えながらも京王線ユーザーでありつづけたわたしは、つい先日、はじめて京王ライナーを利用した。で、わかったのは、「京王ライナー、そんなに早くねえな」ということだった。

そう、京王ライナーは運賃とはべつに400円をとるが、そんなに早くはないのである。というのも、京王線はいまだに複々線工事をすすめているまっ最中であり、京王ライナーといえど、ほかの電車と運行間隔をそろえたりしなければならないのだ。

京王ライナーのいちばんのメリット

のってると、停車しないはずの明大前期のホームで数十秒停車したり、ノロノロ運転をくり返したりする。そのため、かかる時間的には、べっと運賃なしで乗車できる特急などとさほどかわらない。

じゃあ京王ライナーにのるメリットはなにかというと、それはやっぱり「ゆったり座ってかえれる」という点につきる。座席指定券はパソコンやスマホからまえもって購入できるので、これさえ買えばかならず座ってかえれる。

(ただし、これはかえる時間を事前に把握して仕事をおわらせられる有能なビジネスパーソンにかぎられる。わたしはたまたまタイミングよく発射直前に指定席券が買えたので、ざんねんながらこれには該当しない)

京王ライナーのもうひとつのメリット

さてもうひとつ、実際に乗ってみて思ったのだが、京王ライナーに乗ることのもうひとつのメリットは「優越感を得られること」かもしれない。

京王線の新宿駅は利用者がおおいくせにホームが3つしかない(しかもそのうち1つは降車専用)ので、京王ライナーが新宿駅にはいるとホームに人があふれる。そうした人々は座席指定券を持ってないがゆえに、京王ライナーが出発したあとにやってくる普通電車をまつしかない人々なのだ。

しかし、ここで京王ライナーの乗車券を持っていると、そうした人々をしり目にさっそうと京王ライナーに乗りこめる。駅員さんがいた場合、おじぎもしてくれる。400円でちょっとしたヴィー・アイ・ピー感と快適性が確保できるなら、わるくはない(と考えるひとが少なからずいるからたぶんビジネスとして成りたつ)。

ディズニーのファストパスも

よくよく考えると、このように「ほかの一般の客に優越感をいだける」というのは、いがいと世間で活用されている手法なのかもしれない。

たとえばディズニーリゾートのアトラクションに優先的に乗れるファストパス。もちろんまち時間を少なくしてアトラクションにスムーズにのれる物理的なベネフィットもあるけど、数十分ならんでいるだろうほかのひとたちの脇をゆうゆうと抜かしてさきにアトラクションに搭乗できる優越感もある(とおもう)。
あと、マクドナルドのオンラインクーポンとか。

Webの弱点

一部の顧客だけに高度な機能を提供するフリーミアム戦略はいいけれど、ネット上の施策であるがゆえにこうした「優越感」をかんじさせることができないのは、有料(優良)顧客を増やすうえで最後の一押しに欠けている側面がある。

ほかの消費者の動向をまの当たりにしにくいというのは、Webの弱点なのかもしれない(できないわけではない)。Webだと「行列」もできないし。

商品なりサービスなりコミュニティなりをつくるときは、優越感と羨望をかきたてることが大事なんだろう。わたしはこれを勝手に「優越感ビジネス」とよぶ。


よだん。
大手ケータイキャリアが実施している「牛丼無料」や「ハンバーガー無料」といったキャンペーンも優越感ビジネスに該当するのかなと考えたけど、あれはどちらかというと「お祭り消費」「イベント消費」としての側面がつよいようにおもう。

(了)

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