影
暑い…
ただひたすらに暑い。
9月になったというのに、暑さが一向に収まらない。
もう一年中夏なんじゃないかと錯覚しそうになる。
この夏は、朝8時の段階で灼熱地獄のような日差しが降り注ぎ、洗濯を干す腕をカバーしなければならなくなった。
直接の日差しが痛いと感じたの初めてだ。
砂漠に生きる人々が長袖を着て、頭から体を覆う気持ちがわかったような気がする。
強すぎる日差しは痛いのだ。
太陽の力を体感すると同時に、強く感じたのは影の力。
温度の変わりはなくても、影の中にいるだけで痛みはない。
そんなことも今年初めて感じた。
私の日々のルーティンは、
朝起きてごはん、洗濯、お風呂掃除を終えたら外出。
午前中、12時までが自由時間。
家人がテレワークをしていたせいで、正午には帰宅して昼食という縛りがあった所為なのだが、テレワークがなくなっても、なんとなくそのままの時間で動いている。
9時半を過ぎたら家を出る。
暑い。
長袖のパーカーを羽織って帽子を被って歩く。
……熱い。
汗が全身から噴き出してくる。
少しでも強い日差しから逃れたくて、家々の影を選んで歩く。
南向きの道路が多いから、左側を。
そんなことをしても道路に落ちる影は狭くて、全身を入れるには大きなビルを待つしかなかった。
スーパーの売り場が天国のように思えた。
いつまで続くかと思われる日々の中で、それでも季節は動いているらしい。
ふと気づくと家々の影は長く伸びて、汗だくになった全身を隠してくれている。
太陽が、少しずつ高さを落としてきている。
夏が、終わろうとしている。
気温ではなく
影の存在感で季節を感じた。
暑すぎる夏もようやく終わる…
と、いいな。
早く。
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