『さあさ、お立ち会い!これぞ鬱憤晴らすTOR祭りだ!』 22-23バイエルン・ミュンヘン戦(評・感) vsフライブルク @Allianz Arena
◇プロローグ:後味の悪い前節から迎えた【決して負けてはいけない戦い】
前節ドルトムント戦の終了間際、
「おいおい。だめだぞ、クロス上げさせたら、だめー!おい!!!
こらぁ!!!!!!あぁぁぁぁぁ!!!!!!」
と土壇場の同点被弾に咆哮していたであろう闘魂社長オリバー=カーンは、
今日は是が非でも圧倒的に勝たなければならないと心に決めているだろう。
相手は手強いが “UEFAウイルス” で弱るSCフライブルク。
ここで引き分け以下でも演じようものなら、七色の戦術を使い分けるフリーの名将トーマス=トゥヘルが、、、ということになるはずだ。
こうなっては、若大将ユリアン=ナーゲルスマンも何が何でも勝たなければならない!
◇バイエルン・ミュンヘンのスターティングメンバー
1トップには頼れる兄貴でありムードメーカーのシュポ=モティンが入った。
純粋な9番タイプの選手が前線に入ることで、
ナーゲルスマンの必殺技「センターライン高速アタック」が効率よく機能するかどうかがポイントだ。
また、GKは腕を負傷したノイアーに代わりいぶし銀のウルライヒが入る。
私にとって懐かしのスヴェン=ウルライヒ。
彼は私がブンデスにハマり始めた11-12シーズン、シュツットガルトの正GKだった。
かの直感的肉食系ストライカー岡崎慎司のチームメイトであったのだ。
あのときはラッパディアが迷走していたな、と思いを馳せさせてくれるウルライヒであった。
大学生4年生だった当時、欧州サッカー戦評というブログを短期的にやっていたので、恥ずかしながらリンクを貼ってみる。
良かったら見てくださいね。
Schalke VS Stuttgart 『ローテンに春は来るか』
◇前半 ・ポイント ⇒ 所感
・好調チームのトレンドは勇気を持って前から戦うスタイル
立ち上がりフライブルクは、ブンデス首位のウニオン・ベルリン同様、恐れずに前からプレスをかけようと試みていた。
それだけに途中で1枚でも剥がされれば、深手を負うリスクと向き合い続けなければならない。
そんな中、中盤の深い位置でザネの華麗な股抜きから中央突破され、
必殺仕事人ゴレツカに渡るがそのクリアボールが買ってきたばかりのラジコンことデイビスのもとへ。
デイビスのシュートは、残念ながらフカしてしまうがバイエルンが最初のチャンス作った。
・これでそなたは「ゴレツカロール」として生きてゆくことになった。生まれ変わったつもりで修業をつむがよい。
攻撃時は、神出鬼没に「ガンガンいこうぜ」と言わんばかりに相手の最終ライン裏に飛び出し相手を強襲する。
そうかと思えば、「みんながんばれ」とビルドアップに何気なく参加してゲームをオーガナイズする。
一方、守りのときは「いのちをだいじに」を信条に地道にピンチの芽を摘み取る。
こんなマルチな職業は、もはや「ゴレツカロール」と名付けるのはどうか。
そんなことを思わせる前半の奮闘ぶりだった。
・13分バイエルン先制
サイドで水を得た魚感のあるマネから、最前線で存在感のあるコントロールタワーシュポ=モティンへ、
私の好きな利他的なポストプレーから堂安の裏をつく韋駄天デイビスに渡る、
彼のカミソリのような高速クロスから神童ザネが合わせる、
フレッケンがなんとかストップするものの、
こぼれ球を赤き料理人ニャブリが頭で押しこんでバイエルン先制!
純ストライカーが演出した素早い攻撃は、バイエルンの18番だったことを思い出させたゴールだった。
ニャブリは久しぶりの嬉しいゴール、やはり管制塔があると二列目がのびのび活きるのか。
・『ナーゲルスマン好み』の真髄を見た!
ひたすら高速でバイタルエリアを掻き回すバイエルン。
ブンデスの絶対王者が縒りをかけて集めた精鋭部隊の屈強な男たちが、雪崩のようにペナルティエリアに襲いかかる。
フライブルクは激しい攻撃を跳ね返すのが精一杯となり、幾度となくバイエルンボールに戻ってしまう。
そして奪ったボールを素早く縦にズバズバ入れながら、鋭い波状攻撃を展開する。
これを惜しみなく繰り返し、やがて耐えきれなくなった敵は、無惨にゴールを許してしまうだろう。
ここにユリアン=ナーゲルスマンの真骨頂をみた!
これは欧州極上の舞台CLでも、このようにハマれば期待できる戦術だ。
この戦い方でどれだけ速くゴールを重ねて息の根を止められるか、これが戦いの大きなファクターであろう。
・皆さん教科書開きましょう。今のキミッヒ君のプレーは、Mia san Mia16のルール、「11ページ Mia San Treude - 私たちは忠実である」に当てはまりますね。
現在のバイエルン・ミュンヘンの象徴ヨシュア・キミッヒは、前半唯一といっていいカウンターからのピンチで、
相手ペナルティエリアから全速力で帰陣する途上、
クロスの標的であった堂安のコースをちらっと見て、
走るコースを微調整し見事に相手の決定機を未然に防ぐ活躍を見せた。
これは、まさに「私たちは忠実である」という精神を体現していた。
彼こそ、Mia san Miaを地で行く漢の中の漢なのだ。
・33分バイエルン追加点
相手をペナルティエリアに釘付けにして足を止めさせるザネから、
エリアに侵入したシュポ=モティンへ、
ストライカーらしいシュートコースに探りを入れる何とも言えない間合い・ボールタッチから右足一閃。
これぞ稀代の点取り屋といったシュートを逆サイドネットに叩き込みバイエルン追加点。
あれ、こんなゴールシーンよく観てたような、、、これはレヴィの幻影か。
バイエルンは、冬にW杯終わりで乗りに乗ってる9番獲れたらもっと強力になるのでは?と思う。
◇後半 ・ポイント ⇒ 所感
・息を吹き返しかけた「赤と黒」
後半立ち上がりはフライブルクの壮絶な前嵌めにあい、
バタバタしてポールロストを繰り返す、最近の嫌な展開。
今までの悪夢が頭をよぎる。
・悪夢を吹き飛ばす1頭の「不屈のライオン」
ザネが中央へ展開、マズラウィがサイドへランニングすることで得たスペースに相手をクックする男ニャブリが侵入、
全国の高校生フォワードに見て欲しいお手本のようなシュポ=モティンのポストプレーからニャブリのシュート、
惜しくもポスト直撃でゴールならずも、シュポ=モティンのお膳立てでバイエルンが一瞬で流れを引き戻す。
・52分バイエルン更に追加点
何かと気の利くキミッヒから天賦の才ザネへ、
ザネからポストプレーの教科書シュポ=モティンを経由し、
ペナルティアーク付近でザネが前向きになった瞬間、
稲妻のようなミドルシュートが文字通りゴールネットに突き刺さり、バイエルン3点目!
ザネのシュートスピードがあまりにも速すぎて名手フレッケンは動けず。
スピード、コースともにアブソリュートな一撃だった。
これにより試合を決定づけた。
・55分バイエルン4点目
シュポがまたしてもタイミングのよい落としから、ウパメカノがサイドに展開、
なぜかフライブルクのセンターバック間にポッカリ空いたスペースを突いた
ゴム人間ことマネがしなやかなタッチで上品なループシュートでだめ押し!
「おれの補強は間違ってなかったぜ!なあ大将!」と言わんばかりにウリ=ヘーネスとハイタッチするハサン兄さんが印象的だった。
完全に相手の息の根を止めることに成功。
・攻守に奔走する堂安
今日の堂安は、電光石火のように襲いかかるネズミ花火のような早さのカナダ人アルフォンソ・デイビスとの対峙で大忙し。
なかなかアタックに力を振り分けられなかった。
・80分バイエルン5点目
本気のバイエルンは息の根を止めた相手に決して容赦はしない。
瀕死の相手にお祭りムードのバイエルンは、ペナルティエリアに侵入した5人のひとり、ザビッツァーの右足で5−0に。
アリアンツ・アレーナは秋の収穫祭の如くパーティー状態に。
◇総括
ここ最近の胃もたれしそうなゲームを払拭する、清々しい勝利を収めることに成功したバイエルン・ミュンヘン。
勝った相手が上位チームということもあり、これでかなり自信を取り戻したのではないだろうか。
特筆すべきは最前線でレギュラーとなり、交代の際にはアリアンツ・アレーナ観衆から万雷の拍手を浴びたシュポ=モティン。
彼がいることで縦に素早い攻撃の中でタメが作れる。
その合間に1.5〜2列目の選手たちが前向きで前線に襲いかかることができる。
このような好循環をもたらす存在は、今後のリーグ戦ないしはCLでも重要な存在となるはずだ。
いずれにせよ、今節の安堵の勝利はW杯前の戦線に明るい要素だ。
「久しぶりにアリアンツ・アレーナ名物TOR祭りが観れたね、パパ」
と帰路につくバイエルンサポーターの余韻が聞こえてくる。
次戦にも期待。
【Mia san Mia】